これまで使っていたスマホに不具合が生じ、修理すると1万8千円もかかるというので、iPhone6に換えた。
我家は家族全員、また仕事でもすべてMacなので、バックアップや連携に便利だと考えたのが決断の理由だ。
ショップではまず、例の大きなのを勧められた。
「ゲッ、でかすぎるよこれ」
まるで文庫本を耳に当てて会話するような感じになるし、持ち歩きにも邪魔だ。だから小さい方にした。
新しい携帯を手にしてウキウキと帰宅する。
ところが、これがちっとも便利ではなかった。その原因はすべてこちらにあるのだが。
せっかく付属品にイヤホンがついてきているので、音楽を聞かない手はない。iPhoneにCDの曲を移すには、まずパソコン上のiTunesにCDアルバムをコピーし、それをiPhoneに移す。簡単ですよとショップの店員にいわれた。
これまで使っていたスマホでは、音楽データをパソコンのディスプレイ上に出てきたアイコンにドラックして移せばよかったので、もっと簡単だったのだが。
ところが、ケーブルを接続してみると、iTunes上に現れるはずのiPhoneが出てこない。そこで、iPhoneでは先輩の娘を呼んでパソコンのiTunes画面を見せると、「あ、これバージョンが古すぎるよ! すっごい古い」といわれる。
このままでは、iPhoneのカメラで写した写真もバックアップできない。移動させるには1点ずつメールに添付して送るしかない。
それならバージョンアップすればよいと、ネット上の無料ダウンロードを行った。すると娘が今度は「使ってるOSのバージョンもあげないと動かないかもしれない」という。
確認すると10.75以降とある。仕事で使っているのは購入時の10.6のままなので使えない。仕事で使うにはこれでもまったく不自由しなかったのだ。
OSのバージョンも上げなければならないのだが、ネット上のアップグレードサービスを利用するには、使用中のOSをまず一段階上げ、それからさらにネットから最新のOSをダウンロードしバージョンアップしなければならない。
ところがそこでまた問題が生じた。ネット上のOSを使えるようにするために一段階上げるための「スノーレパード」のインストーラーディスクが、故障したままほっておいた息子のiMacに閉じ込められたままになっている。
これはどうやっても取り出せない状態なのだ。
「だから早く修理しろといったのに!」と文句をいっても仕方がない。とりあえず、閉じ込められたディスクだけでも取り出せないものかと、アップルストアに相談した。
するとなんと、「5年以上経過した製品のサポートは行っていないので、修理はできません」という。そりゃないだろうと思ったが、そういえばAppleは新製品を買わせるために、古い製品のサービスをすぐに打ち切る。
「ビンテージMacとして修理してくれる業者がいますから、ご相談してみてはいかがでしょうか」
さっそく、ネット上で修理屋を探し相談すると、修理には最低5万円かかるといい、部品の交換が必要な場合それ以上かかると説明された。それならば、とりあえずディスクだけでも取り出せないか聞いたところ、それだけでも1万5千円かかるという。しかも、無事に取り出せるという保障はないそうだ。
修理費次第では新品が買える。
娘と相談し、どうせ修理できないのなら、このMac本体はどうなってもいいので、自分で開いて取り出そう、ということで話がまとまった。
娘が工具を持ち出して作業をはじめた。ところが、
「ダメだよこれ」
外側のケースの蓋を固定しているねじが特殊で、我家にあるドライバーでは開くことができない。強引にねじを回して山を崩したら、それこそ元も子もなくなる。
そこで今度はドライバーについて調べると、なんとどこにでも売っているもので、Amazonで格安で手に入ることがわかった。さっそく注文する。
作業の続きはドライバーが送られてきてからだが、うまくいくかどうか。
昔のMacなら部品交換など簡単にできた。クアドラなど、しょっちゅう「パンツを脱がせて」いた。パンツは業界用語で裏蓋のことである。
話はこれだけではない。
故障したはずのスマホだが、一旦修理に預けて戻ってきたら、何もしないのに直っていた。
「そんなばかな」
充電してもすぐに放電し、しかも熱を持つ。携帯は一日でも使えないと困るので、急遽修理を依頼したのだ。そこで出てきた見積りが、基盤交換で1万8千円。これはたぶん、修理の人間が修理個所が分からなかったので、基盤を交換すれば解決すると勝手に結論付けたのだろう。つまり、故障していなかったのだ。
何かのタイミングで上手く充電できていなかっただけだったのだろう。
「クソッ」実にムダなことをした。
そこでこのスマホ、いまだガラ携を使っているアシのYに譲ることにした。まだ購入して1年半なので廃棄するにはもったいない。その上で次に不具合が起きたら修理すればいい。
なんだかドタバタだったけれど、iPhone自体は気に入っている。勧められた警察手帖みたいな開き方をするケースもなかなか便利だ。
ただし、これまでのアンドロイドとは環境がぜんぜん違うので、マスターするのにしばらく時間がかかりそうだ。