Sinks in Alcohol

節操なくお酒に沈む、ある酒飲みの半生

黒松仙醸 こんな夜に... 山椒魚 純米吟醸 瓶火入 22BY

2012年09月07日 | 日本酒
今年に入って、飲む機会がグッと増えた銘柄です。
おそらくアノ方とアノ方がご結婚されたおかげですね。

【黒松仙醸(くろまつせんじょう)】


こんな夜に...



「こんな夜に」と副題の入ったこのお酒は、昨年まで長野の株式会社仙醸で杜氏をしておられた丸山さんの開発品です。



酒米はひとごこち100%、精米歩合50%の純米吟醸酒、瓶火入れです。
このお酒は22BYですので、丸山さんの最後の年のお酒になります。

レビューにいきましょう。


上立ち香は甘い香りを伴った吟醸香。
いくぶん酸味の混じった香りで、果実感があります。

口に含むと、まず舌先に酸。
酸にまとわりつくように甘みが感じられます。
雑味は一切感じません。

口の中で転がすと、ピリッとした発泡感と辛みが舌の上を転がります。
ジュッという音とともに渋味。
旨味はありますが、表立って出てこず、実にジューシィ。

後口は甘酸で〆。
キレは非常に良く、余韻はなだらかです。


えー、もう言ってしまいましょう。
コイツは非常にうまいです。
1年以上寝かせたことによる味の乗っかり、まろみ、元々あった果実感が相乗されて、いま一番うまくなってますね。
godanismの今年ランキングに間違いなく載ることでしょう。
こんな酒をレビューしろと言うほうが、どだい無理な話。笑
もう飲んでくださいとしか言いようがありません。
いや~~、ウマいッ!!


アテは「丸茄子と鶏ひき肉の博多蒸し」。


新潟糸魚川産の越の丸茄子と鶏ひき肉を、交互に重ねて蒸して、トロミのついた出汁をかけました。

ソガペール エ フィス ジェイ ミヤマニシキ 23BY

2012年08月30日 | 日本酒
初購入の銘柄です。

【ソガペール エ フィス】


長野県にある小布施酒造のお酒です。
小布施といえばワイン。
この蔵も現在はワイナリーとして有名ですが、もともとは日本酒蔵でした。



裏ラベルにはいろいろと細かい字で書かれています。
要はワインのようにテロワールを重視した造りを行っていること。

長野県産の美山錦100%使用。
酵母は吟醸酵母と書かれています。

レビューにいきましょう。


上立ち香は甘みのある吟醸香。

口に含むと、まず切れ味のある酸が舌先に。
含み香が果実味のあるもので、全体のバランスも甘酸っぱいです。

口の中で転がすと、ピリッとガス感が出てきます。
酸は喉手前に移動、艶のある旨味が感じられてきます。

後口は甘酸で〆。
恬淡とした余韻で、キレもまずまず。
ほんのりと麹様の香りが残ります。

全体のバランスは果実感を出したフルーティ路線ですが、後口で「これは日本酒だ」と思わせてくれます。笑
3月出荷でここまで引っ張ったからかもしれませんが、旨味がしっかりあり、尖ったところは微塵もありません。
文句無し、うまい酒ですね。

アテは「鶏ももと豆腐のあっさり煮」。


寳剱 純米吟醸 酒未来 火入れ 23BY

2012年08月22日 | 日本酒
飲食店さんではよく飲ませていただいていましたが、自分で購入するのは初の銘柄です。

【寳剱(ほうけん)】


広島県呉市にあります、宝剣酒造のお酒です。



酒米は山形県産「酒未来」100%使用、55%精米の純米吟醸酒。
今年の冬には生酒として出荷されましたが、こちらは1回火入れの7月出荷となります。

レビューにいきましょう。


上立ち香は甘さと渋さを感じさせるもの。
ほんのり吟醸香が漂います。

口に含むと、まず舌先にピリッと酸。
じわりと広がるのは米の旨味。

口の中で転がすと、舌の中央にピリピリとした辛みが感じられてきます。
含み香に感じられる果実感は洋梨のよう。
上顎には酸、喉手前に渋味を残し、キュッとタイトな中間です。

後口は甘酸で〆。
余韻には渋味はほとんど残らず、キレも抜群。


口当たりから余韻まで、一貫して飛び出るところがなく、綺麗な酒質。
いろんな味の要素があるのに、それらを柔らかい水が受け止めて、まろやかにしています。
生酒も飲みましたが、godanism は火入れのほうが好きかも。


アテは「冷やし茄子」。

死神 純米大吟醸 山田錦(裏) 23BY

2012年08月14日 | 日本酒
初めて購入する銘柄です。

【死神(しにがみ)】


島根県の加茂福酒造のお酒。
【死神】というお酒を造っているわけですが、このラベルは字がひっくり返っています。



通称【裏死神】と呼ばれるこのお酒は、規格上は「表」商品の「セメ」。
ですが、実際の味わいは、「表」とは全くの別物となっています。
山田錦100%使用、精米歩合40%の純米大吟醸です。

