ゴエモンのつぶやき

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「障害者が受験で知りたいこと」載っている 大学案内19年版が発行

2019年02月26日 18時47分39秒 | 障害者の自立

 受験生向け情報誌「大学案内障害者版」の2019年版が発行され、最初の1996年版から数えて10冊目となった。市民団体「全国障害学生支援センター」(相模原市)が、障害のある学生の受け入れ状況を全国の大学に調査してまとめてきた。自身も車いすで生活するセンター代表の殿岡翼さん(46)は「障害者が自ら情報をつかみ発信することで社会も変わってきた。今後も障害を持つ学生たちの夢をかなえる後押しをしたい」と話す。

 大学案内障害者版は、東京都八王子市にあった自立生活センター「わかこま・自立生活情報室」が94年に全ての大学を対象に障害者の受け入れ状況を調査し、冊子にしたのが始まりだ。

 脳性まひで生まれつき障害がある殿岡さんは立正大学に在学中、さまざまな障害を持つ人の活動を紹介する冊子を作り、周囲に販売していた。冊子を目にした人に誘われて97年、卒業と同時に情報室のスタッフに。「障害のある学生は知りたいことがたくさんあるが、こんなことを聞いていいのかとの不安もある。代わりに情報を集めて伝えたい」。2年後、受験生や学生の相談に乗り、支援するセンターを設立し、調査と発行を引き継いだ。それから20年。現在は障害者7人とボランティアで運営している。

 調査では、在籍する学生の障害の種別や点字での出題など受験時に受けられる配慮、講義ノートのコピーを渡すなど入学後の支援態勢といった約200項目を尋ねる。1年かけて各大学にインターネットで回答してもらった後、不明な点を一つ一つ問い合わせ、大学案内の基となるデータを完成させる。

 項目は障害者に関する法整備や補助器具の技術進歩などに合わせて見直してきた。今回は16年に障害者差別解消法が施行され、障害を理由にした不当な差別が禁じられたのを受けて「受験を認めるか」との問いに対する回答の選択肢から「不可」を削除した。代わりに、障害を持つ学生の支援担当窓口の有無、近年理解が進んできた発達障害や高次脳機能障害に関する詳しい質問を追加した。

 以前は大学に回答を依頼すると「答える義務はない」と拒否されることもあったが、障害のある学生が入学して対応が変わる例をいくつも見てきた。「障害のある学生の存在が大学を変えるんです」と殿岡さん。今回は792の大学・大学校を調査し、約3割の247校が協力した。

 ただ、大学側の対応にはまだ改善の余地がある。殿岡さんは「事前に相談した際の大学側の言葉遣いや態度から『拒否されている』と感じ、受験をあきらめてしまうケースもある」と指摘する。

 大学案内では、センター試験で受けられる配慮や障害者差別解消法、通学や大学内で受ける支援に対する補助制度なども紹介している。A4判382ページ。問い合わせはセンター(042・746・7719、メールinfo@nscsd.jp)

 
最新の大学案内障害者版
 

(下)障害者支援にもお力 ご熱心に穏やかにお声かけ

2019年02月26日 18時00分16秒 | 障害者の自立

 平成27年10月上旬、千葉市若葉区の車いす製造会社「オーエックスエンジニアリング」に一本の電話がかかってきた。相手は厚生労働省の官僚で、「御社を視察されたい方がいる。電話では話せないので打ち合わせをしたい」という内容だった。

 電話を受けた石井勝之社長(38)は「これまでも多くの視察依頼があったが、『大臣が』とか『知事が』といった形で視察者が誰かは事前に知らせてもらえたので何だろうと思った」と当時の心境を明かす。

 その後、厚労省の担当者が同社を訪れ、「天皇、皇后両陛下がぜひ視察したいとおっしゃっている」と告げられた。石井社長は「数多くの事業者の中、当社のことを知っていていただき、両陛下が視察を希望されたというのは大変光栄」と突然のことにびっくりしつつも引き受けることにしたという。

 両陛下は同年12月8日、障害者週間にちなむ視察で同社をご訪問。「皇后さまはテニスをされているからか、車いすテニスの国枝慎吾選手や上地結衣(かみじ・ゆい)選手のことに詳しかった。天皇陛下は、過去に当社で製造したキリマンジャロ登山を希望する人向けの車いすのことをご存じで、従業員とその話をされていた」と振り返る。随行職員と事前に行ったリハーサルでは15分程度で済んだ視察時間が、両陛下に説明すると当初予定していた30分でも足りなくなった。

