日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 前回の冒頭で台湾のクリエイターどもに秋葉原のメイド喫茶へと連れ込まれた話を書きましたが、実は後段があります。

「巫女さんを見たいです」

 というのです(笑)。メイドさんに巫女さん……さすがにACG業界人だけのことはあります。そうか巫女さんか。それなら今日は早めの晩飯でカレーを食うことになるけどいいな?古い飛行機や機関車や大砲も見ることになるけどいいな?(笑)と念を押すと連中は嬉しそうに何度か頷きました。

「よしそれでは岩本町から都営新宿線で九段下へ行こう」

 と私が先導して、やや不謹慎のきらいはありますが靖国神社へ直行です(笑)。連中は立ちはだかる大鳥居を見ても全く動じません。このあたり香港人と違って妙な先入観やアレルギーがないので台湾人はいいです。自分だけ参拝するつもりだったのですが、台湾の戦没者も祀られているのだと説明したら神妙な顔になって私の見よう見まねで一緒に参拝してくれました。

 予定通り海軍カレーを食したあと、連中は零戦や十五榴、それに蒸気機関車などをデジカメで熱心に撮影していました。色々な角度から撮っていたのは、たぶんメカ好きという他に仕事の資料になるかも知れないという理由からだと思います。

 さて肝心の巫女さんです。参拝途上やお守りなどを売る売店で見かけたのですが、連中はどうも不得要領で、

「御家人さん、あれが巫女さんですか?私の巫女さんと違います」

 などと言うのです。「そうか?」と応じつつ、当たり前だろっ!と私は思いました。恐らく連中が想像していたであろう2次元美少女のような巫女さんなどいる訳がないじゃないですか。

 ……と言いたいところなんですけど、実は今年の初詣で実家への手土産を買ったとき、私はストライクゾーンな巫女さんに遭遇してしまいました。普段は見かけないのできっとアルバイトの方なのでしょう。可愛いというより端正な美人というべきひとで、連中に理解できる話し方をするなら、2次元よりはポリゴンで表現する方がふさわしいタイプです。

 その点では連中のイメージする巫女さんにはそぐわないかも知れませんけど、瞳が実に印象的で「吸い込まれそうな……」という修辞が現実に通用することを初めて知りました。楚々とした雰囲気も巫女さんの装束によく似合っていて、

「今の人きれいだったねえ」

 と同行する配偶者にうっかり言ってしまい、言ってから私は慌てて間合いをとりました。配偶者は不意に予期せぬ方向から脛を薙いでくる蹴りを得意技としているのです。幸いすぐそばにお神酒を頂ける小屋が出ていて、お酒となると頬のゆるむ配偶者は瞬時に上機嫌になったので助かりました。正に天佑であります。

 という訳で、

「正月だよ。お前ら今度は正月に来い」

 と、やや落胆気味の連中には言っておきました(笑)。

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 ……まあ日曜ゆえの戯れ言と読み流して下さい。ここから先も楊枝削りですからスルーして頂いて結構です。


ひとつだけ/the very best of akiko yano
矢野顕子, 糸井重里
ERJ

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 私はYMOが好きです。古い世代ゆえリアルタイムでファンになり、「散開」してしまったのが確か高校2年のときでした。その周辺という感じでメンバーのソロアルバムはもちろん、戸川純やゲルニカやYENレーベル系もよく聴きました。

 ところがバンドをやったらなぜかデュラン・デュラン路線で、曲を作ってみたらリチャード・クレイダーマン風味という体たらく……orz。香港に渡るときには会社払いで運送業者に荷物を任せてしまえたのですが、土鍋ひとつ(飯も炊けるしラーメンも食える)と余暇のためにシーケンサーだけは手荷物で持っていきました。

 香港にも新星堂などがありましたし、ローカルのCD屋も様子は日本と変わりません。ただ売っているものがまるで違うだけで(笑)。でも邦楽もそれなりに揃っていて、たまにYMOのREMIX版などが入荷すると買ったりしていました。するとレジのお兄さんが、