レビューにいきましょう。


上立ち香はほんのり果実味を伴った吟醸香。
派手派手と言うわけではありませんが、大人しいとはいえない程度に香ります。

口に含むと、まず舌先にふわっと酸が感じられます。
すうっと透き通るような旨味が出てきますが、含み香が比較的強いので、ジューシィな印象に。

口の中で転がすと、酸に引っ張られるように上顎に渋味が。
含み香が甘く、全体のバランスはスタールビー・グレープフルーツ。

後口は渋酸で〆。
余韻にはアルコール感が残り、キレはそれほど良くありません。


全体として非常にジューシィな味わい。
口に含んでから飲み込む直前までに口に広がる酸は、godanismの大好きなところです。
後口に若干の雑味がありますが、値段を考えると(3,150円!)それでも非常にコストパフォーマンスの高い1本。
うまいですね!

アテは「長芋とオクラの山葵和え」。


夏らしいアテでさっぱりと。

蔵王 純米大吟醸 斗瓶取り 23BY

2012年08月10日 | 日本酒
だいぶ更新が滞ってしまいました。
今日は godanism の大好きなこの蔵。

【蔵王(ざおう)】


宮城県、蔵王酒造のお酒。



美山錦100%使用、精米歩合40%。
純米大吟醸、斗瓶取りとなります。

今年の1月、宅飲みの新年会では、同規格の21BYおよび22BYを用意しました。
今回は23BY。

レビューにいきましょう。


上立ち香は果実味ある吟醸香。
瓜のような爽やかな香り。

口に含むと、まず舌の中心にまっすぐに伸びてくる旨味。
そのすぐ後、舌先に酸が感じられてきます。
含み香に若干キャラメルを感じます。

口の中で転がすと、舌の両サイドから渋味が。
酸は喉の手前あたりにひょいっと顔を出します。

後口は甘渋で〆。
酸もありますが、ビターのような濃い甘みと、それを支える渋味のバランス。
キレはよく、余韻も短めです。


トロミのある熟成した味わい。
雑味は一切ありません。
文句無しにうまい酒です。


アテは「鶏ももと焼き舞茸のみぞれ煮」。


謙信 High Standard

2012年07月29日 | 日本酒
今年、もっとも認知度が上がった銘柄ではないでしょうか。

【謙信(けんしん)】


新潟県糸魚川市にある、池田屋酒造さんのお酒。



裏ラベルには「High Standard」と明記されています。
パンクですね~。笑

細かい規格は書いてありません。。というか非公開ということで。
一応、ネットで得られる情報を書かせていただくと、上撰(普通酒)、中取り、無濾過、加水、瓶燗火入れ。
値段は1,890円と、買いやすいものです。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は果実味のある香り。
リンゴ系の爽やかな香りですね。

口に含むと、まず舌の中心を伸びてくるように旨味が感じられてきます。
含み香は、上立ち香にも感じられたリンゴ系のフルーティな香り。

口の中で転がすと、酸が喉奥手前に感じられてきます。
同時に渋味が舌の両サイドから。
香りの甘さをキュッと引き締めるような演出です。

後口は渋酸で〆。
するっと流れるようなキレで、余韻には渋と結びついた甘みをちょこんと置いていきます。


うまいですね~!
価格から考えると、非常にコストパフォーマンスに優れた1本です。
渋が全体の構成をまとめたバランスになっているので、香りの割には食中酒として使いやすいと思いますね。

今回は少し味の強いアテで。
「鮭の粕漬け焼き」

金鼓 純米 中汲み しぼりたて 無濾過生原酒 23BY

2012年07月23日 | 日本酒
今の時期まで引っ張ってみました。

【金鼓(きんこ)】


写真からは見えませんが、24年1月出荷です。



奈良県の大倉本家のお酒です。
今年の新酒のしぼりたての商品。

使用米は記載されていません。
精米歩合70%、アルコール18度。

レビューにいきましょう。


上立ち香はほんのり果実味のあるものです。
吟醸香ではありません。

口に含むと、まず舌先に酸。
酸の粒をコーティングするように甘みが感じられます。

口の中で転がすと、酸が舌の両側に。
舌先にはピリピリとガスが感じられてきます。
口全体に広がる旨味は、若干の渋味を伴っています。

後口は渋酸で〆。
キレはまずます、余韻にはアルコール感が少し残ります。


今の時期に飲むのにピッタリな、軽快な口当たりです。
今まで引っ張った甲斐もあり、味ノリは抜群。
しぼりたての爽やかさと、艶と丸みのある旨味のマッチングが素敵ですね。
うまいです!


