『 ヘボのアルバム 』

“ヘボ”ちゃんをこよなく愛する蜂狂さんとのコミュウニケーションの場です・・・

     『 繰り返し荷重の珍現象!!! (つづき) 』

2012-12-05 21:02:51 | Weblog
             


被害者にとっては極めて忌々しき事でお気の毒だったが、この原因系については色々な教訓を与えた!
事故原因には、工学的に考察すると、必ず、遠因、要因、原因がある!!!
老い耄れ爺は、過って某社に37年間も務めていたが、その多くは、ヘッポコ技術者としてこの手の不良事故原因の解析や原因追及に身を置いていた。
言うなれば判らない事だらけで人間の知恵の無さ、愚かさを嫌という程味わって来た。
原因解析で判って見れば「コロンブスの卵」だが、賢いようでも人間様は、案外、間の抜けた所が多い!!!   
こういう付焼き刃の連続で知恵が付き、段々に利口になって行くのだろうと思う?

過って、若かりし頃、こんな経験をした事があった。

戦後間もなく日本経済は、急成長を遂げ、バブル期の前哨戦に突入した。
作ればジャカスカ売れる時代だった。
企画した商品は、飛ぶように売れた!!! これは、国内に限った事ではなかった。 世界中、物欲に嵌り込んでいた。
時計:ウォッチが大好きで某社に入り、時計学(Horology)のなんたるかが段々に解るようになる・・・
時を正確に刻む理論勉強に興味が湧いた!!! ここに一端の理論が存在しているとは思いも依らなかったので、非常に興味深かった。 グロスマンの「理論時計学」は老い耄れ爺のバイブルみたいな本だった!
そして、「自動巻時計」が、日本でも製造出来るようになり幅を利かす!!!
我社は画期的な「自動巻時計」を開発した。
部品点数が極端に少ない上に一寸した腕の運動でも動力源であるゼンマイを効率よく巻き上げる画期的な自動巻腕時計だった。
販売後、相当数の時間を経た時期この時計にクレームが生じ出した。
使っていると時計が止まる!!!という有ってはならない重大クレームだった。
原因を解析して見ると、何の事はない、機械体(ムーブメント)をケースに止めているネジ:(側止めネジという)が緩み、これが抜け落ち時計内に入り込み動作部に嵌り込み止めるという言うなれば他愛無い些細な原因だった。
幾ら強くネジ締めしても時間が経つと緩んで来る!!!
多くの技術者は、これが不思議でならなかった!

そして、この原因は思わぬ所にある事が判った!!!
自動巻の回転錘という分銅が四六時中グルグル回っている間に出す、極々、微細な振動が機械体:ムーブメントの土台を揺り動かしこの振動でネジが緩んで行くというそれこそ想定外の原因だった!!!  
こんな事ってかなりの知識を持った技術者でも思いも依らない原因で技術者を慌てさせた!

暫定的には、ネジ径を太くし、更に、強く締める事に依って呆気なく事が収まった。
そして、抜本的には、それ以降、機械体の止め方の構造変更をし、ピシャリこの手のクレームを出す事はなかった。

微細な振動、動き等が齎す事故原因は色々な分野で数多く報告されている!!! 疲労破壊等もこの類だ!!!
機械工学には、この疲労破壊を事前予測し、防止に努める学問さえある。 また、経時変化で疲労破壊する分野には、それ相応の安全率を施した設計をしなさい!!!と、学生時代、教授先生から教えられていた・・・
航空工学、水力学、自動車工学等では、この繰り返し荷重、振動に依る疲労破壊が重要視されている!
常識的には、想像も付かない要因が、不良要因になっている事が以外に多い・・・ 

今回の報道を聞いていて、こんな思い出が頭を過った!!! お前もか?と。。。
  

     『 安全率。。。 』

2012-12-05 00:09:55 | Weblog
               


一昨日の朝のことである・・・
朝からラジオを聴いていた。
中央道の笹子トンネルで崩落事故が発生した!!!と、報じていた。 
この時点では詳細は判らなかったが、トンネル事故となると大変な事だろうなァ~~~と、一瞬思った。 そして、直様、頭を過ったのは、設計上の事故ではなく単なる一寸した落盤であって欲しい!と・・・
時間が経つにつれ事故の大きさが明るみになって来た。

捜査当局や事故調査委員会のメンバーが加わるようになりヤバイな!と思った。
TV報道によると、釣り天井を吊っているボルトが抜け落ちた!!!というのだ。
専門家ではないので詳しい事は判らないが、僅か1.5cmのボルトをコンクリートの中に打ち込み、これを接着剤で止め、1枚1~1.5トンもあるコンクリートの板を吊っているという・・・
トンネルとはこんな構造になっているか!と、唖然とした。 空調換気を効率よくする為の吊り天井だという・・・
工学的には、実に嫌なボルト固定方式で、内心こんな構造で荷重の大きな天井板を支え切れてるのだろうか?と、心配になった。
狭いトンネル内を高速で走る車に寄って、絶えず微震衝撃波が発生している筈だ!!!
こういう連続衝撃波は、実に、厄介!!! 小さい衝撃はでも四六時中起きている! そして、長い年月が過ぎた。
当然の事ながら疲労破壊が想定される!!!
こういう条件は、機械工学では極々当たり前の話で構造設計する上で一番厄介な話、手強い条件設定である。 土木工学の専門家ではないのでトンネルの事は判らないが、微視的に見ても吊り天井は車の走る風圧が衝撃波となって微振動を受けていた筈だ!!!
こういう条件に依る繰り返し破壊は最も恐れる!!!
機械工学の世界では、「よく下調査しろ!!!」と、諸先輩方から言われてきた・・・
事実、微細事故にしろ、現役の頃よく出会って苦戦した思いがある・・・

笹子トンネル吊り天井方式は、日本各地にザラザラ存在しているという・・・ 有名な恵那山トンネルも同じだという。
内心、嫌な話だな!!!と思った。

果たして 
①.ボルトの強度
②.コンクリートに打ち込んだボルトピッチの強度とこんな軟な構造で果たして?
③.接着剤の効用? (接着剤程不安定な継ぎ手補強は無い!!!)
④.経年変化や老化?
⑤.長期衝撃波振動に対する疲労破壊の検討は?微振動でも繰り返し荷重を甘く見るとと大変な事になる!
⑥.構造設計上果たして耐えられるのか?
他人事ながら何とも危なっかしいトンネルに・・・ ついつい心配になってくる。
老い耄れ爺が土木工学のプロだったらこんな危なっかしい構造は採用しないね・・・  

福島原発の時もカキコしたが、度重なる事故と安全率の取り方に不安を感じる爺である!!!
庶民の知らない所に危険の種が蔓延している・・・