◇不景気、6年ぶり法人市民税減
◇総額5515億7053万円--前年比0.3%増
広島市は9日、総額5515億7053万円の09年度一般会計当初予算案(対前年度比0・3%増)を発表した。5年連続で増加する。特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額は1兆1369億9830万円。昨秋からの世界規模の不景気で6年ぶりに法人市民税の減収を見込んだ。雇用や生活の不安に対応するため、約180億円の経済危機対策費を計上。秋葉忠利市長は「急激な景気後退によって財政は依然として厳しい状態。だが、21世紀を広島の時代にするために全庁一丸となって取り組む」と力説した。16日開会の市議会2月定例会に提案する。【井上梢】
◇歳入
市税のうち法人市民税は、企業収益の大幅減が予想され、19・5%減の「かつてない落ち込み」(財政課)を見込んだ。国庫支出金では、生活保護受給世帯が09年度は約200世帯増加し、過去最高の1万2228世帯の受給が見込まれ、生活保護費が約12億円増額する。原爆被爆者援護費は原爆症認定基準が緩和されて認定者が増え続ける見通しで約16億円の増加。
市の貯金に当たる基金は、財政調整基金は08年度とほぼ同額の36億円の取り崩しだが、市税減を補うため、09年度は土地開発基金、地域福祉基金を約39億円取り崩すなどし、全体で75億円の取り崩し。今後も、09年度末で残高が約69億円の財調基金は50億円は残すことを目標に、土地開発・地域福祉の両基金は10年度で計13億円、11年度で計5億円を取り崩していくが、大幅な基金の取り崩しはしない方針。
07年度決算に基づく実質公債費比率は16・1%。18%以上になると市債発行に国からの許可が必要で、35%以上で財政再建団体となる。市は「財政の健全性は確保している」と説明した。市債の実質残高は、09年度末見込みで対前年度同期比138億円減の7371億円になる。
◇歳出
総務費が「団塊の世代」の市職員の退職がピークを迎えることで0・2%増える。民生費は生活保護受給者の増加から2・5%増。緊急経済対策が絡み、中小企業融資を行うことで商工費が12%増加、教育費は緊急雇用対策で408人の学校運営アシスタントを臨時職員で採用するため0・1%増える。一方、土木費は新球場の建設が3月末で終わることや09年度末から広島高速2号線の供用が始まることで4・1%減り、人件費が縮減する消防費や道路整備の終わった農林水産業費が各7・1%減るなど、全体では0・3%の微増にとどまった。
◇低公害車推進/新球場オープン/離職者を支援/携帯不感地解消
■温暖化対策
運送事業者に低公害トラック購入に対して1台10万円の補助を行う。小中学校3校のモデル校に二酸化炭素濃度を示す表示板を設置し、子どもに温暖化問題への関心を高め、市内約2000町内会のすべてに2年間で温暖化やごみ減量についての出前講座を実施。市民への啓発活動を本格化する。不況の中でも21世紀型のライフスタイルに変換するため、環境配慮に努めた省エネ対策に取り組む中小事業者を表彰する制度を新設する。新市民球場や小中学校4校に太陽光発電設備を導入し、平和記念公園などのライトアップにグリーン電力を購入するなど、積極的にクリーンエネルギーを用いる。市役所本庁は公共交通機関の利用促進のために10月から駐車場を有料化する。
■記念イベント
4月に新広島市民球場がオープンすることで観光客の増加を期待し、千客万来を超える「万客億来」をコンセプトに国内外から多くの人を呼び込む。記念事業では、広島市制施行120周年▽広島平和記念都市建設法制定60周年▽広島港築港120周年▽広島城築城420周年▽ホノルル市との姉妹都市提携50周年などのイベントを行う。
■経済対策
中小企業向けに融資枠を176億円増やし、797億5010万円に拡大する。離職者支援のために、587人の臨時職員などを半年間雇用する。資料整理や外国人市民への通訳・翻訳、就業状況の調査などを行う。09年度から3年間で操業を開始する企業への雇用奨励金の給付内容を拡大し、市内誘致を高める。県と広島商工会議所などと連携したBUYひろしまキャンペーンで自動車などの広島製産品の地産地消を呼びかける。金融や経営については相談窓口を拡充する。
