昨年の新国立劇場の「日本の演劇の力」シリーズについて以来、久しぶりに雑誌『ミュージック・マガジン2月号』の「ポイント・
オブ・ビュー」(183頁)に、今話題の大相撲について、書きました。
その趣旨は、相撲は神事でもスポーツでもなく、演劇だというものです。
これは、かの折口信夫先生の言葉で、相撲の根底は、「神と精霊との戦い」があり、農作を予祝する行事であるとしている。
もちろん、江戸時代以後の相撲の変遷と発展もあるが、今でも相撲には、原初の演劇の要素を色濃く残している。
力士の丁髷、花道、仕切り、また土俵の上を巻く幕は、歌舞伎の劇場にある「一文字幕」と同じ趣旨であり、聖域と俗世間を区切る境なのである。また、千秋楽、中入り、打ち止め等も、相撲と寄席にのみ残る仕来りである。
だから、相撲の決り手は、土俵の土という汚れにまみれたり、聖域の外に出て普通の人間になれば負けというルールは、未だに神と精霊との闘いという相撲の本質を持っているのである。
さて、大相撲春場所は、今日(1月26日 金曜日)の時点で、ついに横綱の鶴竜が2敗となり、前頭3枚目の栃ノ心が1敗で、逆転になった。
ジョージア出身の栃ノ心は、怪力で一時は関脇にまで昇ったが、膝の怪我で幕下までに落ちたが回復してきた。
栃ノ心、さらにブラジル出身の前頭8枚目魁聖の活躍も面白い。
週末の結果が期待されるところである。