アテは枝豆で。

萩の鶴 極上純米 中取り生原酒 12号/14号

2012年07月20日 | 日本酒
連日の更新となります。

【萩の鶴(はぎのつる)】


前エントリと、規格は同じお酒です。



ですが、こちらは仕込み順号が違う。
要するにタンク違いです。
前回は11号、今回は12号。

通常商品だと、号数の記載はありません。
こちらは仙台いづみやさんの別注品。
本数を仕込むなら、号数書いてくれや、という。

前回の11号とどのように違うでしょうか。
レビューにいきましょう。


上立ち香は甘い香り。
吟醸香ではありませんね。
若干、ビターな甘さを伴っています。

口に含むと、まず舌先に酸。
その酸に覆い被さるように甘みが感じられてきます。

口の中で転がすと、酸は上顎へ。
舌先にはガスがジュワッと出てきます。

後口は甘酸で〆。
キレはまずまずで、余韻にはキャラメルのような甘みがふんわり漂います。


あれれ、11号とぜんぜん違います。
規格はまるまる一緒、仕込みも出荷も時期としてはほぼ一緒。
それなのにずいぶんと違う印象ですね。


さて、実はもう1本。


こちらは14号と明記されています。



規格は11号/12号と一緒。
これも併せてレビューしてしまいましょう。


上立ち香はビターな香り。
ほんの少しですが、セメ臭を感じます。

口に含むと、舌先には酸、次いで酸に覆い被さるような甘み。
酸は甘みの覆いから抜け出して、舌の中心線をなぞるように伸びてきます。

口の中で転がすと、酸は喉奥手前へ移動。
甘みが酸を追いかけるように舌の真ん中へ。
舌の両サイドからも酸が出てきて、南国フルーツのような口当たりです。

後口は甘酸で〆。
キレる段階になって、舌先にガスが感じられてきます。
余韻はナッツ系の甘みを残します。


これもやはり11号・12号とはまるで性格の違うお酒。
どうしてこうも違うのでしょう?
水・米・酵母・精米・搾り・時期・造る人、計画上の仕込みがまったく一緒でも、出来上がる酒は面持ちの違うものになる。
ここに日本酒の面白みがあると言っても過言ではありません。


ちなみに、godanism は12号が一番好みでした。笑

萩の鶴 極上純米 中取り生原酒 11号

2012年07月18日 | 日本酒
また少し間が空いてしまいました。
暑い日々が続いております。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

今回はこのお酒。

【萩の鶴(はぎのつる)】


当ブログでは何度もご紹介しています。
宮城県、萩野酒造のお酒です。



「極上純米」とは聞き慣れない名称です。
まぁ、特定名称というのは「付ける権利がある」だけで、名乗らずとも良いものですから、こういう悪戯もできると。笑

規格は「蔵の華」100%使用、精米歩合50%ですから、純米大吟醸を名乗れるお酒です。
今年1月出荷の中取り生原酒となります。

レビューにいきましょう。


上立ち香はうっすらと果実味を帯びた吟醸香。
フルーティと呼べるほどではありません。

口に含むと、まず舌先に酸、遅れて甘みがじんわり広がります。
立ってくる香りは果実味があり、甘酸と相まってフルーティですね。

口の中で転がすと、ガスがピチピチと弾けます。
旨味が舌の真ん中に居座ると、舌の両サイドから渋味。
サイダーのような爽やかさです。

後口は甘酸で〆。
キレがよく、余韻に渋味を置いていきます。


生原酒という言葉からは想像できない軽快さです。
甘みは若干のビターを混じらせていますが、酸とガスが巧みに溶け込ませています。
冬に飲んでも良いですが、夏に飲んでも美味しいと思います。


アテは、もずくと胡瓜の酢の物。

天野酒 7号 本醸造 無濾過加水生 23BY

2012年07月09日 | 日本酒
また少し間が空いてしまいました。
今日はこのお酒をご紹介。

【天野酒(あまのさけ)】


とある事情により、今や稀少となったこのお酒、【天野酒】山本SP。



麹「山田錦」、掛「日本晴」。
精米歩合65%。

本醸造の7号酵母。
無濾過、加水生となります。
この規格、昨年も購入しました。

さっそくレビューにいきましょう。


上立ち香は、甘酸っぱさを感じさせるもの。
麹様の香りが入り交じっています。

口に含むと、まず舌先にふわっと酸が降りてくる。
含み香は果実味たっぷりで、マスカット系。

口の中で転がすと、酸は喉手前に移動。
旨味は舌の真ん中に、でん、と腰を据えます。
ほんのり渋味が舌の両サイドから感じられてきます。

後口は酸で〆。
余韻は甘酸のしっかりしたもので、戻り香と相まって心地よいもの。
少しだけぴりっとガスを残しつつ、消えていきます。


昨年も思ったのですが、およそ本醸造の範疇に入る質ではありません。
加水による軽やかさは、酒の旨味をスポイルしないギリギリの見極めです。
文句無しにうまいです。


アテは手羽先と茸の炊き合わせ。


手羽先って、美味しくて値段が安い庶民の味方だと思います(^^)