ゴエモンのつぶやき

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自分勝手な障害者とふりまわされる介助者 “めんどくさい関係”から学べること

2019年02月21日 14時34分40秒 | 障害者の自立

上野千鶴子が『なぜ人と人は支え合うのか』(渡辺一史 著)を読む

 本書は障害学入門というべき書物だ。障害者と健常者、てゆうか、自分を障害者だと思っていないひとびと、という方が正確だが、違う世界に暮らしている異文化だ。接触がなければ、相手が何を考えているか、わからない。本書は障害者本人が書いた本じゃない。だからこそ、障害のある世界とない(と思い込んでいる)世界とをつなぐ通路になるような本なのだ。渡辺一史さんは、さしずめ異文化間通訳のようなものだろう。

 なぜって著者の渡辺さんにしてからが、障害者ってどんなひとたちか、全然知らなかったからだ。何がやりたいかもよくわからないフリーター、おっとフリーライターだった渡辺さんを変えたのが、自立生活を送る全身性障害者、鹿野靖明さんとの出会いだった。その経験をもとにして書いた『こんな夜更けにバナナかよ』(文春文庫)が大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。タイトルからただちにわかるのは、自分勝手な障害者とそれにふりまわされる介助者との関係だ。

 本書には、鹿野さんだけでなく、天畠大輔さん、橋本操さん、新田勲さん、海老原宏美さんなど、カリスマ障害者というべき魅力的な人物が実名で登場する。彼らは強烈な自己主張の持ち主だが、それというのも自己主張しなければ生きていけないからだ。その彼らが魅力的に見えるのはわがままや強さだけでなく、弱さ、ずるさ、情けなさなどをとりつくろわずにさらけ出すからだ。ボランティアの一人はそんな鹿野さんを「ぶざまでかっこいい」と表現する。

 本書は「障害者は生きるねうちがない」と考えて大量殺人を行った相模原事件に背を押されて書かれた。植松聖被告は自分を「障害者ではない」と思っているようだが、どんなひとにも、老いは確実に訪れる。「そんなにしてまで生きなければならないのか」と言われる存在にいつか誰もがなる。

 考えてみたらいい、自分が老いて誰かにケアされるとき、排便の介護を受けながらとりつくろっていられるだろうか? 助けなしに生きていけないひとたちは、ブラックホールのように他のひとびとの善意を引き出す。「ちっ、めんどくさいなあ」と思いながらでも。だから障害者の存在は、それ自体が贈与なのだと渡辺さんはいう。<iframe id="google_ads_iframe_/83555300/bungeishunju/bunshun/pc_article_inarticle_0" style="vertical-align: bottom; border-image: none; border-width: 0px;" title="3rd party ad content" name="google_ads_iframe_/83555300/bungeishunju/bunshun/pc_article_inarticle_0" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" width="1" height="1" data-google-container-id="7" data-load-complete="true"></iframe>

 思えば誰もが、あかんぼの時には寝たきり垂れ流しで、大声で泣いて自己主張していたはずだ。そして老いるとは、誰もが中途障害者になるということだ。本書にも登場する脳性麻痺の車椅子生活者、小山内美智子さんは「障害者の経験は高齢社会の財産」という。わたしは障害者のひとたちとつきあいが増えたせいで、自分が老いることが怖くなくなった。本書は障害者と共にある豊かな世界への、格好の案内書だ。障害者が権利を獲得してきた歴史への目配りもよい。

わたなべかずふみ/1968年、愛知県生まれ。ノンフィクションライター。2003年に刊行した『こんな夜更けにバナナかよ』で大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞を受賞。その他の著書に『北の無人駅から』がある。

うえのちづこ/社会学者。専門は女性学、ジェンダー研究。高齢者の介護も研究対象に。『ケアの社会学』など著書多数。上野千鶴子

週刊文春          2019年2月21日号


障害者と健常者による独自のダンス表現を追求!

2019年02月21日 14時05分33秒 | 障害者の自立

ストップギャップ ダンスカンパニーが初来日公演

革新的なダンスのあり方を提唱、実践し各方面から注目を集める英国のストップギャップ ダンスカンパニーが、2017年世界初演の代表作『エノーマスルーム』をひっさげ、3月に横浜、世田谷、北九州で初の来日公演をおこなう。

「違うことに意味があり、その違うことを活かした方法で作品を作る」ことを方針に掲げる彼らはその言葉通り、障害者と健常者が一緒になって、独自のダンス表現を追求するインクルーシヴ(全てを含む)ダンスカンパニー。そのジャンルの先駆者として様々な国で上演、さらに関連ワークショップを行なっている。

