猫じじいのブログ

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ALPS処理水の海洋放出の非常識と再処理工場のトリチウム巨大放出

2023-09-05 00:06:27 | 原発を考える

いま日本のテレビや新聞は、福島第1原発のALPS処理水の海洋放出に反対するのは、中国の反日運動に加担する「非国民」か、科学を知らない「低能国民」かのように、言う。しかし、事実はこの逆であり、テレビや新聞は日本政府の作るウソを垂れ流している。これは、とても悲しいことである。

まず、ALPS処理水を、なぜ、福島第1原発敷地内のタンクに閉じこめたか、このことから確認しないといけない。トリチウムを別にしても、8割のタンクのALPS処理水は、含まれている放射性物質の総和が規制値を越えているからである。したがって、トリチウムを別にしても、ALPS処理水を放出するなら、もともと薄めないといけなかったのである。

さらに、ALPS処理水を100倍に薄めるというのも、あまり根拠のある話ではない。

東京電力は、放出のトリチウム濃度を1500Bq/Lにするためだと主張する。そして、「この濃度は、国の安全規制の基準(告示濃度限度)である60000Bq/L および世界保健機関(WHO) の飲料水水質ガイドラインである10000Bq/Lを十分下回ります」と言う。

賢い読み手は気づくと思うが、日本の「安全基準」は「飲料水の基準」ではない。日本には飲料水の基準はないのだ。じつは、EUの飲料水の基準は100Bq/L、アメリカの飲料水の基準は700Bq/Lである。計画の放出濃度は、EUの基準の15倍、アメリカの2倍強なのだ。決して、十分に低い濃度とは言えない。

ちなみに、自然状態でのトリチウム濃度は、関東地方での降水では、0.4Bq/Lである。

トリチウムの体内蓄積の過程はよくわかっていない。人間は、大量の水を飲み、大量の水を排出するから、トリチウムは他の放射性物質に比べ、安全であると考えられてきた。

しかし、有機物質の水素原子は、いずれ、水分子に含まれる水素原子で置き換わるから、自然にほとんどないトリチウムを長い年月をかけて大量に海洋に放出して良いわけはない。生き物は有機物質から構成されている。トリチウム(3重水素)原子は普通の水素原子と化学的性質が同じだから、海洋のトリチウム濃度と同じ割合のトリチウムをすべての生き物が体内に抱えることになる。

自然環境を守ると言う立場から、トリチウムも海洋放出を控えるべきである。

東京電力や政府は、すでに、全国の稼働中の原発が毎年大量のトリチウムを放出しているから、福島第1原発のトリチウム年間22兆Bqの海洋放出はたいしたことはないとも主張している。

 22兆 Bq = 22000000000000 Bq

きょうの朝日新聞に、「電力各社によると、再稼働した原発の昨年度のトリチウムの年間放出量は、関西電力美浜2.8兆Bq、大飯24兆Bq、高浜26兆Bq、四国電力伊方30兆Bq 九州電力玄海19兆Bq 川内37兆Bq」とある。

これらの原発は、どういうトリチウム濃度で海洋に放出しているのか、私は気になる。トリチウムの検出は手間がかかるから、測定していない可能性がある。日本の近海は、福島沖だけでなく、すべて汚染されていることになる。

ほかでもトリチウム水を海洋に放出しているから、福島でも海洋に放出しましょうというロジックはおかしい。

海洋の自然環境を守るために、自然には ほとんどないトリチウムを生産する 原発の利用をやめよう。

それだけではない。朝日新聞はさらに「日本原燃再処理工場(青森県)では、試運転した2007年度に1300兆Bqを放出した」と書き加えている。これは、驚くべき大きさである。

これは別に事故によるものではない。原燃が再処理工場の建設にあたって、年間の放出するトリチウムの量を18000兆Bqと申告している。

 18000兆Bq = 18000000000000000 Bq

日本政府は、もっと真剣に、人類共有の海洋の環境を守ることを考えるべきである。



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