胃から流れ出た血液のほとんどは、門脈を通って肝臓へ流れ込みます。それで胃癌の癌細胞が胃から血液に乗って流れ出ると、肝臓へ流れ着きますから胃癌の血行性転移は肝臓に起こりやすいのです。■それも一箇所でなく、複数箇所に転移を起こしやすいので、胃癌からの肝転移が見つかれば、転移巣の切除により根治できる可能性はとても低く、切除による延命も望めない場合がほとんどです。■一旦肝転移が見つかれば、基本的には抗癌剤治療が選択されることになります。そして抗癌剤治療が奏効した場合でも、手術ができるようになることはほとんどありません。■但し、経過を見ていて、転移巣が一箇所しかないと思われる場合には、切除を選択する場合もあります。そういうことは希ですが、実際に胃全摘後数年で肝転移再発が見つかり、転移巣が一箇所と判断し切除を行い、無事5年が経過した方もおられます。