晴れ間の彗星

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そして…だれもいなくなった

2009年04月28日 | なんでもベスト5
石森章太郎③
「そして…だれもいなくなった」
当然、アガサ・クリスティではない。
石森章太郎の初期の作品です。
「シアワセくん」という四コマまんが。
「しばり首の木」というオオシカを追うハンターの話。
「ゴリラがゆく」という学園もの。
「脱出」というスパイもの。
「指令Z」というフェイルセイフもの。
この5つの話が交互に入り交じり展開してゆきます。
ホノボノ生活を切り取ったような四コマ。父を殺したハンギング・ツリーと呼ばれる大きな角を持ったシカへの仇討ちに雪の荒野を追う男。
学園を娯楽センター建設のために乗っ取ろうとする金持ちと学園生徒たち。
恋人と西ベルリンへ逃げようとしている男。
 そんな、ドラマの合間にも、冷戦の最中、アメリカの爆撃機が、フェイルセイフポイントを誤って超してしまいミサイル戦争へと突入してしまった。
最期のコマでは全てのマンガが粉々に散ってゆく。
そして…だれもいなくなった。
 昭和42年4月に「少年マガジン」に2回分載で載っている。

 みんな、それぞれ違った生活を精一杯生きているのに。一つの過ちが全てのものを壊してしまうんだ、と実感させられた名作です。
同じように「ゴルゴ13・殺意の交差」でもゴルゴが狙撃しようとした瞬間、別の人が別の意志で仕掛けた時限爆弾が破裂し、ゴルゴの標的を消してしまう、という話。世界は重なり合う多くの意志の中、流れているんだと感慨深い話でした。
 写真は「虫プロ版 石森章太郎選集 第9巻」この選集では、「ミュータント・サブ」「にいちゃん戦車」が好きです。

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