指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

民主党敗北の原因

2005年09月15日 | 政治
総選挙での民主党敗北の原因は、いろいろあるだろうが、「小選挙区では自民に負けても比例では復活当選する」と皆が考えていたことにあると思う。
だが、実際は復活当選も、小選挙区で大敗しては、どうにもならないことが初めて分った。

作家宮崎学によれば、中小企業の労働争議の場合、絶対に経営者側が勝つのだそうだ(彼は両方で戦ったことがあるそうだが)。理由は、経営者は負ければ何もなく、誰も助けてくれないから猛烈に頑張る。だが、組合員は負ければ別の会社に就職すれば良く、さらに外部団体が援助・口出したりするので、他人任せで頑張ればないからだそうだ。

今回の総選挙で自民党は、小泉首相の「殺されてもやる」という不退転の決意に対し、民主党はいずれ「風が変わる、潮目が変化する」と全く他力本願だった。
戦争や喧嘩では、他力本願では絶対に勝てないことは、かつての日本のカミカゼと同じである。
民主党は、風や潮目ではなく、自分一人でも頑張るという意思が形成されたとき、自民党に対抗できるようになるだろう。

柳橋の路地がセットだった。

2005年09月15日 | 映画
成瀬巳喜男生誕100年記念映画『記憶の現場』は、先日亡くなった石井輝男監督の最後のインタビューとしてのみ価値のある作品だろう。
だが、『流れる』で何度も出てくる柳橋の細長い路地が、東宝のオープンセットに建てられたものだとは少々驚いた。

助監督だった故・須川栄三によれば、成瀬はそこをブルトーザーが横切ることを要求し、実際に持ってきたが、地面の二重(舞台で使う木製の台、6尺・3尺の大きさ)が重量に耐えず壊れたそうだ。
路地の地面も作ったものだったのだ。

同様に、『浮雲』の鉄製の大きな残骸だけが残っている闇市の場面もセットだった。『浮雲』は、すでに昭和30年なので、もう終戦直後の情景はなく、再現が大変だったと本で読んだ。

無党派層ではなく、無関心層だ。

2005年09月15日 | 政治
今回の総選挙の動向を決めたのは、無党派層だと言われる。確かにそうだが、無党派層というより、むしろ「政治的無関心層」だったのではないか。
従来、選挙前に予測が出ると反対の動きが起こり、所謂「アナウンス効果」となり、劣勢者に票が集まり結果は中性化された。
しかし、今回は逆だった。
今までは政治には無関心だった者が、小泉首相のキャラクターの特異さと展開の経緯で政治的ドラマの面白さに目覚め、投票行動になった。その際、死票になることを嫌い自民党への投票になったのではないか。
従来、全く投票に行かなかった人が今回は投票したように思う。
これは良い事か。勿論、良いことである。