日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 だから考えるだけでムカつくって言ったんですよ。温家宝・首相による国会演説の一件です。やらせてみたら果たせるかな、という結果になっちゃったじゃないですか。言わんこっちゃない。

 そもそも、なぜ一党独裁政権の首相に、普通選挙制の洗礼を受けた国会議員で構成される立法府で演説する資格を与えたのか。少なくとも日中関係の現状に照らして、そこまで許す必要がどこにあるのでしょう。

 演説が言いたい放題の内容であることを知っているのかどうか、聴衆たる国会議員どもは演説の合間合間に熱い拍手。まあ、こいつらを選んだ私たちが馬鹿だったということなのでしょう。orz

 言わずもがなのことですが、中国を一党独裁制で支配している中国共産党(中共)の価値観というのは、日本が到底共有できないものなのです。

 前回は「中共=ちょっとオシャレした北朝鮮」と書きましたけど、幻惑されている日本人がかくも多いということは、

「中共政権=かなりオシャレであか抜けた北朝鮮」

 くらいに修正しなければならないようです。

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 野暮を承知で申し上げますが、中共政権が言うところの「対話」「協議」とは
「中共の言い分の押しつけ」「中共からの命令伝達」であり、「協力」とは「中共への奉仕」ということで、「平和」とは「中共による制圧下での非戦時状態」という意味。

 「友好」とは
「中共に従順」です。「友好団体」「友好人士」なんて中共に呼ばれている連中の顔ぶれを思い浮かべればわかるでしょう。中共のいう「中日友好」とは「日本が中共に従順な国であること」という意味です。「孫子の代まで友好を」なんて冗談じゃありません。

 ちなみに「交流」とは
「中共の価値観の押しつけ&軽度の洗脳」。軽度の洗脳とは、

「中国はいい国だ」
「日本は昔なんてひどいことを中国と中国人にしてしまったのだろう。反省しないと」

 という気持ちにさせることです。

 それをわかっている人が少なすぎますね。政治家も国民もです。ざっくりと言えば、30歳以下だと天安門事件(1989年)をリアルタイムで認識していないでしょう。中共が牙をむいたシーン、流血・粛清を伴う常軌を逸した政治運動といった中共本来の得意技を「体験」していないのです。
「中共政権=かなりオシャレであか抜けた北朝鮮」ということに気付いていません。

 むろん、「対話」「協議」「協力」「友好」「平和」「交流」といった「中共語」も正確に翻訳できない訳で。



 ●「日本は何番目かの省に…」 中川政調会長が中国脅威論展開(Sankeiweb 2007/02/26 21:48)
 http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070226/skk070226003.htm

 自民党の中川昭一政調会長は26日、名古屋市内で講演し、中国の急速な軍事費の増大を指摘し、将来的に日本が中国の勢力下に置かれかねないと強い警戒感を表明した。

 中川氏は講演で「台湾が(今後)15年でおかしくなったら、20年ぐらいの間に、ここ(日本)は中国の何番目かの省になるかもしれない」と発言した。その後、国会内でも記者団に「中国は今は平和的台頭でおとなしくしているが、2010年(の上海万博)が終わると、いよいよ“非平和的台頭”になる可能性がある」と強調、「台湾が完全な勢力下に置かれた場合、次は日本になりかねない」との見方を明らかにした。
(後略)



 この人は中共の本質と「中共語」がわかっているようです。たぶん、中共とはどう付き合えばいいかも。

「台湾が(今後)15年でおかしくなったら、20年ぐらいの間に、ここ(日本)は中国の何番目かの省になるかもしれない」

 というのはシャレでも大袈裟でもありませんよ。

 ――――

 さてその温家宝による国会演説。日本の新聞各紙はきれいにまとめていたようですが、中共語の「対話」「協議」「協力」「友好」「平和」「交流」がたくさん散りばめられた内容でした。簡単にいえば温家宝の独壇場、言いたい放題のイベントといったところでしょう。

「中国本土でも生中継されるから」

 なんて余計な心配をしてやることはないのです。日本の国会で演説するのですから、その内容は日本人に向けられたものでなければなりません。そのために温家宝が帰国後「売国奴」扱いされてもそれは中国国内の御家事情ですから、日本がそれを思いやる必要は全くないでしょう。

