横浜市緑区霧が丘の住宅団地で障害者が働くパン屋などを運営するNPO法人「ぷかぷか」の高崎明理事長(65)が、地域の子どもたちにオペラをプレゼントする準備を始めている。開店から4年。地域への恩返しの気持ちを込める。
養護学校に30年勤めた高崎さんは定年後、「街の中に障害者が働ける場所を」と退職金をつぎ込んでパン屋とカフェを開いた。その時、「パン屋は街の人がいてこそ。もうけが出たら街の人にオペラをプレゼントする」と心に決めていた。
演目は、高崎さんが大好きなオペラシアター「こんにゃく座」の「ロはロボットのロ」。パン屋を舞台にした子ども向けの楽しい作品だ。長い間、「再演未定」となっていたが、来年5月~7月に再演が決まった。「もうけ」はたまっていないが、「今しかない」と実行することにした。
上演には約80万円かかる見通しのため、インターネットを使って資金を募るクラウドファンディング(https://readyfor.jp/projects/2551)を試す。「たくさんの善意で実現すれば、もっと意味があるような気がして」と高崎さん。提供した金額に応じて、パンやオペラのチケットなどの特典がある。
開店間もないころ、店で働く障害者のことを「目障り」と言われたり、「独り言がうるさい」と叱られたりして、「店の電話が鳴ると、ビクッとしていた」と高崎さんは振り返る。「今は温かく受け止めてもらっている。障害者も一緒に豊かな街を作っていきたい」
オペラは来年7月19日午後2時から、「みどりアートパーク」(緑区長津田2丁目)。子ども200人を招待し、残りは有料の大人席とする計画。
問い合わせはぷかぷか(045・453・8511)。
2014年11月20日 朝日新聞