指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

松井須磨子の歌唱力

2020年09月09日 | 音楽
今年は、新型インフルエンザのコロナが止みそうもない。
今から約100年前にも、世界的な新型インフルエンザの大流行があり、スペイン風邪で、日本でも多くの死者が出た。
中の一人が、芸術座の島村抱月で、1918年11月18日に急死してしまった。

              

その2ヶ月後、恋人で芸術座のスター女優だった松井須磨子は、1月5日に自殺してしまう。
彼女が歌ったのが、「カチューシャかわいや、別れのつらさー」の劇『復活』の劇中歌『復活唱歌』で、当時としては破格の2万枚が売れたと言われている。
レコードは、公演巡業中の京都のオリエントで録音された。
今では、ネットで須磨子の唄を聞くことができる。
正直に言って、到底上手いというものではなく、NHKの『NHKのど自慢』に出たら、鐘一つである。
ただ、この下手さが、逆にヒットした原因だと思う。
なぜなら、当時、女性が唄を歌うという習慣はなく、歌うのは芸者か邦楽のお師匠さんだけで、要は玄人の女性しか唄を歌うことはなかった。
その点では、女優とは言え、普通の女性が唄を歌うことの新鮮さが受けたのだと私は思う。



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