ゴエモンのつぶやき

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“障害を価値に変える”社長の理念 5/5

2016年04月30日 03時38分04秒 | 障害者の自立

 株式会社ミライロの代表取締役社長・垣内俊哉氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。最後のキーワードは“最高の準備”。

 垣内さんは“準備”という言葉を用いて、自身の“飛躍のアルゴリズム”を語る。

■当たり前じゃなく“最高の準備”

 思い返せば小学校の時、私は遠足が楽しみだったかというと、楽しみじゃなかったんですね。例えば、普通の子どもであれば、「明日のお弁当やおやつは何だろう」と楽しみにしますが、私が気にしていたことは、例えば「エレベーターがあるのか、車いすで使えるトイレがあるのか」―そんなことばかりが気になって、前の日にわくわくではなく不安で眠れなかった。よって、いつも調べる癖がついていたんです。

 例えば、お客様に会いに行くときも、必ず5分前、10分前に着くには駅のエレベーターがどこにあるのか。そうしたことも入念に調べて準備するということを今日まで行ってきました。ビジネスにおいても当然のように様々な準備をすることで、完璧な準備を最後までやりきってこそ自信を持った仕事もできると思うので、そういった意味で、当たり前の準備じゃなく“最高の準備”をすることが大切だろうということでこの言葉をあげています。

(04/28)  日テレNEWS24


“障害を価値に変える”社長の理念 4/5

2016年04月30日 03時34分32秒 | 障害者の自立

 ミライロ代表取締役社長・垣内俊哉氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは「自分のバリアをバリューに変える方法」。起業時には“明日食う飯”にも困ったという垣内さんだが、その苦難も乗り越えてきた。理念を支える源とは何だろうか。


■“車いすの視点”が社会をより良く変える

――「自分のバリアをバリューに変える」、これはどういう意味なのでしょう。

 このバリアバリューというのは、私の会社の企業理念にもなっていて、先日、出版した本のタイトルにもなっています。この意味は障害(バリア)を価値(バリュー)に変えていこうという意味があります。

 例えば、私は車いすに乗っています。このいすの高さは106センチなんですね。この高さだからこそ、気付けることが、伝えていけることが、新しく生み出せることがあるだろうと。

 一般的にネガティブに見られていたことも、例えば人の「苦手な部分」「不得意な部分」ですらも視点を変えれば、それは必ず価値になる瞬間がある。そうした思いを込めて、バリアバリューという言葉をあげています。

――具体的には?

 例えば、いま、私の会社はまさにバリアフリーのコンサルティングをやっています。例えば段差ひとつをとっても、何気なく歩いているときには、見えなかったこと、気付けなかったことなどに気付き、その段差を解消することで、高齢者の方や、ベビーカーを押すお父さんやお母さんにも使いやすくなります。つまり車いすの視点で気付けたことが、みんなにとってもよりよくなる、そんなきっかけになっています。


■“明日食う飯”もなかった時代

――2010年から会社を始められていますが、いろいろ苦難もあったと思います。これは厳しかったなということはありますか。

 苦しかったことでいいますと、一期目の売り上げが120万円しかなかったんです。当時、まだ大学生でしたので、飛び込み営業をするなど苦労して、少しずつ積み上げてきました。“明日食う飯”もないような、そんな状態でした。

――くじけそうになりませんか?

 心が折れそうになりました。その“明日食う飯”がない時に、どう生き延びたかというと、ずっと豆乳を飲んでいたんですけど…

――豆乳ですか?

 豆乳というのはタンパク質がとれるので、腹持ちがいいんですね。豆乳だけではさすがに飽きるので、それに野菜ジュースを混ぜて飲むというのを朝昼晩と…気がつけば相方の副社長は10キロぐらいやせて、私は肌がめちゃくちゃきれいになりました(笑)。そんなかたちで、くじけそうになりながらも、こういったバリアバリューという理念を達成しようと、なんとか今日まで歩んでくることができました。


■いつか父になるその日までに―

――そこまでくじけずにがんばれる源は何でしょう。

 私は骨の病気で車いすに乗っているんですが、実はこれは父も弟も同じなんですね。先祖代々遺伝してきたものだったんですけど、もし私がいつか、家庭を築き、子を授かるとき、私の子どもも同じように体が不自由な状態で生まれてくるかもしれません。

