猫じじいのブログ

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消費者物価高、デフレマインドよりインフレマインドのほうが怖い

2023-04-22 23:22:38 | 経済と政治

けさの朝日新聞2面に『〈時時刻刻〉予想を超す物価ずっしり』という記事が載っていた。

記事によると、コンビニ大手のファミリマートの社長は、今月の決算説明会で「『価格を上回る価値』という商品開発を心掛けて、環境の激変に対応してきた」と振り返ったという。その結果、「同社の売上高は前年より2.2%増え、国内店舗の1日平均売上高は過去最高を更新した」のである。

社長は自慢しているのではなく、じつは利益が減少することを弁解しているのだ。環境の激変とはインフレの加速である。日本の消費者物価は4%台で上昇しているのに、同社の売上高が2.2%しか増えなかったということは、実質売上高は減少しているのだ。

ファミリマートの「看板商品ファミチキはタイ産鶏肉など原材料の上昇で2回値上げし、税込み180円から220円に上がった」にもかからず、売り上げが2.2%しか増加しないということは、売上は減少しているのだ。

私の子ども時代、やはり、インフレの嵐のなかにあった。私の親は商店を経営していた。私の父は商品の値札を何回も付け替え、仕入れ値よりずっと高い値段で売っていた。これは不当なのではないかと疑問に思って、私は父に売値をあげる理由を聞いた。父が言うに、社会全体で物価が上がるとき、仕入れたときの値で売値をつけると、売れたとき、つぎの仕入れをするお金がなくなる、と答えた。仕入れ値と売値との差で利益が出ても、商売の継続が難しくなると言うのだ。

私の子ども時代のインフレは、政府の必死のインフレ抑制策と円高のおかげで、物価が10倍から20倍あがって落ち着いた。30円のラーメンが500円になって落ち着いた。

いま、アメリカ政府が必死になってインフレ抑制のため金利をあげているが、それでもインフレが止まらない。デフレマインドよりインフレマインドのほうが怖いのだ。インフレマインドがいったん広がると、インフレを制御するのが難しくなる。

これは、流通業だけの問題ではない。現在、製造業はどこかから半製品を仕入れて少し加工してどこかに半製品を納めるというサプライチェーンというネット構造から成り立っている。インフレは全産業に名目上だけの売上高の成長をもたらすが、実質経済の成長を保証しない。

記事では、「昨春時点で歴史的なインフレを予想するエコノミストは少なかった」「ロシアやウクライナへの資源依存が日本は少なく、本来なら戦争(ウクライナ侵攻のこと)と日本の物価は大きく関係しない」と述べる。物価高をまねいたのは、円安と「インフレになるとの予想(インフレマインド)」だとする。そして、「今後は物価高が落ち着くとの見方が多い」と述べる。

この見方は甘すぎると私は考える。

私は、インフレの本当の理由を日本政府の莫大な借金だ、と考える。そのため、政府は金利を昔の水準に戻すことができない。円安は当分続く。

それだけでなく、インフレがすすめば、日本政府の借金が紙くずになる、と政府が願っている。借金を踏み倒そうとしている。そのうえ、日本政府は、軍備費を2倍に拡大し、また、選挙対策としてお金をばらまこうとしている。

この日本政府とは、自民党政権のことである。景気対策の財政出動のたびに、国債の発行高を増やしてきた。「暗黒の民主党政権」時は、それでも、まだ良かった。財政出動が景気対策として効果があるか否かの議論があった。本当の暗黒は自民党が政権に返り咲いた2013年にはじまる。お金はどんどん刷れば良いとして、国債を日銀に買わしている。しかも財政出動の恩恵は自民党の支持者にいく仕組みになっていた。

私の妻は女子大出で、同級生の多くは上流や中間層に属する。彼女らは、コロナのときは、働かなくともずいぶん給付してもらったので、今度の選挙では自民党に票を入れると言っている。給付とは、国民一律の給付金でなく、事業者に対する特別給付のことである。

こんな腐敗している日本で良いのか。

岸田が襲われたから「民主主義を守れ」というが、それは自民党政権維持のため、「議会制を守れ」と言っているだけである。

朝日新聞の記事は、政府が、インフレを起こそうとして「賃上げ」「価格転嫁」を言っているとほのめかしている。私は、これが、自民党の本音(真の意図)だと考える。

デフレの原因は、世界的に富が一部の人間に集中していて、購買力が下がっていたからである。富の集中を是正しなくて、インフレで景気対策をしようとするのは、大間違いである。政府の政策を富の再分配に向けないといけない。

横浜市に住んで肌に感ずるのは、家賃が高いことである。モールも多くの店舗が家賃を超える利益を上げることができず、撤退していく。安い家賃の公共住宅、安い家賃のモールを作ることは景気対策になる。

また、株や金融商品からくる利益を個人所得に含めて累進課税を施すことも、税収の拡大、政府の借金縮小に役立つであろう。岸田政権の「資産所得倍増」政策はこれに反する。

インフレ退治は自民党政権退治から始めないといけないようだ。



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