猫じじいのブログ

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アメリカ社会の分断の要因を『壁の向こうの住人たち』のホックシールドに聞く

2022-10-21 22:26:56 | 国際政治

きょうの朝日新聞11面に「分断の象徴ともいえるトランプ前大統領」が支持されるのはなぜか、社会学者アーリー・ホックシールドに聞いたという望月洋嗣の記事がのった。

この記事に先だって、10月19日に、ネットでも同じテーマの彼の記事が載ったが、有料なので残念ながら私は読むことができない。ここでは、紙媒体の記事をもとに、納得できない点を指摘したい。

望月は、社会の分断、分裂、分極を導いたから、トランプが悪いというニュアンスで記事を書いているが、それはオカシイ。分裂は以前からあり、トランプの出現で注目を引くようになっただけである。

ホックシールドは、「グローバル化で、米国に『持つ者』と『持たざる者』が生まれました」と言う。どうして「グローバル化」で「持つ者」と「持たざる者」の分裂が起きたというのであろうか。「グローバル化」と関係なく、「持つ者」と「持たざる者」の分裂はつねに起きているものと私は思う。ホックシールドは、日本、韓国、中国と貿易を行うから、アメリカの工場が閉鎖に追い込まれて、分裂が起きたと考えているのではないか。同意できない。

「持つ者」と「持たざる者」の分裂は、「持たざる者」が「持つ者」から富を奪うことで解決する。奪われたモノを奪い返せばよい。それが、社会常識として共有されていれば、分裂は生じない。

ホックシールドは、「『持つ者』は、都市部に住んで教育水準が高く、多様性などリベラルな価値観を支持し、上昇する世界に生きています」と言う。

私はそうは思わない。「持つ者」を金持ちとするなら、教育水準なんて関係ない。「奪う者」であるから「持つ者」になる。人を蹴落とす者が「持つ者」になる。「上昇する世界」に生きることは道義的には正しくない。上昇すれば、下降するものが出てくる。物理の運動量保存の法則と似ている。

「持つ者」が自分の持ちすぎているモノを「持たざる者」に分け与えれば、分裂はそもそも起きない。

ホックシ―ルドは「『持たざるもの』は単純労働者で、非大卒の男性もいる。下方に動く世界を生きてきました」と言う。

これって、偏見でないのか。社会を維持するために、いろいろな仕事がいる。単純労働は必要なのである。

私の家庭内で考えても、毎朝ごみを集積所に出している。トイレもきたなくなれば掃除をする。毎日、朝食と夕食の準備を誰かがしている。そして誰かが汚れた食器を洗う。

単純労働は必要なのであって、教育水準が高いと言っても、教育されればできるような仕事に高い給料を出すこと自体が間違っている。

ホックシールドに、大学の先生だからといって、本を書いているからといって、単純労働者より高い給料が払われていること自体が間違っている。

しかし、ホックシールドは、こんなバカなことを、平気で記者に話したのだろうか。記者の聞き間違いでなかろうか。

アメリカ社会の問題は、「持つ者」のトランプが「持たざる者」の「救世主」となっていることである。ホックシールドは「2020年の大統領選でトランプ氏は2016年より多くの票を得て(投票者のうち)大学を卒業していない男性の7割がトランプ氏にいれたのです」と言う。これこそが大問題なのである。

こうなった要因は、1つは、民主党が「持たざる者」の救世主となる大統領候補を出してこないことである。二大政党制は幻想である。

1つは、「持たざる者」が洗脳されており、教育水準が高ければ給料が高いとか、人より富を持っても良いとか、に疑問を持たないことである。

1つは、1950年代のマッカシー旋風で、アメリカから共産主義者や社会主義者が追放された後遺症である。

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