今回上演する『エノーマスルーム』は妻を亡くしたばかりで悲しみにくれるデイヴ(デーヴィッド・トゥール)とその娘サム(ハンナ・サンプソン)が亡き妻/母を思うあまり、その幻を見るようになり、現実と妄想の世界を行き来しながら愛する人の思い出に浸るというファンタジーな内容になっている。ここで主人公デイヴとサムとを演じるふたりは障害者ダンサーで、彼らの幻想の妻/母を踊るのがふたりの健常者ダンサーたちだ。それぞれの身体的個性を活かして、他では見ることのできない詩的でドラマチックな世界を展開する。デイヴを演じる両足の無いダンサー、トゥールは2012年のロンドン・パラリンピックの開会式でソロダンスを披露し、障害者アートの可能性を英国中に、そして世界に発信したパフォーマーでもある。

2008年にプロジェクトマネージャーとしてカンパニーに参加、2012年からはエクゼクティブプロデューサーとしてカンパニーの運営の指揮をとる日本人、柴田翔平さんは「創作にあたり、人種や障害のあるなしに関係ないところでみんなが経験することは何だろうと考えた時に“死”が挙がりました。そして誰かが死んだあとにそれをどのように乗り越えるかというのも国籍、人種、障害のあるなしに関わりなく誰でもが経験することなので、それを取り上げようということになりました。それが『エノーマスルーム』という作品です」とインタビューに答えてくれた。さらに、『エノーマスルーム』の世界各国での高評価に応え、これからも誰もが抱えている問題、苦悩をテーマに芸術監督ルーシー・ベネットが作り出すストーリーを重視したダンスシアター作品を届けていきたいと今後の抱負を語ってくれた。障害者と健常者、どちらが欠けても成り立たない新しい共生のダンス、インクルーシヴダンスを日本で観られる日は近い。

公演は3月3日(日)の神奈川・あーすぷらざを皮切りに、8日(金)・9日(土)に東京・世田谷パブリックシアター、16日(土)に福岡・北九州芸術劇場にて上演。

チケット発売中。

2/20        Yahoo!ニュース


障害者採用、年内4000人困難 省庁水増し 達成期限延長へ

2019年02月21日 13時55分44秒 | 障害者の自立

中央省庁の障害者雇用水増し問題で、厚生労働省は十九日、法定雇用率の達成に向け今年末までに約四千人を採用する政府計画の実現が難しくなってきたことから、達成期限を延長する方向で調整に入った。各省庁の六月一日時点の雇用率を見極めた上で、期限を定めている厚労省告示を改正し、二〇二〇年以降での達成を容認する方針。

 短期間での大量採用の実現性を疑問視する声や、「数合わせで雇用の質が確保されない」との懸念が相次いだため。ただ、告示改正は計画が実現できない事態に合わせてルールを変更すると受け取られ、批判も出そうだ。

 政府は二〇年末でも法定率を達成できなかった場合には、対策を抜本的に見直す考え。フランスやドイツの取り組みも調査して参考にする。

 厚労省は毎年六月一日時点の雇用率を公表している。障害者雇用促進法に基づく現在の告示は、公的機関が法定率を満たせなかった場合、翌年の一年間で達成できるよう採用計画の策定を求めている。

 水増し問題で政府の検証委員会は昨年、二十八機関で三千七百人の不適切計上を認定。政府は不適切計上のあった行政機関で今年一~三月末に約千五百人、さらに今年末までに約二千五百人を採用するとの計画を作った。

 ただ、この計画を巡っては、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会が十三日、「数合わせとならないよう採用の進め方を検討することが適当だ」との意見書をまとめた。与党からは「民間企業の障害者雇用にしわ寄せが出る」との懸念も出ていた。

 一方、審議会の分科会は十九日、水増し問題を受けた障害者雇用促進法改正案を了承した。再発防止のため、厚労省が他省庁や自治体に障害者手帳の写しなどを提出させることができるようにする。

2019年2月20日        東京新聞


重症障害者の生活支援へ 県、グループホーム整備に助成

2019年02月21日 13時40分34秒 | 障害者の自立

神戸新聞NEXT                    神戸新聞NEXT

 

 兵庫県は2019年度、重症心身障害者らが暮らすグループホームや通所・訪問事業所への助成制度を新たに設けるほか、リハビリテーション拠点を整備する。早産児や低体重児、病気のある新生児らは救命された後も、自宅療養で人工呼吸やたんの吸引が常時必要になるケースがほとんど。こうした「医療的ケア児」と呼ばれる子どもは、移動や食事などで大きなハンディと向き合って成長する。社会との接点を確保し、看護する家族の負担も和らげるため、家族が亡くなった後も含む居場所づくりと生活支援に取り組む。(佐藤健介)

 県が整備を促すグループホームは「医療支援型」と銘打ち、看護師が常駐するのが特徴。運営者に対し、ベッドからの移動をサポートする介護リフトや非常用自家発電機の費用について上限付きで半額を補助するほか、看護師の配置体制に応じた助成も用意する。

