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ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

義足のアスリート・村上清加

2015年04月06日 01時39分13秒 | 障害者の自立

 ◇プロの道、私が作る

 陸上の短距離と走り幅跳びで来年のパラリンピック・リオデジャネイロ大会に出場することを目指してトレーニングを続けている。

 6年前の右脚切断事故の後から働いていた事務機器会社を今年2月いっぱいで退職した。2012年ロンドン大会の強化指定選手になって国内外の大会に出場する際、さまざまなバックアップをしてもらった。職場の上司や同僚には本当に感謝している。

 パラリンピックの競技レベルが大会ごとに上がり、仕事との掛け持ちで出場することが難しくなっている。もっと陸上に専念する時間がほしかった。けがをすることもあるので体のケアもしっかりやりたかった。一度しかない人生、命が助かって目指せるものがあれば、それにかけてみようと決断した。

 趣味ではなく仕事として陸上競技に取り組む私の活動をサポートしてくれるスポンサーを探している。障害者スポーツは道具や用具によって競技が成立していることが多く、健常者以上にお金がかかる。例えばスポーツ用の義足は汎用(はんよう)品がなく、オーダーメード生産のため高価なうえ、生活用の義足と違って公的な補助は出ない。

 日本国内でプロの義足アスリートはほとんどいないのではないか。結果を出さないと契約を打ち切られるという環境で試したい。パラリンピックを目指す若い人たちのためにも私が道を作り、20年東京大会が終わった後にもつなげていきたい。

 車いすマラソンで世界的に有名なハインツ・フライ選手(スイス)の言葉が印象に残っている。「健常者はスポーツをした方がいい、障害者はスポーツをしなければならない」と。

 その通りだと思う。みんながみんなパラリンピックを目指すわけではないし、目指すことが立派というわけではない。だが、スポーツを通していろいろな人と出会えるし、健康を維持するうえでもいいことがある。

 私は切断障害者のスポーツクラブ「ヘルスエンジェルス」に入って陸上を始め、越智貴雄さんの写真集「切断ヴィーナス」(白順社)でモデルを務めたり、ファッションショーに出演したりして、事故以前に比べても世界は確実に広がっている。

 事故に遭う前は障害を持っている人は大変だろうと思っていた。でも、障害がなくても不幸だと感じている人もいる。幸せか不幸せかはその人自身が決めることであって、障害の有無ではないことを、両方を経験して分かった。

 電車にはねられたのに生きていることがラッキーだと思っている。義足を使えば歩けるし、練習すれば走ることもできる。第二の人生もまんざらではない。

 ■人物略歴

 ◇むらかみ・さやか

 1983年生まれ。25歳の時、貧血を起こして駅のホームから転落した際、電車にはねられて右脚の大腿(だいたい)部を切断。公益財団法人「日本防炎協会」の広報用ポスターのモデルに採用され、話題に。

義足のアスリート・村上清加さん

毎日新聞 2015年04月04日 東京夕刊


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