家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

流行と住宅--スペックの面から

2005年12月10日 | 家について思ったことなど
 大概のモノには流行がある。住宅もその例外ではない。ただ、住宅は長い年月に渡って使うものだけに、一時の流行に左右されるのはあんまりいいことではないと思う。
 その流行が一時的なものなのか、息長く続くものなのか、流行ではなく今後基本となっていくのかはよく考えたい。

 耐震計算書偽造事件によって、たぶん耐震、免震は流行りのキーワードとなってセールストークがされていくだろう。ただ、耐震はそもそも基本的な家のスペックなのである。これを流行的にとりあげるとなると「建築基準の5倍の強度」とか「いやウチは10倍だ」なんてことになっていくのだろうか。「レモン50個分のビタミンC」みたいな展開にはなってほしくないと願う。
流行の問題点は、その部分にばかり目を向かせてしまうことだ。耐震基準すれすれはともかく、耐震性が高ければ高いほどいい住宅というわけではない。耐震性を極限まで高めたいのなら、出入り口が1箇所あるだけの分厚いコンクリートの四角の箱のような家にすればいい。だけどそんな家を欲しいという人はいまい。

現在、高気密・高断熱というキーワードが流行のように使われている。気密性、断熱性は家にとって重要な項目ではあるが、何が何でも高くすればいい家になるわけでもないだろう。
以前、高気密・高断熱を謳う、ある住宅の開口部の位置や小ささに首をかしげた覚えがある。これでは風が通りにくい、眺めのいい方向に窓がないと。C値とかQ値の数字ばかりを追求すればこうなってしまうのか、と思った。
いくらでも工夫はできるので、そんな住宅は高気密・高断熱住宅のほんの一部にすぎないのだろうが、流行のキーワードにとらわれすぎると他の重要な項目をないがしろにしてしまうリスクがあると思った。
耐震性にしろ、気密性にしろ、防音性にしろ、「流行モノ」になってしまっては勘違いした行動を誘う恐れがある。

住宅の各性能はだんだんと進化していっていると思うが、他の要件とバランスをとるための、ほどよい水準というものがあるのではないか。特定の要件のスペックに過ぎた水準を求めると他の要件の水準を犠牲にすることもある。
耐震、気密、断熱、防音、通風、採光、眺望、動線、質感・・・住宅の性能を評価する項目はいろいろある。住人がそもそも持っている志向によってそれらのバランスをとることが重要だと思う。流行は志向をブレさせることがあることは注意しておきたい。
ちなみに例の事件は、「価格」という性能を極端に重視した結果、他の性能が劣悪になったという言い方もできる。「耐震」以外に「気密」や「断熱」「防音」など目で確認できない性能も大丈夫だったのだろうか。

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