 保育士や介護士らの指導で識字や計算、体の動きを訓練する事業所を増やすため、未設置市町での新設費を助成。民間運営者に年間利用実績などに基づいて補助金を出す。家から通う「重症心身障害児通所支援事業所」と、外出が難しい場合に家でサービスを受ける「居宅訪問型児童発達支援事業所」が対象となる。

 重症心身障害の要因として最も多いのが脳性まひで、筋肉の過剰な緊張などによって肢体が不自由になるリスクがある。幼児期だけでなく、成人期もリハビリが必要だが、年齢を問わず受け入れる医療機関は県内5カ所にとどまり、人口規模の大きい阪神地域にはない。そこで、尼崎だいもつ病院(尼崎市)の空きスペースに全世代対応のリハビリ拠点となる県立診療所を開設。19年度は相談活動を行い、20年度から理学療法士によるリハビリ治療を始める。

■医療的ケア児年々増加■

 人工呼吸器を装着し、栄養を胃ろうで体内に送り、たんを機械で吸い取り、管で排尿させる。そうした医療行為を日常的に要する子ども、いわゆる「医療的ケア児」は年々増えている。

 医学の進歩で出産時の救命率が向上する一方、残った障害や病気とともに生活するケースが多くなっているからだ。厚生労働省の推計によると、全国で1万8千人と最近10年間でほぼ倍になり、兵庫県内でも800人以上いるとされる。

 「ケアができる人材がいない」「事故が起きても責任を取れない」との理由で、保育所や学校園の受け入れは進まず、日中を過ごす場が不足。看護を24時間担う家族は疲弊にあえぐ。

 県予算では、読み書きや基本動作を教える通所・自宅訪問事業所への助成で新設を促進。リハビリ拠点は、肢体不自由者の加齢とともに診療報酬が少なくなり、施設によっては施術しないという課題を受けた対応。

 医療型グループホーム整備・運営費を補助するのは、既存の療養所には重症者が長く入るため、空きが少ないことが背景にある。

 ケア児が成人し、家族が年老いても、地域で安心して暮らせる環境づくりが急務だ。

2019/2/20    神戸新聞NEXT


障害者活躍地域に活気 働く場づくり人手不足解消 農業法人 岡山県吉備中央町

2019年02月21日 13時27分20秒 | 障害者の自立

 岡山県吉備中央町の(有)吉備高原ファームは、障害者の働く場づくりと農業で深刻化する人手不足を解消しようと、就労継続支援A型事業所を立ち上げ「農福連携」を実践する。事業所利用者の適性を見極めた分業制を取り入れ、品質の高い農産物の生産につなげている。目指すのは、全員が活躍するにぎやかな過疎地だ。
 

事業所立ち上げ 適性見極め作業分担


 同社は、ホウレンソウなど野菜類やトウモロコシ、黒大豆を12ヘクタール、JAびほく管内特産の「ニューピオーネ」などブドウ3・2ヘクタールを栽培している。JAの直売所かよう青空市とグリーンセンターに出荷する。冬は、食卓に彩りを添えるホウレンソウを手掛ける。数日の冷え込みで甘味が増したホウレンソウに仕上がり、出荷作業が連日続いている。

 中山間地で利用者の働き場所が少ないことを懸念した同社代表の山本陽子さん(61)が2017年1月に認可を受け就労継続支援A型事業所「アグリネット加賀」を設立。現在は9人が利用する。同社が同事業所の利用者を雇用し、農福連携に取り組む。山本さんは「こちらがカバーするばかりではなく、利用者も“ありがとう”と言ってもらえる場所をつくりたい」と狙いを話す。

 利用者に合った仕事を与えることで、仕事をする大切さや社会の適応能力の習得を促す。ホウレンソウは、同社の従業員が収穫し、職業指導員の指導を受けながら、利用者が洗浄など出荷・調製作業を担当する。この他、べた掛け資材の回収や、かん水なども任せ、年間を通じて農作業を学ぶ。

 高齢化や過疎化が進む中山間地域は、労働力不足が深刻化する。農業に関心を持つ事業所利用者の雇用で、地域の労働人口を補いながら利用者のステップアップを目指す山本代表。「農福連携が高齢化や過疎の進む中山間地のビジネスモデルになることで、農業として持続可能な、にぎやかな過疎地域にしていきたい」と展望する。

ホウレンソウの洗浄作業をする事業所利用者と同社の職員


 ことば 就労継続支援A型事業所

 一般企業への就職が困難な障害者に就労機会を提供しながら、生産活動を通じて知識と能力の向上を必要な訓練などの福祉サービスを行う事業所。障害者総合支援法に定められている就労支援事業の一つ。障害者と雇用契約を結び、都道府県別に定められた最低賃金以上の給料が支払われる。