 キリマンジャロ登山の話を従業員としていた天皇陛下が、皇后さまに「過去に海外を訪問した際に、宿泊したホテルから見た山がそうではないか」と話され、皇后さまが「それは違うのでは」と指摘されるなど、視察の合間のお二人の自然な会話もほほ笑ましく、印象的だった。石井社長は「両陛下の雰囲気の穏やかさに包まれるように、緊張せずに製品や施設の説明を自然と行うことができた」と話す。

 両陛下は毎年12月の障害者週間に全国各地の福祉施設などを視察されている。本県にも10(この年は障害者の日)、18、19、27年にお越しになっている。特に障害者スポーツの振興は皇太子・同妃時代から取り組まれてきたライフワーク。三大行幸啓(ぎょうこうけい)の「豊かな海づくり大会」「全国植樹祭」「国民体育大会」に併せた視察でも積極的に福祉施設や福祉関連事業所への訪問を日程に組み込まれてきた。

 19年12月11日には、東京ディズニーリゾート(TDR)などを運営するオリエンタルランドの子会社で、障害者雇用のために設立された浦安市の「舞浜ビジネスサービス(現舞浜コーポレーション)」をご訪問。障害がある従業員の作業を見学された。

 TDR内のレストランで使う布製のナプキンを折りたたむ作業場の責任者だった小原謙一さん(48)は、「作業場で両陛下は分かれて視察し、作業中の従業員一人一人に『入社何年目ですか』『きれいに折れていますね』と声をかけられていた」と振り返る。

 小原さんにとって印象深かったのが、両陛下がこうした施設の視察や障害者との交流に非常に慣れておられたこと。「知的障害者の従業員が約20人もいる場所を視察するので、視察者が慣れていないと雰囲気で分かる。両陛下は穏やかでやさしい雰囲気で、障害者に接するのに慣れているのがすぐ分かった」という。

 昨年12月の85歳の誕生日前の記者会見で、「障害者を始め困難を抱えている人に心を寄せていくことも、私どもの大切な務めと思い、過ごしてきました」とおっしゃられた天皇陛下。視察時に接した人々は、両陛下の言葉を励みに今も働き続けている。 

2019.2.26       産経ニュース


想像力の欠如を露呈した障害者雇用の水増し(下)

2019年02月26日 17時50分40秒 | 障害者の自立

多様な働き方、問われる特性を生かした配置やサポート、採用する側のあり方

 ここ数年、夏に訪れている風光明媚な田園風景が広がる新潟県長岡市にある廃校をリノベーションした「和島トゥー・ル・モンド」。決して交通の便が良いところではないのに予約の取れない人気レストランとパン工房がある。ここは長岡市で唯一の就労継続支援A型の指定障害者福祉サービス事業所で前述した障害者就労支援施設の一つである。“就労継続支援A型”とは障害によって一般企業で働くことが難しい人と雇用契約を結び、働く機会を提供したり就職のために必要な支援や訓練をする事業所のこと。

本当の自立のためにはクオリティーの高い仕事を……

 「本当に自立できるような賃金を得るためには生産性の高い仕事をしなければならない。だからこそ全ての面でクオリティーを高めている」と総支配人の斎藤篤さんは語る。“トゥー・ル・モンド”はフランス語で「みんなで」という意味だそう。健常者と障害者が区別なく働くレストランでは長岡産と新潟産の食材にこだわったここでしか味わえないフレンチを提供している。全国のA型事業所の平均賃金は74000円だが、「和島トゥー・ル・モンド」で働く人たちの給与は1万円以上上回っている。

 就労継続支援A型を利用している人は全国の3500事業所で約7万人、そして雇用契約を結ばないので最低賃金が保障されない就労継続支援B型を利用する人は約24万人いる。この就労継続支援B型の低工賃に関しては生産性の追求と生活支援などの社会福祉としての役割のバランスをどう考えるのかという議論もあり、障害者を取り巻く雇用の問題は法定雇用率さえ守れば解決するという単純なものではないのである。

