「米国産ジャガイモ」も禁輸措置 4月21日

日本のジャガイモの自給率は、1971年までは100%だった。その後、加工品が海外から輸入されるようになり、2003年度は80%に低下した。といっても、他の食品と比較すると、かなり高い自給率だ。これには理由がある。ジャガイモは、害虫からの防除が非常に難しく、土が皮に付着したまま輸入されると、害虫ごと輸入することになりかねないからだ。加工されたものを除いて、ジャガイモの検疫は、隔離検疫だ。

農水省は今日、今年の2月から輸入禁輸措置を解除した米国産ジャガイモの輸入を、再び停止する措置を発表した。輸入元であるアイダホ州の農場の土壌から、「ジャガイモシロシストセンチュウ」という名の害虫を検出したからだ。ジャガイモの恐ろしいところは、そのまんまの状態が所謂「種」であって、そのまま土に埋めれば芽が生え新たなジャガイモを生産することができる点だ。日本の土壌が、害虫に汚染されることが十分に予測されるのだ。

米国産のジャガイモは、殆どが子どもが大好きなポテトチップスやフライドポテトに加工される。カルビーも、数種類あるポテトチップスの中で「ポテリッチうましお・ポテリッチコンソメWパンチ・ポテリッチじゃがバター」の3種類は、米国産のジャガイモを使用している。カルビーの言い分は、「国内産では間に合わない」ということだが、安易に輸入ジャガイモに頼る企業の姿勢は決してほめられたものではない。国内のジャガイモ生産の約80%を、北海道が担っている。牛乳の栄養価が疑問視される今、酪農からジャガイモの生産に大きく舵をきることも一つの重要な選択肢ではないだろうか。

マクドナルドのフライドポテトも、米国産の冷凍ジャガイモを使用している。丸ごとふかして食べる国産有機ジャガイモの、なんと美味しいことか!握りこぶしよりも大きなジャガイモを、2つ3つはペロリと食べてしまう。マックのフライドポテトを美味しいという人は多いと思うが、でもそれは、添加物に味付けされたニセモノのジャガイモの味であることを忘れてはならない。

米国のジャガイモ農家は、貯蔵性を高めるため、ポストハーベスト「クロロプロファム」を使用している。日本では承認されていない農薬だ。来月18日以降は、「ポジティブリスト制度」によって、日本では未承認の農薬についても検疫されることになる予定だが、一個一個をチェックするわけではなく、大半が網の目をくぐって国内に持ち込まれるのが現実なのだ。

害虫被害を防ぐために長年禁輸措置を講じてきた米国産のジャガイモが、2月に輸入を再開した途端に再びこれだ。禁輸措置解禁前に、何故現地の土壌調査をしなかったのだろうか。それとも、事前調査ではOKだったのに、2ヶ月でシロシストセンチュウが再び発生してしまったというのだろうか。いずれにしても、牛肉がそうであるように米国の輸出食品に対する意識の低さは、あまりにも明白だ。そもそも、日本との協定を守る意識が、希薄というか皆無なのだ。米国の圧力に負けて条件を緩和するようなことのないように、日本政府は厳しく対応しなければならない。それが世界の公衆衛生に寄与することになる。

ジャンクフードを筆頭に、日本の食品市場は輸入食材だらけ。特に、消費者の声が届かない米国と中国の食材の品質は、極めて怪しい。価格の違いはコストの違い。安いものには、安いなりの理由がある。人の手間を省き、化学物質にたよりきった食材が、人間の60兆の細胞をおかしていることに気付かなければならない。その代償が、ガンや生活習慣病であり、キレルるヒトの急増なのだ。社会の荒廃を正すには、まずは食卓を見つめ直すところから始めなければならないのだ。
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