∞ 「あきらめぬ心」リレー ハンディ克服 7人90キロ
手や足、脊髄(せき・ずい)などに障害がある人たちが自転車や車いすでたすきをつなぐ「障害者日本縦断駅伝」(朝日新聞後援)が10日、山形県に入った。県内からの参加者は7人。雨の中、秋田県境の遊佐町から鶴岡市のあつみ温泉まで約90キロを元気いっぱいに駆け抜けた。
冒険家の風間深志さん(61)が医療や福祉の関係者にサポートを呼びかけ、各地で走者を集めて進めている。2010年に太平洋側を南から北へ走った縦断駅伝を、日本海側から逆にたどる「完結編」だ。4日に札幌市をスタート。沖縄まで延べ約2500キロを約100人の走者がつなぐ。
県内では県障がい者スポーツ協会が参加者を募り、20~50代のアスリート7人が集まった。10日はあいにくの雨だったが、8カ所の中継点を力走でつないだ。
その一人、山形市の竹田道子さん(41)は4キロ区間を手こぎのハンドサイクルで走破。脳性小児まひで生まれつき下肢が不自由だが、26歳から砲丸投げを始め、02年に高知県で開かれた全国障害者スポーツ大会では優勝を果たした。竹田さんは「ハンディがあっても、あきらめず続ければ出来ると、みんなに伝えたかった」と笑顔を見せた。
風間さん自身、8年前に参加したパリ・ダカールラリーの事故で足に障害を負っている。「障害者が走ることで、医療の充実や体を動かす運動機能の大切さを訴える」。そんな縦断駅伝を思い立ったのは、自らの治療経験を通じて、日本の外傷医療や障害者の意識の遅れを痛感したからだ。
「健常か健常でないか、境目って何だろう。この天気でも絶対に走ってやるという今日のみんなの気持ち。最高に健常だよね」
ずぶぬれになりながら真っ黒な顔に白い歯を浮かべた風間さんは、障害者の仲間たちとともに全区間を走破する。
雨にぬれながら、中継点で互いの力走に気勢を上げる参加者たち=鶴岡市湯の浜
朝日新聞 - 2012年05月11日