功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『沈黙の報復』

2014-05-10 23:05:17 | マーシャルアーツ映画:中(2)
「沈黙の報復」
原題:RENEGADE JUSTICE/URBAN JUSTICE
製作:2007年

●デビューから今に至るまで大量の主演作が日本公開されているスティーヴン・セガール。近年はTVドラマ関連のリリースも進み、出演した作品のほとんどが網羅されているといっても過言ではありません。
こうしたセガール作品の邦題は、初期の出演作を除いて完全にパターン化されています。1つは漢字二文字とアルファベットを組み合わせたもので、『DENGEKI 電撃』『斬撃 -ZANGEK-』『奪還 DAKKAN アルカトラズ』などが該当する…のですが、ご覧のように表記はバラバラです。
一方、もう1つのパターンである”沈黙の○○”は統一感があり、副題や表記の揺れは一切なし。その代わり適当に付けられたタイトルも多く、内容とかみ合っていない作品も多々あります。そう考えると、この『沈黙の報復』は非常に的を得た邦題といえるでしょう。

 本作は息子を何者かに殺されたセガールが、仇を探して2つのギャング団と抗争を繰り広げる!という感じのお話。内容はいつものセガール作品と変らず、相変わらず無敵のセガールが悪党を虐殺していくだけの話となっています(苦笑
ほんの少し違うのは、セガールが信念を持って報復に臨んでいるということ。本作の彼は事件の黒幕などに興味はなく、あくまで息子殺しの犯人を討つことだけを考えています(身に降りかかる火の粉は徹底的に振り払いますが・笑)。自身の行動が正義に基づいていないのも承知の上で、彼はこの主義を最後まで貫き通すのです。
 このセガールの人物像はストイックで格好いいんですが、それなりに話の解るダニー・トレホ(今回アクションは無し)はともかく、小悪党のエディ・グリフィンに示したラストの行動は意外に思えました。でもこのオチだと、協力してくれたカルメン・セラーノの身柄が危ないんじゃ…?
ちなみに格闘シーンの出来もいつも通りで、彼の容赦ない攻撃には誰も太刀打ちできないまま倒されます。とはいえ、近年のスタントマンを多用してしまいがちなセガールのことを考えれば、本作は十分動けていた方だと思いますね。
セガールが何者なのか明示されない・どのザコも不用意にセガールへ近付きすぎ・息子を殺した犯人の正体がバレバレなど、粗は目立ちますが出来は悪くない本作。これで息子殺しの犯人がきちんと闘える相手だったら、なお良かったんだけどなぁ……。