Sinks in Alcohol

節操なくお酒に沈む、ある酒飲みの半生

日本酒の懐

2007年11月17日 | 日本酒
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今日ここに書くことは、いわゆる末席の僕の意見であって、同意・反論はもちろんあるでしょうし、そういった意見に対してどうこう言うつもりはないです。
ただ、僕の発言に多少でも発見があるのでしたら、今一度堪忍袋の緒を締めて、先をお読みいただければと思います。
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日本酒というのは、本当に素晴らしい文化だと僕は思っています。
ワインよりも優れた部分が大きくある。
それは、一言で言ってしまえば「懐の深さ」だと思います。

昨今の日本酒文化は大きく向上しました。
軽快な爽酒から、10年を超える貯蔵を経た熟酒まで、さまざまな味わいのものが世に出ています。
そして、日本酒文化にもようやく「マリアージュ」が叫ばれ始め、単品で飲むべきもの、特定の酒肴とともにいただくべきもの、さらにその酒と肴の温度帯に、気を配る必要性が認められてきています。

この流れは、ワインの文化を踏襲したものとなっています。
ただしワインは国柄が大きく反映していて、国によって味わいが大きく異なる、という面があるように思いますが、日本酒は基本的に日本で造られ、日本の中で味わいに大きな変化がある。
ワインが地球規模でさまざまな味わいを生み出したのに対し、日本酒はあくまで日本という限定された国の中で、さまざまな味わいを生み出した。
そして、ワインと同様に、各国の食文化に対応した日本酒が造られてきている。
僕は、この部分は、日本酒がワインを越えていると思っている部分なのです。


日本酒が好き、と言っている人に、具体的に何を飲むのか、冷酒が好きか燗酒が好きかたずねると、おおよその好みの傾向がわかります。

たとえば、フルーティで甘みが強いお酒が好きな人。
たとえば、酸が強めで燗で飲むことが多い人。
癖の強い海の幸を肴にして酒を飲む人、というのでも、好みがわかる。

フルーティで甘み強めの酒が好み、という人に、酸強めの燗を薦めたり、熟成酒を薦めたりすれば、良い反応は返ってこないかもしれません。
僕自身、甘めのお酒が好みなので、酸が強いお酒は苦手で、こういうお酒は「時代遅れで昔の日本酒」とすら思ってました。

でも、あるとき「こういう酸強めのお酒は、いったいどういう風に飲まれているのだろう?」という疑問が頭をもたげました。
自身試してみて驚いたのは、特定の肴とあわせると肴の味わいが向上すること、そして、温度帯を上げると酸が弱まって甘みが出てくること。

僕が好きだった甘みの強いお酒は、食中向きではなく、単品で飲むしかないお酒。
そして、同様に、単品で飲むべきでないお酒もある、ということに気づいたのです。

日本酒が好きな人の中でも、味や香りや温度に好みが分かれます。
それは、日本酒の懐の深さを表している、といえるでしょう。
ですが、もし、その特定の限られた味わいしか求めないのであれば、それ以外の日本酒の魅力を、見逃してしまうことになる。

別に、好みを捨てろ、といっているわけではありません。
好みの味わいは好みの味わいであって、それ自体を変えることはない。
でも、なぜ自分が好みでないお酒が世に出てくるのか、それらはどのように飲まれているのか、そこに興味を持ってみても良いのではないか、と思うのです。

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