■情報技術
携帯電話基地局を3カ所増設し、携帯電話不感地域の解消を目指す。障害者の生活に役立つホームページの開設やインターネットテレビ電話を市役所と各区役所でつなぎ、手話相談体制を整える。戸籍情報のデータ化やぺーパーレス会議、Web会議の導入など、行政サービスの加速と環境改善を目標にe-市役所の実現を目指す。視覚障害者にパソコンの利用方法を戸別訪問指導するためのボランティア養成や11月にあるIETF会議(インターネット技術の標準を議論・策定する国際会議)事業へ向け、平和大通りの無線LAN整備なども盛り込む。
◇補正予算案も発表、75億731万円--マツダ車120台購入
広島市は同日、総額75億731万円の08年度一般会計補正予算案を発表した。老朽化した公用車を一新するため、マツダの自動車120台を購入する。南区と、安佐北区の2区役所庁舎の耐震化工事や公共施設のアスベスト対策などを前倒し実施する方針で、経済対策に重点を置く。
補正後の08年度一般会計予算は5609億5062万円で、07年度同期比で1・8%増になる。
16日開会の2月定例会には09年度当初予算案、08年度の補正予算案、再提出の地球温暖化対策推進条例など45条例案など計80件を提出する予定。日程は3月26日までの39日間。総括質問は2月19、20、23日。【井上梢】
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《広島市の主な新規事業》(カッコ内は予算額)
○家庭用生ごみ処理機など購入補助(1億400万円)
○ひろしま子ども平和議会の開催(82万円)
○戸籍事務の電算化(1億9833万円)
○新広島市民球場の管理運営(1億250万円)
○建築物耐震診断補助(4501万円)
○原爆ドームや平和記念公園周辺の屋外広告物撤去など補助(150万円)
○公立保育園の民間移管に向けた事業者選定委員会設置(43万円)
○広島厚生年金会館の取得(6億5079万円)
◇総額5515億7053万円--前年比0.3%増
広島市は9日、総額5515億7053万円の09年度一般会計当初予算案(対前年度比0・3%増)を発表した。5年連続で増加する。特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額は1兆1369億9830万円。昨秋からの世界規模の不景気で6年ぶりに法人市民税の減収を見込んだ。雇用や生活の不安に対応するため、約180億円の経済危機対策費を計上。秋葉忠利市長は「急激な景気後退によって財政は依然として厳しい状態。だが、21世紀を広島の時代にするために全庁一丸となって取り組む」と力説した。16日開会の市議会2月定例会に提案する。【井上梢】
◇歳入
市税のうち法人市民税は、企業収益の大幅減が予想され、19・5%減の「かつてない落ち込み」(財政課)を見込んだ。国庫支出金では、生活保護受給世帯が09年度は約200世帯増加し、過去最高の1万2228世帯の受給が見込まれ、生活保護費が約12億円増額する。原爆被爆者援護費は原爆症認定基準が緩和されて認定者が増え続ける見通しで約16億円の増加。
市の貯金に当たる基金は、財政調整基金は08年度とほぼ同額の36億円の取り崩しだが、市税減を補うため、09年度は土地開発基金、地域福祉基金を約39億円取り崩すなどし、全体で75億円の取り崩し。今後も、09年度末で残高が約69億円の財調基金は50億円は残すことを目標に、土地開発・地域福祉の両基金は10年度で計13億円、11年度で計5億円を取り崩していくが、大幅な基金の取り崩しはしない方針。
07年度決算に基づく実質公債費比率は16・1%。18%以上になると市債発行に国からの許可が必要で、35%以上で財政再建団体となる。市は「財政の健全性は確保している」と説明した。市債の実質残高は、09年度末見込みで対前年度同期比138億円減の7371億円になる。
◇歳出