 で、温家宝演説ですが面倒くさいので数字で出してみました。予定稿と思われる新華社が配信した記事を基にしています。

 ●日本の国会における温家宝の演説【全文】(新華網 2007/04/12/16:33)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-04/12/content_5968135.htm

 私が数えたものなので正確な字数ではないかも知れませんけど、かくの如く相成りました。

 ●全文    :4333文字
 ●歴史問題  :1209文字
 ●日本への評価: 119文字
 ●台湾問題  : 121文字

 要するに温家宝演説のうち27.9%が歴史問題、つまり日本が中国を侵略していかに中国人民が災禍を被ったかとか、それでも大陸から日本へ帰国する日本人たちを助けてやったとか、残留孤児を育てた養父母がどうとか、そういう非難と恩着せがましい言辞、そして「寛容な中国人民」とかいう自画自賛で占められています。約3割ですよ。

 これに対し、中国の経済発展に日本や日本人が貢献したことに感謝する、とか戦後日本が平和的発展を遂げたことに対する評価、といった内容の部分はわずか119文字。全体の2.8%しかありませんでした。

 ちなみに、台湾問題についての言及にはそれより2文字多く費やされています。要するに日本と日本人への感謝や評価の言葉は「台湾問題に介入するな」という念押しよりも少ないのです。

 しかも何とこういう事実が発覚。



 ●温首相が原稿の一部を読み落とし、意図的との憶測も(読売新聞 2007/04/12/19:11)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070412i211.htm

 中国の温家宝首相が12日に行った国会演説で、準備されていた原稿の一部を読み落とす一幕があった。

 読み落としたのは「日本は戦後平和発展の道を選び、世界の主要な経済大国と重要な影響力を持つ国際社会の一員となりました。中国人民は日本人民が引き続きこの平和発展の道を歩んでいくことを支持します」などとした段落。

 演説終了後、中国政府から日本外務省に対し、「拍手の合間で原稿を読み始めるところを間違えた単純なミス」という連絡があったという。

 温首相の演説をめぐっては、歴史や台湾問題で厳しい表現が多かったため、日本政府が事前に「表現を弱められないか」と打診し、中国政府が拒否した経緯があった。このため、日本側では一時、「戦後日本の平和発展を評価した段落を意図的に省略したのでは」との憶測を呼んだ。



 この「読み落とした」部分を差し引くと、「日本と日本人への感謝・評価」はたった44文字になってしまいます。

 
全体の1.0%。

 残りの99%は歴史問題と「対話」「協議」「協力」「友好」「平和」「交流」といった中共語を交えた内容、そして安倍仲麻呂とか鑑真とか孫文とか魯迅といった過去の日中間の往来を例に引いた一種の外交辞令です。

 これでも万雷の拍手ですか、そうですか。……いや、やはり選挙で連中を選んだ私たちが馬鹿なのでしょう。

 ――――

 日本が中国に舐められているとしか思えないのは温家宝演説ばかりではありません。例の東シナ海ガス田紛争に関する問題です。温家宝演説では、

「東シナ海問題については、両国が争議を棚上げして共同開発を行うという原則に基づいて、積極的に協議を重ねて、対立軸を平和的に解決して実質的な一歩を踏み出し、東シナ海を平和と友好と協力の海にすべきである」

 となっています。「平和」と「友好」と「協力」の海ですか。上に示した「中共語」で翻訳すればどういう状況を中共が望んでいるかが理解できると思います。

 で、「争議を棚上げして」とのことですが、これについては国会演説が行われたのと同じ4月12日(きのう)、中国外交部の定例記者会見で秦剛・報道官がとんでもないことを言ってのけています。



秦剛「まず『共同開発』という概念についてはっきりさせておきたい。『共同開発』とは中日双方の間に係争がある海域で行われるべきものだ。いま中国が東シナ海で進めているガス田開発は日本との間に係争のない海域で行われている。中国側が主権という権利を行使した正常な活動なのだ。日本側がこのことを理解できるよう希望する」

記者「中海油(香港)公司が昨日『天外天』ガス田地区での採掘・供給活動を開始していると発表しているが、これについての見解を伺いたい。これは『共同プレス発表』の内容と精神に違反するものではないか?

