猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

危機意識のない菅義偉抜きでの新型コロナ対策がいま必要だ

2021-08-13 22:58:41 | 新型コロナウイルス

きょう東京都の新型コロナ新規感染者数(1日あたり)が過去最多の5,773人を数え、国内の新規感染者数も過去最多の20,366人を数えている。入院できない患者の数は、東京都で3万人を超えている。

1年前の8月上旬、ヨーロッパの新型コロナ大流行のときの1日あたりの新規感染者数は、イギリスでも、ドイツでも、フランスでも、スペインでも、千人を超えていなかった。現在の日本の感染者数の増加はまったく異常なのだ。

日本政府は危機意識をもたなければいけないのに、菅義偉に危機意識がまったくないのである。自分は悪くないと言うばかりで、国民に危機を伝えない。

現在 日本で流行中の変異株デルタにワクチンがどれだけ効くのか不明である。しかも、ラテンアメリカには、つぎの強力な変異株ラムダが控えている。それも すでに世界に広がりつつある。

このような状況において、菅が相変わらずワクチン接種をおし進めた自分の実績をほめたたえるだけだ。ワクチン接種が必要なことはわかっている。私も妻も2回の接種を済ましている。

ワクチンだけでは不十分なのだ。政府は、急激な感染拡大を抑えるために、現在、日本で起きている現実を国民に正確に伝え、人と人の接触を緊急に抑えなければならない。

もしかしたら、菅が思い込みが強くて危機意識が足りないのかもしれない。もしかしたら、根拠のない安全安心の思いこみが、菅だけでなく、一定の数の国民に広がっており、それが現在の急激な感染を招いているのではないか。

私の妻はこれまで近所の人のストレッチ(柔軟体操)の集まりに参加していた。人の集まりを極力控えるとの分科会会長の尾身茂の訴えを聴き、きのうの参加を控えることにした。ところが、妻ひとりをのぞいて、安全安心対策をしているから、大丈夫だという。おしゃべりをへらした、手を消毒した、人と人との距離を1m離しているから大丈夫だと彼らは言う。

最近、テレビで感染症専門家が言っているのは、デルタ株はこれまでの新型コロナの2倍から3倍感染力が強い、基本再生産数は5から9人だ、人と人との距離は1.8m必要だ、マイクロエアゾールで広がり空気感染とほぼ同じだ、アクリル板を置いているから安全安心ではなく、換気をさえぎって逆に感染のリスクを高めている、という新しい知見だ。

実際、人が集まるところ、デパ地下でも、モールでも、ファストフードでも、スーパでも、学習塾でも、至るところでクラスターが起きている。お酒を飲まないから大丈夫というわけではない。通勤すること自体が危険なのでだ。

ワクチンについても、ワクチン接種を2回したから安全安心というわけでなく、感染する人が出てきている。2回接種したウガンダのオリンピックの選手団チームで10人のうち2人が発症した。ニュースによれば日本国内でも同じように2回接種の人から感染者がでている。

また、ロイター通信が8月9日に報じた米医療機関「メイヨー・クリニックヘルスシステム研究チーム」の研究結果によれば、今年7月、陽性者の7割がデルタ株に感染したミネソタ州で、ファイザーの有効性が今年1月の76%から42%に低下したのに対し、モデルナの有効性は同86%から10%減の76%だったという。

きのう、TBS『報道1930』で、東大先端科技研の児玉龍彦は、ファイザーのワクチンがモデルナのワクチンより先に接種されているので、時間的劣化で、免疫力が落ちてきた可能性も高く、いつ接種したかを分析しないと、これだけで、モデルナのワクチンがファイザーのワクチンより有効だとはいえないと言った。

それにしても、ファイザーのワクチンによる免疫力が半年ちょっとで5割を切ったかもしれないというのは驚きである。

とにかく、ワクチンの効果は、単に変異株だからというだけではなく、時間とともに薄れていくのだ。このことのほうが欧米では大きな問題になっている。アメリカのCDCは3回目のワクチン接種が必要だいう見解を今月になって表明しており、WHOの全世界に広く2回目のワクチン接種を進めていくのが先だとの勧告と対立している。

ワクチンの奪い合いが今年中は続きそうだ。

感染力が強い変異株は症状が軽いというのも、間違った思い込みで、RNAウイルスは変異が起きやすいが、その結果、どういう株ができるかは予測不能、すなわち、中立的である。感染しやすいという性質と重症化しやすいという性質には関係がない。どうなるかは全く偶然である。いまのところ、デルタ株はどうも従来株より症状を悪化しやすいらしいということだ。そして、感染者数が多いとそれだけ多く変異が起きる。

長々と書いたが、行動変容ということが、今こそ必要だと思う。菅個人は、「ロックダウンは日本にはなじまない」「ロックダウンしても効果がない」などと言う。必要なのは危機を国民全体に共有してもらい、短期間で良いから、本当に人と人との接触を減らすことである。罰金をとることが日本になじまないなら、政府は、危機的状況を心から訴えて、外出を控えることをお願いすればよい。それを菅が「ロックダウンしても効果ない」などと言って、どうしようもないから好きなようにしてください、かかったら自宅療養しましょう、インフルエンザーなみだから安全安心ですよ、10月末までに2回のワクチン接種を済ましましょうでは、感染爆発が抑えられず、日本の医療が崩壊し、予測不能な状態に陥る。

危機意識のない菅をどこかに閉じこめて、西村康稔大臣と河野太郎大臣と分科会尾身茂会長と厚労省の脇田隆字座長だけで新型コロナ対策を国民に訴えたほうが良いと思う。そうしないと、誤った「安全安心」を国民の間に広めてしまう。