くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

魅惑のバラードは、いずこ

2005-11-09 21:40:45 | エッセイ

 その昔、SADEという黒人女性の曲を初めて聴いたときには、大いに感じ入ったものでした。
 クールで、洗練されていて、どことなく退廃的。部屋にSADEのCDがあれば、その人は即ち「おしゃれな人物」と感心されたのであります。
 さて、ソウルミュージックの醍醐味と言えばバラード。これが80年代に青春を過ごした世代の共通観念だと思います。ネスカフェのCFで使われた『優しく歌って』by ロバータ・フラックから始まって、アニタ・ベーカー、ディオンヌ・ワーウィック、SEALなどなど、ソウルミュージシャンはメロウでロマンティックな歌をたくさん聴かせてくれたのですね。
 例えばスキーに行くときなぞ、みんなカセットテープでベスト版を作って車に持ち込んでくる。すると大抵は、B面の2曲目あたりに“これぞ”と思う入魂のバラードが入っていたものです。
「お、ここでAfter7かあ!」
「こないだディスコで掛かってたんだよね」
なんていう具合。今では考えられないけど、バラードはもっともっと普通に聴かれていたのだよなあ。

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 ディスコと言えば。
 チークタイムで、恥じらいながらも身体を密着させると、それはその後の二人の時間を、何とな~く、何とな~く示唆しているような雰囲気になったものでした。その雰囲気とはつまり、その、健全な男女なら当然持ち合わせている欲求と悦びと言うのですか、そういった方面のことを、あくまでもスマートに、大人っぽく伝え合ったのです。今の時代ほど露骨ではなかったのね。
 そうして、そんなときに流れていた曲は、やはりメローなソウルバラードだったのであります。