カジノ推進の秋元司議員が収賄容疑で逮捕された日に、5年前にYahooで書いたブログを再録する。
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観光立国より文化立国がいい。カジノ立国はもってのほかだ。
観光だって文化の味わいがなければ旅の喜びが半減する。
昨年、ガンから生還した私の友人は仲間4人で、でかいアメ車でルート66の旅に出た。ルート66はシカゴから西海岸のサンタモニカをつなぐ旧国道で、小説や映画やテレビドラマの舞台になった。現在は、ただの田舎のハイウェイ ルートだ。コーラを飲み、ラジオを聞き、アメ車で騒ぐことで、青春のすべてが蘇る。
もっと前のことだが、暮れに仕事でニューヨークを訪れたとき、セントラル・ターミナルの近くで、長らく会ってない友達ふたりに偶然あった。町並み、ショッピング、食べ物、ミュージカルが懐かしくて、飛行機代の安いクリスマス明けに、個人的に来たとのことである。暮れのセントラル・ターミナルの飾りは実に美しい。幻想的な夜を味わえる。
ロシアにはビザンチン文化の香りがある。歌姫マリーナ・デビアトバ(Марина Девятова)の民謡ステージを見にロシアに行ってみたい、と私は思っている。
文化は幅広いものから成り立つ。人々の造った町並み、建物、公園から、人々の営み、食べ物、ショッピング、音楽、演劇や、人々の教養、道徳、宗教へと広がる。
京都に文化の香りがなければ、どうして海外から観光に人がくるだろうか。普通の人にとって、旅の動機はカジノではなく文化である。文化で人を集めると、色々な小規模の店にもお金が落ちる。そのまま、地元の大学に留学するかもしれない。
ケインズ経済学者、小野善康は『成熟社会の経済学』(岩波新書)で、日本のこの20年間のデフレは、需要不足が主要因で、雇用をふやす政策を取る必要があると言っていた。社会には充分食べ物や工業製品を供給する能力があるのに、富が偏在していて、それを消費できていない。
現代では、需要不足を輸出で解決できない。なぜなら、安い製品の輸出は国際社会に緊張を引き起こすからである。トヨタやホンダが、製造、開発の拠点を米国に移したのは、日米摩擦を避けるためである。「貿易立国」の日本は、他国に貧乏を輸出することや他国の平和をかき乱すことは許されない。
カジノで雇用を作るより、文化の興隆で雇用を作る方が世界から尊敬される。文化は、知的な生活、知的なインフラを作るが、エネルギーなどの天然資源をむさぼるわけではない。そして、旧来の産業の担い手をリフレッシュし、また、新たな産業を創出するだろう。カジノ産業には広がりはなく、利権に群がる人々を作るだけである。
日本は、音楽や 演劇や 食べ物(和食だけでなく)や ショッピングや 文芸や 芸術や それに人間学、社会学、数学、科学、宗教などの学問で、世界中の人が訪れてみたい国であって欲しい。文系理系を問わず、文化の担い手として大学をみて欲しい。