 私は、恥ずかしながら、歩けないと知ったときに、それは17歳の時だったのですが、自殺を試みたことがありました。いつか生まれる子どもには、歩けないから、車いすだから死にたいではなく、歩けないからこそ、車いすだからこそ、こんなことに気付けた、こんなことが学べた、これだけ多くの人に恵まれたんだ、とそんなことを思えるような社会を、いつの日か、父になるその日までにつくっておきたいなと思います。

(04/28 )  日テレNEWS24


“障害を価値に変える”社長の理念 3/5

2016年04月30日 03時30分23秒 | 障害者の自立

 ミライロ代表取締役社長・垣内俊哉氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「掃除をサボっても障害という免罪符で逃れた。そのとき、初めて自分が障害者であることを意識した」。

■垣内くんは障害者だから

――どんなことがあったんですか。

 中学生の時だったんですが、給食当番での配膳の役割の時に、私は消しゴムとほうきを使って友人とサボっていたんです。この時に、周りの友人はみんな先生から怒られたんです。その中で、私だけ怒られなかったんです。なぜかというと、「垣内くんは障害者だから」「掃除も給食当番も何もしなくていい」と。

 その一言で気づいたんです。同じクラスメートの中にも、障害者と健常者という壁があるんだと。そういうことを通して、自分とどう向き合うかを考えました。


■かなわなかった「足で歩く」こと

――障害にどのように向き合ったんですか。

 最初は「足で歩けるようになりたい」と。「他の生徒がみんな歩いている。その中で自分も普通に歩けるようになりたい」。そんなことを思い、高校を退学して、手術をして、リハビリをして、歩けるようになろうと努力をしていきました。

 しかし、足で歩くことはかなわなかったんです。そこから、歩けなくても出来ることを探していこうと、勉強して何とか大学に入ってというかたちでした。

■“車いす”に誇りを持て

――デザイン会社でアルバイトした経験もあるそうですね。

 ホームページのデザインをパソコンでする仕事だと思っていたところ、私に命じられた仕事が営業の仕事だったんです。営業の仕事をする中で、他の営業マンは10件、20件、30件と回れている中で、私が回れる件数は本当に少なかった。それでも、ここでは営業成績が一番良かったんです。

 これが一つのきっかけで、当時の上司に言われたのが、「お前、いつまで歩けないことをウジウジ言っているんだ。歩けないこと、車いすに乗っていること、それがキッカケでお客さんに覚えてもらえるのであれば、それはお前の強みなんじゃないか。車いすに乗っていることに誇りを持て」。そう言われた時に、障害に対する見方は変わりましたね。

――そこが大きなターニングポイントとなって、ある意味自信が持てるようになってきたんですね。

 そうですね。

(04/28 )   日テレNEWS24


“障害を価値に変える”社長の理念 2/5

2016年04月30日 03時27分18秒 | 障害者の自立

 株式会社ミライロの代表取締役社長・垣内俊哉さんに聞く「飛躍のアルゴリズム」。2つ目のキーワードは「困っている人を見かけた時、かける言葉は『大丈夫ですか?』ではなく『何か出来ることはありますか?』」。その真意を聞いた。


■「大丈夫ですか?」ではなく「何か出来ることはありますか?」

――垣内さんこれはどういうことでしょう?

 私自身もよく聞かれるのですが、「大丈夫ですか?」と聞かれれば、不安にさせたくないため、みんな「大丈夫です」と言ってしまうんですね。特に、ご高齢の方はそういってしまいます。そういったなかで、どう向き合うべきか、考え直さなければならないと思います。

――そういったことをまとめたのが“ユニバーサルマナー検定”ということですね。具体的にはどういった質問が出るのでしょうか?

 ユニバーサルマナーという考え方は、障害者や高齢者との向き合い方を特別なこと、他人事ではなく、みんなが知っていて当然、できたらちょっとかっこいいよね、というくらいのマナーとして考えていこうというものです。自分とは違う誰かの視点に立って、どう行動すべきなのか、みなさんに「問う」そうした研修になります。


■ユニバーサルマナー検定の実際の問題とは?

――具体的にどんな問題があるのでしょうか?

 問題形式にしましたので、坂木さんに挑戦していただきたいと思います。

 車いすに乗っている女性を左右から2人の男性が持ち上げて、階段から下ろしている様子なのですが、サポートの方法が間違っています。どこが間違っているのでしょうか?

 坂木キャスター「前に転倒してしまうかもしれないから、前からも支えた方がいい?」

 惜しいですね。まさに、問題点としましては、車いすの前方から落ちてしまうことなんですね。傾斜がつく坂道も、急な階段もそうなんですが、このようなやり方では車いすの前方から人が落ちてしまうリスクがあります。そこで車いすを前からではなく、背面から下ろすというのが正しいサポートの仕方です。

 続いては、視覚障害のある方を後ろから背中に手を添えて誘導している様子ですが、どこが間違っているのでしょうか?

