『あどけない話』 高村光太郎
智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間(あいだ)に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
あどけない空の話である。
朝起きてみると、残念ながら弱雨がしとしとと降っている。まずは朝食を食べる。
この宿の名物料理「しらすめっぱ飯」(わっぱ飯のことをこう呼ぶ)をいただこう。たっぷりのシラスにゴマと大葉が乗っていてあっさりとして食べやすい。
腹ごしらえができたところで安達太良山を目指す。日本100名山の名峰だ。
会津若松から東北自動車道二本松ICで高速を降り、岳温泉~奥岳登山口から、ロープウェーに乗る。
雨は強くはないものの止む気配はない。
降り場で、「台風16号が近づいて来ているので、強風になると下りのロープウェーは止まりますから」と言われ、一瞬ドキッとする。
雨具に身を包み、傘をさしてゆっくり登っていく。
30分ほど歩くと仙女平分岐に到着。
その後、1時間ほど登ると1700mの頂上に着いた。頂上から鉄山~沼ノ平あたりは有害ガスが噴出する進入禁地域だ。
今日は雨ということもあり先ヘは行かないことにする。運行停止が気になるので、ゆっくりする間もなく下山を急ぐ。無事ロープウェーに乗ることができてホッとした。
下山後は、磐梯山東麓にある「猪苗代四季の里」を目指す。ここは自家源泉のある宿だ。
温泉でゆっくり疲れを癒した後、お待ちかねの夕食だ。
そこで、とんだハプニングが起こった。
夕食にはサイコロステーキがついていたので、それを「美味しい美味しい」と食べていると、そこに、鉄板をジュージュー言わせながらステーキが運ばれてきた。
云?何かの間違い?というと企画した人が良かれと思って別注していたとのことだ。
「これは食べられないな、しかしもったいない」と言いながら、一同ほとんど平らげたのだから驚いた。
平均年齢からは考えられないのだが、追い詰められたら「バカ力」がでるものだ。