事故や病気で脳に損傷を受け、意思表示が困難な「遷延性(せんえんせい)意識障害」となった九州在住の患者と家族の交流組織が19日、発足する。身近な人が突然障害を負い、知識や情報も乏しい中で悩みながら介助を続けてきた家族にとって心強い存在になりそうだ。
遷延性意識障害は、脳出血などの病気や交通事故などで脳に重大な損傷を受け、治療で一命をとりとめても意思疎通や自力での生活が難しくなった状態を指す。
福岡市中央区の貞刈暢代(のぶよ)さん(55)の夫で放送局の記者をしていた昭仁(しょうじ)さん(58)は5年前、単身赴任先の東京で突然、大動脈解離を発症した。手術したが合併症による脳障害で寝たきりとなった。意思表示は困難で、暢代さんが入院先の病院に通って支えている。
医師でもある暢代さんは、一般の人よりも症状への知識がある。それでも、妻として夫に降りかかった現実を受け入れられない思いもあり、不安の中でインターネット上にある当事者家族のブログを読み、手がかりや情報を求めた。
そうした中で「全国遷延性意識障害者・家族の会」の存在を知り、入会。昨年東京であった懇親会に参加し、くも膜下出血で倒れた妻を在宅で24時間介護している宮崎県在住の谷口正春さん(65)と知り合った。
2人は昨秋、全国の会員のうち九州在住の10以上の家族に呼びかけて、福岡で顔合わせ会を開いた。急変した日常生活に戸惑い、悩んだ日々や在宅介護の苦労を語り合う一方で、実践している介助のアイデアなどの情報を交換。「話すことで胸のつかえが取れた」という声が聞かれた。そこで「気軽に参加できないと交流に来たくても来られない人がいるはず」(谷口さん)と九州に支部を設立することが決まった。
会の愛称は、寒い冬を耐えて春が来るイメージを家族の願いに重ね「つくし」とした。代表には谷口さんが就き、年2回の講演会の他、定期的な交流などを予定している。事務局長の暢代さんは「お互いの工夫を共有して助けにし、一般にもこの障害を広く知ってもらう機会になってほしい」と話す。
発足記念講演会は19日午後1時半、福岡市博多区のリファレンス駅東ビル。低酸素脳症と診断されたものの、後に絵の創作を始めた富山県在住の中島基樹さんと母が講演。無料。谷口代表080・8562・0171。
夫昭仁さんの療養生活を支えながら「家族が前向きになったり、情報交換できたりする場になれば」と会設立への思いを語る貞刈暢代さん=福岡市東区で
毎日新聞 2015年04月06日
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