父が亡くなったため、母と兄を社会保険の扶養に入れたいと思っています。
(1)母、66才で年金は180万円未満、(2)兄、障害者年金で180万円未満です。
兄は以前事故にあい、慰謝料を定期的に受け取っており、これを足すと180万円を超えそうです。2人を扶養することはできるのでしょうか。(T.T 30 京都府)
慰謝料は非課税も、健康保険の扶養では収入扱い
健康保険と所得税法上の扶養は考え方が異なりますので、それぞれについてお母様とお兄様を分けて解説します。また、障害年金及び慰謝料は共に非課税となりますが、健康保険の扶養を判断する際には収入に含めます。
【健康保険の扶養について】
お母様について
お母様が以下の要件を満たす場合に健康保険の扶養にすることができます。
(1)主としてT.Tさんに生計を維持されていること(T.Tさんの収入により暮らしが成り立っていること)
(2)お母様の収入が年間180万円未満であって、かつ、原則としてT.Tさんの年間収入の2分の1未満であること
お兄様について
お兄様は以下の要件を満たす場合に、健康保険の扶養にすることができます。
(1)T.Tさんと同一の世帯で主としてT.Tさんの収入により生計を維持されていること
(2)お兄様の収入が年間180万円未満であって、かつ、原則としてT.Tさんの年間収入の2分の1未満であること
お兄様の収入には、障害者年金及び定期的に受けている慰謝料を加えることになります。両方を足すと180万円を超えてしまうということですので、健康保険の扶養にすることはできません。
【所得税法上の扶養について】
お母様について
お母様が受給されているのが遺族年金の場合は、非課税となりますので、所得税法上の扶養にできます。一方、老齢年金の場合は、「公的年金等に係る雑所得の金額」として課税されるため受け取る年金の金額により扶養か、そうでないかが計算されます。
具体的には、次の式に下記の表の金額と割合を当てはめて、「公的年金等に係る雑所得の金額」を計算します。計算結果が38万円以下の場合は、扶養にできます。
公的年金等に係る雑所得の金額=(A)×(B)-(C)

お兄様について
障害者年金は非課税です。また、事故等により生じた心身・精神的被害に対する慰謝料も非課税となりますので、所得税法上の扶養にすることができます。(加藤美香・社会保険労務士)
ご相談はマネー経済・マネー相談室へお送りください
ヨミウリ・オンライン連載「マネー相談室」2012年3月23日(金)より
(2012年3月26日 読売新聞)
(1)母、66才で年金は180万円未満、(2)兄、障害者年金で180万円未満です。
兄は以前事故にあい、慰謝料を定期的に受け取っており、これを足すと180万円を超えそうです。2人を扶養することはできるのでしょうか。(T.T 30 京都府)
慰謝料は非課税も、健康保険の扶養では収入扱い
健康保険と所得税法上の扶養は考え方が異なりますので、それぞれについてお母様とお兄様を分けて解説します。また、障害年金及び慰謝料は共に非課税となりますが、健康保険の扶養を判断する際には収入に含めます。
【健康保険の扶養について】
お母様について
お母様が以下の要件を満たす場合に健康保険の扶養にすることができます。
(1)主としてT.Tさんに生計を維持されていること(T.Tさんの収入により暮らしが成り立っていること)
(2)お母様の収入が年間180万円未満であって、かつ、原則としてT.Tさんの年間収入の2分の1未満であること
お兄様について
お兄様は以下の要件を満たす場合に、健康保険の扶養にすることができます。
(1)T.Tさんと同一の世帯で主としてT.Tさんの収入により生計を維持されていること
(2)お兄様の収入が年間180万円未満であって、かつ、原則としてT.Tさんの年間収入の2分の1未満であること
お兄様の収入には、障害者年金及び定期的に受けている慰謝料を加えることになります。両方を足すと180万円を超えてしまうということですので、健康保険の扶養にすることはできません。
【所得税法上の扶養について】
お母様について
お母様が受給されているのが遺族年金の場合は、非課税となりますので、所得税法上の扶養にできます。一方、老齢年金の場合は、「公的年金等に係る雑所得の金額」として課税されるため受け取る年金の金額により扶養か、そうでないかが計算されます。
具体的には、次の式に下記の表の金額と割合を当てはめて、「公的年金等に係る雑所得の金額」を計算します。計算結果が38万円以下の場合は、扶養にできます。
公的年金等に係る雑所得の金額=(A)×(B)-(C)

お兄様について
障害者年金は非課税です。また、事故等により生じた心身・精神的被害に対する慰謝料も非課税となりますので、所得税法上の扶養にすることができます。(加藤美香・社会保険労務士)
ご相談はマネー経済・マネー相談室へお送りください
ヨミウリ・オンライン連載「マネー相談室」2012年3月23日(金)より
(2012年3月26日 読売新聞)
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