 坂木キャスター「これは難しいですね。ちょっとわからないですね」

 これは、“見えている”サポートする人が先を歩き、導かないといけないんです。後ろから押すような形では、視覚障害のある方が先を歩くようになっています。正しくはサポートする側が肘や肩をつかんでもらい、斜め前を歩くというのが適切な誘導の仕方です。

――“ユニバーサルマナー検定”を作った狙いというのは、どういうところにあるのでしょうか。

 例えば、バリアフリーというのは、もっと進めていかなければならないことだと思うんですね。先ほどお話しした“車いすで入店できるお店は全国の約10%”というのを20%、30%と割合を引き上げていかなくてはならない。ただし、バリアフリーを進めるということは、お金もかかるし、スペースも必要で、時間もかかります。そうしたなかで常々申し上げているのは「ハード」を変えることはできなかったとしても「ハート」は今すぐ変えられます。

 例え段差があったとしても、その段差におけるサポートの方法を誰か一人が知っていれば十分に向き合うことはできます。そういうわけで、私たちは一人ひとりの行動、向き合い方を変えるためにこうした啓発を進めています。

(04/28 15:29)  日テレNEWS24


“障害を価値に変える”社長の理念 1/5

2016年04月30日 03時16分23秒 | 障害者の自立

 ユニバーサルデザインの企画などを行う株式会社「ミライロ」の代表取締役社長・垣内俊哉さんに聞く「飛躍のアルゴリズム」。1つ目のキーワードは「バリアフリー情報をかんたんに投稿・閲覧 “私の行けた”が明日の誰かの地図になる」。

■バリアフリー情報を簡単に投稿できるアプリ

――バリアフリーマップというと障害者用トイレの有無や、段差などを表した地図だと思いますが、垣内さんが作ったマップは他のものとどこが違うのですか?

 今回のバリアフリーのアプリというのは、ハンセン病の撲滅など、途上国の支援や障害者支援を行う日本財団さんとともに開発を進めてきました。このアプリは日本だけではなく、世界で使っていけるように開発していきました。

 例えば、車いすで入店できるお店はどこにあるのか。今、国内であれば約10%のお店しか車いすでは入れないと言われているんですね。この10%を探すすべを設けるために、車いすで入れる店、障害のある方が使いやすい、高齢者が入店しやすいお店や施設を、明らかにしていこうとみんなが情報を集めて投稿するというアプリを作りました。

――実際のアプリの画面ですが、どのような特徴があるのでしょうか?

 “エントリーステップ”というのがあるのですが、これは段差の数が何段あるのかがわかります。段差の有無というのは、色々な情報から集められていたのですが、段差というのも一段と二段では雲泥の差があるのです。一段であれば自分一人で上がれるかもしれない。もしくは、周囲の人に押してもらえば上がれるかもしれない。ただし、段差が二段、三段、四段となれば、車いすをかつがなければいけなくなってくるのですね。

 ほかにも店内、施設が広いのか、静かなのか、明るいのか、クレジットカードが使えるか、コンセントが使えるかなどといった障害者が求める情報に限らず、みんなが求める情報を収集できるようになっています。

■健常者にも使えるアプリ

――障害者に限定しない情報があるのはなぜですか?

 例えば、クレジットカードであれば、みなさんが現金を持ち合わせていないときに、どのように決済するのかというものだけではなく、視覚障害のある方も求めているのですね。紙幣で決済したくない、数えてもらうことを申し訳ないと思っている方もいるのです。

 ほかにも、コンセントが使えるかどうかもパソコン、スマートフォンが充電できるかだけでなく、例えば電動車いすの充電ができるのかといった具合に、みなさんが求める情報と障害のある方が求める情報の共通項を集めていこうということをここでは行っています。

――この類いのアプリとしては、お店などの登録件数が多いようですね。

 今までのアプリでは、通路幅が何センチという、誰がこれを測るのかという難しい問題があったのですが、このアプリではタップするだけで情報を投稿できるという手軽さもあって、いま国内では約2万件の情報が集まっていて、これは飲食店、ホテル、結婚式場など様々な施設の情報が集約されています。

――アプリの発表会でも、一般ユーザーが十分納得できるレベルのものだと感じました。

 ありがとうございます。

2016年4月28日  日テレNEWS24