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民意に反する「杉並区議会決議」

2007年10月14日 | おしらせ
Jiketsugenba
手榴弾による集団自決(米軍の説明では、本島南部での砲撃による死とある)。大田昌秀著『これが沖縄戦だ』琉球新報社より

杉並区議会で、「集団自決」検定意見に関する決議で、まったく民意に反する意見書が採択されようとしています。

 杉並区議会では、多くの自治体が「教科書検定意見撤回」の決議をあげる中で、あたかも検定意見を認めるような決議案が採択されようとしています。
 9月29日に11万6千人が参加して沖縄でひらかれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」をうけ、杉並区議会としての意見書を、来る17日を目標に国会に提出することを目的とした議会が、現在開かれています。
 当初議題に上った意見書の案は、社民、生活者ネットワーク、無所属区民派など6会派9名によって提出され、そこには「集団自決は軍の関与がなければ起こりえなかった」こと、「日本軍の関与を否定する教科書検定意見を、速やかに撤回」することが明記されていました。
 ところが、採択されようとする意見書は、一部の自民党議員による主導によって改変に改変が重ねられ、まったく正反対のものに決定されようとしています。
 その内容は軍の関与を明記せず、明確に撤回を求めることもないばかりか、文科省の意向を支持するかのような内容になっています。
 これは、「つくる会」が10月11日Web上(つくる会Webニュース)で公開した「政治介入反対決議」と文面は異なるものの内容的にはほとんど同じものです。

 以下は採決されようとする決議案です。
 一見美辞麗句を連ねているように見えますが、軍の関与についても記述回復についても何らうたっておらず、もちろん県民大会に参加した11万6000人の民意が反映されることはなく、まったく意味のない意見書です。それどころか、「つくる会」などの反動勢力を擁護するような内容になっています。

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沖縄戦「集団自決」についての教科書検定に関する決議(案)

 文部科学寄は今年3月30日、平成20年度から使用される高等学校用日本史の教科書用図書について審査する教科書用図書検定著さ審議会において、沖縄戦における集団自決の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍の関与を削除する修正を行った。
 追いつめられた戦争末期の軍官一体となった国内唯一の地上戦が行われた沖縄において、県民が筆舌に尽くしがたい境遇におかれ、多くの戦没者、犠牲者が生まれたことに対しては、紛れもない事実であり、心からの哀悼の意を表するとともに亡くなられた方々への思いを真摯に受け止め、その休戦の持つ重みを日本国民全体で享受し平和を希求する思いを強く持たなければならない。
 教科書は未来を担う子どもたちに事実を伝える重要な役割を担っている。沖縄戦における「集団自決」の事実を正しく伝え、沖縄戦の実相を教訓とすることの重要性や平和を希求することの必要性を子どもたちに教えていくことは我々に課せられた重要な責務である。

 よって杉並区議会は地方自治怯第99条の規定により以下のとおり意見書を提出する。

一 平成20年度から使用される高等学校用日本史教科書用図書における沖縄戦の記述に関して、その検定結果の中立・公正性を保つため速やかに対策を講じるること。

二 今後、教科用図書の検定に当たっては、中立性・公正性・透明性を一層高める為、冷静に教科書検定が行われる環境整備に努めること。

  平成19年10月17日

                    杉並区議会

衆議院議長 河野洋平殿
参議院議長 江田五月殿
内閣総理大臣 福田康夫殿
文部科学大臣 渡海紀三朗殿
沖縄及び北方対策担当大臣 岸田文雄殿
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 意見書の末尾にある(一)の「中立・公正性」などは、文科省はすでにそうしていると述べていることであり、意見としてはまったく無意味。(二)の「冷静に教科書検定が行われる環境整備に努める」などは、裏返せば沖縄県民の声に惑わされるなという意味にも取れます。すなわち、11万6千人の意志を無視せよという意見書になっています。
 このような反動決議案は常識的な杉並区民の意志を代表するものとは到底言えるものではなく、杉並区議会の意識レベルの低さを露呈し、「新しい歴史教科書をつくる会」(自由主義史観研究会)をはじめとする、戦争賛美の右翼軍国主義者を喜ばせるだけのものです。
 このような決議案の即時撤回を求め、正しい歴史を子どもたちに伝えるため、記述回復を求める意見を杉並区議会にお送りくださるよう求めます。もちろん個人名義でかまいません。
 この決議は週明けすぐの議会で採決されますので、緊急を要します。

 宛先は、〒166-8570 東京都杉並区阿佐谷南1丁目15番1号 杉並区役所内
          杉並区議会議長 河野 庄次郎 殿

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