総務費が「団塊の世代」の市職員の退職がピークを迎えることで0・2%増える。民生費は生活保護受給者の増加から2・5%増。緊急経済対策が絡み、中小企業融資を行うことで商工費が12%増加、教育費は緊急雇用対策で408人の学校運営アシスタントを臨時職員で採用するため0・1%増える。一方、土木費は新球場の建設が3月末で終わることや09年度末から広島高速2号線の供用が始まることで4・1%減り、人件費が縮減する消防費や道路整備の終わった農林水産業費が各7・1%減るなど、全体では0・3%の微増にとどまった。
◇低公害車推進/新球場オープン/離職者を支援/携帯不感地解消
■温暖化対策
運送事業者に低公害トラック購入に対して1台10万円の補助を行う。小中学校3校のモデル校に二酸化炭素濃度を示す表示板を設置し、子どもに温暖化問題への関心を高め、市内約2000町内会のすべてに2年間で温暖化やごみ減量についての出前講座を実施。市民への啓発活動を本格化する。不況の中でも21世紀型のライフスタイルに変換するため、環境配慮に努めた省エネ対策に取り組む中小事業者を表彰する制度を新設する。新市民球場や小中学校4校に太陽光発電設備を導入し、平和記念公園などのライトアップにグリーン電力を購入するなど、積極的にクリーンエネルギーを用いる。市役所本庁は公共交通機関の利用促進のために10月から駐車場を有料化する。
■記念イベント
4月に新広島市民球場がオープンすることで観光客の増加を期待し、千客万来を超える「万客億来」をコンセプトに国内外から多くの人を呼び込む。記念事業では、広島市制施行120周年▽広島平和記念都市建設法制定60周年▽広島港築港120周年▽広島城築城420周年▽ホノルル市との姉妹都市提携50周年などのイベントを行う。
■経済対策
中小企業向けに融資枠を176億円増やし、797億5010万円に拡大する。離職者支援のために、587人の臨時職員などを半年間雇用する。資料整理や外国人市民への通訳・翻訳、就業状況の調査などを行う。09年度から3年間で操業を開始する企業への雇用奨励金の給付内容を拡大し、市内誘致を高める。県と広島商工会議所などと連携したBUYひろしまキャンペーンで自動車などの広島製産品の地産地消を呼びかける。金融や経営については相談窓口を拡充する。
■情報技術
携帯電話基地局を3カ所増設し、携帯電話不感地域の解消を目指す。障害者の生活に役立つホームページの開設やインターネットテレビ電話を市役所と各区役所でつなぎ、手話相談体制を整える。戸籍情報のデータ化やぺーパーレス会議、Web会議の導入など、行政サービスの加速と環境改善を目標にe-市役所の実現を目指す。視覚障害者にパソコンの利用方法を戸別訪問指導するためのボランティア養成や11月にあるIETF会議(インターネット技術の標準を議論・策定する国際会議)事業へ向け、平和大通りの無線LAN整備なども盛り込む。
◇補正予算案も発表、75億731万円--マツダ車120台購入
広島市は同日、総額75億731万円の08年度一般会計補正予算案を発表した。老朽化した公用車を一新するため、マツダの自動車120台を購入する。南区と、安佐北区の2区役所庁舎の耐震化工事や公共施設のアスベスト対策などを前倒し実施する方針で、経済対策に重点を置く。
補正後の08年度一般会計予算は5609億5062万円で、07年度同期比で1・8%増になる。
16日開会の2月定例会には09年度当初予算案、08年度の補正予算案、再提出の地球温暖化対策推進条例など45条例案など計80件を提出する予定。日程は3月26日までの39日間。総括質問は2月19、20、23日。【井上梢】
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《広島市の主な新規事業》(カッコ内は予算額)
○家庭用生ごみ処理機など購入補助(1億400万円)
○ひろしま子ども平和議会の開催(82万円)
○戸籍事務の電算化(1億9833万円)
○新広島市民球場の管理運営(1億250万円)
○建築物耐震診断補助(4501万円)
○原爆ドームや平和記念公園周辺の屋外広告物撤去など補助(150万円)
○公立保育園の民間移管に向けた事業者選定委員会設置(43万円)
○広島厚生年金会館の取得(6億5079万円)
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