爆撃される地上

今日は雨
厚い雲の向こうは見えない
でも輝く太陽がその向こうにいることを
イメージすることができる

黙々と上がる煙の向こうも見えない
でも想像力を働かせれば
その向こうになにがあるか
何が起こっているのかを
イメージできるはずだ

爆撃機から見下ろす地上に
人を認識することはむつかしいかもしれない
さらに爆発や火災による煙が地表を覆えば
地上の出来事はまったく視認できないだろう

でもその煙の中で
少し前まで普通に暮らす人々が逃げまどい
傍らで吹き飛ばされた身内を助けようとし
身体の一部がなくなったのを呆然と見ている
そんな状況を想像することはできるはずだ

おそらく
そんな想像力を封印してしまわなければ
爆弾投下のボタンは押せないだろう

でも軍隊での命令は絶対
出陣するときに
すべての人間的想像力を捨て去るしかない

日本では戦争を知らない世代が大半となったが
残された資料から
大いに想像力をかきたて
攻撃のボタンを押さない国であり続けてほしい