秦剛「我々の立場は先刻の質問で述べた通りだ。いま中国が東シナ海で進めているガス田開発は日本との間に係争のない海域で行われている。中国側が主権という権利を行使した正常な活動なのだ。具体的なガス田開発は企業活動に属するものだから、具体的な状況についてはわからない」

記者「日本側は中国側が東シナ海で開発・採掘している一部のガス田が係争区域に含まれているとしている。中国は日本側の線引きによる主張を受け付けないということか?」

秦剛「中国側の東シナ海の線引きに関する主張は『国連海洋法条約』など一連の現代海洋法が規定する大陸棚自然延長論の原則に基づいており、我々には十分な法的根拠がある。日本側は東シナ海での境界線問題で別の主張をしており、中日間に係争が存在する。それについては友好的な協議を通じて解決したいと我々は主張している。いま御質問の内容は日本側が主張する『中間線』の原則に基づいており、中国のガス田開発活動が日本の主張する『中間線』を越えて行われているとするものだ。だが日本が一方的に主張しているいわゆる『中間線』について、中国側はこれを承認しない。この立場が変わることはない」

 ●「新華網」(2007/04/12/21:39)
 http://news.xinhuanet.com/world/2007-04/12/content_5968837.htm



 中国側は「国連海洋法条約」の都合のいい部分だけを抽出して自らの根拠としているようですが、この辺の詳細は「有馬温泉 ◆BCjH.6d5ig 」さんの解説を待ちたいところです。

 ●私たちにできること。(2005/09/21)
 ●有志の方々によるまとめサイト(その1)
 ●有志の方々によるまとめサイト(その2)

 私に言えることは、11日の『共同プレス発表』と温家宝の国会演説、そして上の外交部報道官定例記者会見がリンクしているということです。さらにいうと、これは香港の親中紙『大公報』電子版(2007/04/12)が掲載した2本の記事ともつながっているように思います。

 ●日米の測量船を中国海監が海と空から厳しく監視(『大公報』電子版 2007/04/12)
 http://www.takungpao.com/news/07/04/12/ZM-720309.htm

 ●中国海監が日本の測量船を撮影・録画でしっかりマーク(『大公報』電子版 2007/04/12)
 http://www.takungpao.com/news/07/04/12/ZM-720426.htm

 「中国海監」とは中国国家海洋局に属する「海洋執法監察機構」のことです。この2本の記事はその中国国家海洋局が『2006年海洋行政執法公報』を発表したことに由来しているのですが、その『公報』も含めた一種のキャンペーンかと思われます。

 さらにこの『大公報』が以前掲載した似たような内容の記事を胡錦涛の御用新聞である『中国青年報』系列の『青年参考』が転載し、それが新華社によって配信されています。これもタイミングを合わせた動きでしょう。

 ●国家の海洋権益保存へ、東シナ海定期巡視制度を確立(新華網 2007/04/12/07:34)
 http://news.xinhuanet.com/mil/2007-04/12/content_5964941.htm

 全てが4月12日に出揃う、というのは偶然と呼ぶには出来すぎた話としか思えません。



 ●財布取られる…政府のガス田対応、中川政調会長が批判(読売新聞 2007/04/04/19:47)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070404i312.htm

 自民党の中川政調会長は4日、札幌市で講演し、中国が東シナ海の日中中間線付近でガス田開発を進めている問題について、「泥棒が入ってきて、タンスを開け、財布を取ろうとしたら、『タンスを開けるな、財布を取るな』と言うのが普通だが、そうではなかった」と述べ、これまでの日本政府の対応を批判した。

 そのうえで、「(中国の)温家宝首相が来るから、安倍首相が中国に行くからと理由をつけて先延ばしにし、黙って自分の財布が取られるのを見ているというのは、国民に対していかがなものか」と語った。
(後略)



 この中川政調会長の言葉が正しかったことが今回はっきりと証明されました。……なんて言っている場合ではありませんね。中共政権は「温家宝来日」という一大イベントで日本側を幻惑しつつ、温家宝に国会で日本を舐め切った演説を行わせ、一方では東シナ海の問題のガス田確保について既成事実を積み重ねているのです。正に「言いたい放題&やりたい放題」ではありませんか。

 本来なら、温家宝がまだ日本に滞在しているのですから、日本は中国側の動きに抗議する意味で温家宝のためにセッティングされた残りのイベントを全てキャンセルすべきです。それが
「かなりオシャレであか抜けた北朝鮮=中共政権」に対する付き合い方だと思うのですが、いかがでしょう。




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