◇わずか23カ所 「研修の機会を広げて」
重度視覚障害者の外出時の移動支援に際し、新たに文字読み上げなどの情報保障を行う「同行援護」と呼ばれるサービスが今月から県内の居宅サービス施設や社会福祉協議会などで始まった。視覚障害者からは期待の声が上がっているが、実際に新サービスを取り入れる施設はほんの一部。普及に向けた取り組みが急がれる。
「会合に参加しやすくなり、活動の幅が広がる」。こう語り、同行援護のスタートを歓迎するのは、土浦市に住む県視覚障害者協会会長の本多操さん(77)。これまで、買い物の際などに移動支援を利用してきたが、会議や会合に行く時には利用しなかった。代読・代筆がサービス内容に含まれていなかったためだ。本多さんは「会議資料を読むなど一般の人では伝え方がわからないと思った」と話す。
移動支援は、06年施行の障害者自立支援法で地域生活支援事業として位置付けられており、代読・代筆のサービスは行われないケースが多いという。同行援護は、こうした視覚障害者側の不満に応え、移動時や外出先での代筆や代読を含む視覚的情報支援を実態に即して行えるようにしたものだ。
ただ、県に事業者としての指定を受けるため申請した居宅介護施設や障害者施設は、県内約600カ所のうち、わずか23カ所だという。申請を済ませた水戸市内の居宅介護支援を行う事業所は「毎日行うサービスでないので利益はない。しかし、利用者のことを考えて『できるだけのことをしたい』と同行援護を行うことに決めた」と話す。
一方、移動支援事業を行ってきた北茨城市のNPO法人「夢工房」はまだ申請に至っていない。丹幸一郎代表は「前向きに考えてはいるが、スタッフ教育が進んでいない。県が研修などの機会を設けてもらえればありがたい」と話す。
これに対し、県障害福祉課は「どのような形で研修を実施するか国の方針も決まっておらず、情報を集めている段階」としている。
毎日新聞
重度視覚障害者の外出時の移動支援に際し、新たに文字読み上げなどの情報保障を行う「同行援護」と呼ばれるサービスが今月から県内の居宅サービス施設や社会福祉協議会などで始まった。視覚障害者からは期待の声が上がっているが、実際に新サービスを取り入れる施設はほんの一部。普及に向けた取り組みが急がれる。
「会合に参加しやすくなり、活動の幅が広がる」。こう語り、同行援護のスタートを歓迎するのは、土浦市に住む県視覚障害者協会会長の本多操さん(77)。これまで、買い物の際などに移動支援を利用してきたが、会議や会合に行く時には利用しなかった。代読・代筆がサービス内容に含まれていなかったためだ。本多さんは「会議資料を読むなど一般の人では伝え方がわからないと思った」と話す。
移動支援は、06年施行の障害者自立支援法で地域生活支援事業として位置付けられており、代読・代筆のサービスは行われないケースが多いという。同行援護は、こうした視覚障害者側の不満に応え、移動時や外出先での代筆や代読を含む視覚的情報支援を実態に即して行えるようにしたものだ。
ただ、県に事業者としての指定を受けるため申請した居宅介護施設や障害者施設は、県内約600カ所のうち、わずか23カ所だという。申請を済ませた水戸市内の居宅介護支援を行う事業所は「毎日行うサービスでないので利益はない。しかし、利用者のことを考えて『できるだけのことをしたい』と同行援護を行うことに決めた」と話す。
一方、移動支援事業を行ってきた北茨城市のNPO法人「夢工房」はまだ申請に至っていない。丹幸一郎代表は「前向きに考えてはいるが、スタッフ教育が進んでいない。県が研修などの機会を設けてもらえればありがたい」と話す。
これに対し、県障害福祉課は「どのような形で研修を実施するか国の方針も決まっておらず、情報を集めている段階」としている。
毎日新聞