「坂本龍一。おれも好きだ」

 などと言って「東風」のさわりを口ずさんでくれたりします。そういう嬉しくなるエピソードが何回か、別々の店でありました。その中の一人にふと、

「じゃあ『戦メリ』は好きか?」

 と尋ねてみたことがあります。

「好きだ。でもサントラより『Coda』の方がいいと俺は思う」

 と答えるのでつい嬉しくなって、

「お前、詳しいな。ピアノは弾けるか」

「まあ弾ける」

 と言うので、そのピアノスコアを日本から持ってきていた私はコピーして次の機会に渡してやったらひどく喜んでくれました。しかし楽譜は毒です。シーケンサーでは物足りなくなってしまい、とうとう私は現地でシンセサイザーまで買ってしまいました。説明書は英語だったのでヤマハに連絡して日本語版を取り寄せました。私の娯楽がチナヲチから離れてしまったのはそのためです。

 この愛機はいまも拙宅にあるのですが如何せん電圧が香港仕様の220V。変圧器を買わなくちゃなーと思い思いしつつ現在に至っています。

 ――――

 そのころ私はすでに香港のACG業界と関わり始めていて、勤務先も「独りだけ日本人」だったので日本へしばしば出張するようになっていました。ちょうどMDが普及し始めたころで、私は最初の出張で取材用にMDレコーダーを買い、ついでにCD屋をのぞいたら上記矢野顕子「ひとつだけ」のMD版があったので、おおと思い衝動買いしました。

 ほどなく、日本のテレビゲーム業界においてYMO好きで知られる著名クリエイターI氏が画面が真っ黒で音だけの「リアルサウンド」という斬新なゲームをセガサターンという家庭用ゲーム機向けに制作しました。プレイヤーの選択次第でストーリーの展開が変化するマルチエンディング方式のラジオドラマといった体裁です。偶然ながら、……まあI氏にとっては必然だったのでしょうけど、その主題歌がこの「ひとつだけ」でした。

 あるとき、出張から香港に戻るとたまたまそのゲームが発売間近で同僚たち(香港人)の話題になっていたので、「その主題歌はこれだよ」と「ひとつだけ」をMDで聴かせてやりました。聴くうちに相手の表情がみるみる変化していくのが面白かったです。

「御家人さんは……こんな音楽を……聴いているんですか?」

 と呆然たる顔で尋ねられたので、私はサカモト好きのCD屋の兄ちゃんたちを思い出して「参ったなー」と思いました。

(こいつらが聴いているのはどうせ香港歌謡とか声優のアルバムとか、まあそういう類いだからな)

 と内心少しだけ馬鹿にして……というより軽蔑してしまいました。ごめんなー>>同僚ども。

 ちなみにI氏が率いていたゲームソフトメーカーW社にも何度か仕事で訪ねたことがありますが、オフィスとは思えない和をイメージしたインテリアで行くたびに癒されました。……のではなく、私が癒されたのは常に社内に流れていたYMOの音楽です(笑)。やっぱりノリ重視なのでしょうか、ワールドツアーとか武道館とか散開ツアーとか、いつもライブアルバムだったように記憶しています。

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 この一週間はあっという間でした。地獄の年末進行と東京観光とメイド喫茶に巫女さん、それから例によって恩師との電話で慌ただしく過ごしてしまったような観があります。仕事中や当ブログを書いているときは「ひとつだけ」を流しっぱなしでした。ただ年甲斐もなく「いきものがかり」という若手のバンドに浸るという症状は前週から持続していて、ひと休みしたり一服するときには下の2枚でしみじみしました。

SAKURA
いきものがかり, 水野良樹, 島田昌典, 山下穂尊, 亀田誠治, 荒井由実, 江口亮
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コイスルオトメ
いきものがかり, 水野良樹, 田中ユウスケ, 山下穂尊, 中山加奈子, 江口亮
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 年甲斐もなくしみじみできることが我ながら嬉しいです。「よしよし、まだ乾いていないぞ」と思ったりします。そしてそう思う自分をすっかりオッサンだなあと自嘲しつつ、リポビタン(ゴールド!)をぐびりとやって再び修羅場へと戻るのです(笑)。




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