2019年02月26日       朝日新聞社


障害者就労支援でコーヒー豆の検品 春日井

2019年02月26日 17時25分36秒 | 障害者の自立

 障害者らが豆を一粒一粒選別した、こだわりのコーヒーが人気だ。愛知県春日井市大和通2丁目のカフェ「ショーマネコーヒー」では障害者就労支援の一環で、コーヒー豆の手作業での検品を採り入れている。負担が少なく続けやすいといい、県外の事業所などにも広がっているという。

 代表の喜瀬(きせ)和也さん(37)は4年前から、壁紙の端材を再利用した手提げ袋や小物を作るB型就労支援事業所を、春日井市内で運営。県内の大学から毎年、オープンキャンパスでの資料配布用に発注があるといい、「いいものを作れば勝負できる」と、手応えを感じたという。

 昨年7月、コーヒー豆の検品を障害者の就労支援につなげようと考え、友人の焙煎(ばいせん)士と協力。施設外就労として、カフェ兼作業場を立ち上げた。客の声が届きやすいように、作業場をあえて店舗と一緒にし、壁紙の端材のラッピングと組み合わせての展開も狙う。コーヒーやカフェラテは1杯200~300円で楽しめる。

 店内には8席の飲食スペースがあり、パーテーションを隔てたすぐ裏側が作業場だ。平日に、約5人の障害者らが豆の検品やギフト用の包装の作業に励んでいる。

 東里実さん(26)は検品担当だ。机の上のトレーには、焙煎され茶色に色づいた豆が広がるが、ところどころ火が通り切らずに白いままだったり、割れて変形したりした豆が交ざっている。東さんは目をこらして、不良豆を見つけては手で紙コップに取り分ける。「コーヒーを注文する声を聞くとうれしいです」と話した。

 障害者による豆の検品や包装作業は、全国のほかの事業所でも採り入れられているという。昨年9月からフランチャイズ展開を始め、12月時点で7事業所が加盟。同様に豆の検品をする加盟事業所に、材料の豆をおろしているという。喜瀬さんは「豆の検品は、負担が少なく続けられる。いいものをつくれば買ってもらえ、仕事を続ける意欲にもつながりやすい」と話した。

 営業時間は午前9時半~午後5時。日曜定休(土曜日に休むこともある)。問い合わせはショーマネコーヒー(0568・37・3666)。

写真・図版

東里実さん(左)と喜瀬和也さん

2019年2月26日           朝日新聞


定着支援センター10年 障害者ら再犯わずか9%

2019年02月26日 17時18分42秒 | 障害者の自立

 罪を繰り返す障害者や高齢者に住居や福祉サービスを提供し、社会復帰を支援する「長崎県地域生活定着支援センター」(諫早市)が全国で初めて長崎県に開設されて10年。この間、センターが支援した県内帰住の障害者・高齢者計345人のうち、刑務所に再入所した再犯者は9%(30人)だったことが同センターのまとめで分かった。
 同センターは2009年1月、厚生労働省のモデル事業として全国で初めて長崎県に設置。窃盗や無銭飲食などの犯罪を繰り返す障害者や高齢者が刑務所を出所した後、福祉につなぎ更生を図る事業を始めた。長崎県での実践を基に順次全国に整備され、現在、各都道府県に計48カ所ある。
 同センターによると、10年間で支援した人数は計670人(男586人、女84人)。身体、知的、精神など何らかの障害がある人が526人(約79%)を占めた。65歳以上の高齢者は229人(約34%)。80代以上も19人(約3%)いた。犯した罪は窃盗が420人(約63%)で最多。
 県内に帰住した対象者の再犯者は9%。アルコールや薬物などの依存傾向があったり、介護保険など公的サービスの対象外で周囲との関係が希薄な人が犯罪を繰り返しやすい傾向があった。16年版犯罪白書によると、刑法犯として摘発された人のうち48%が再犯者。再犯までの期間は高齢になるほど短くなる傾向があり、11年の刑務所出所者のうち、65歳以上の高齢者の4割は半年未満で再犯に至っていた。
 龍谷大の浜井浩一教授(犯罪学)は「高齢・障害者の中で、刑務所を出ても帰住先がない人の再犯率は高い。長崎のセンターは開設以降、福祉施設につないだ後のアフターケアも含め先進的な取り組みを重ねてきた。それが再犯者数の少なさに表れている」と評価している。

2019/2/26      ©株式会社長崎新聞社