近所の酒の量販店で見つけたので買ってきた。
「スピリタス」というポーランド産のウォッカで、酒精度が96度ある。つまりほとんどアルコールな訳で、酒の味はしない。
そしてもちろん、燃える!
保存は冷凍庫でギンギンに凍らせておく。といっても、アルコールそのものなのだから中身は凍らない。
凍るのは瓶についた水滴だけである。
そんな酒のどこがいい、と言われるかもしれないが、こういうのが欲しいときもあるのだ。
ポーランドでは、果物をつけ込んだりして果実酒を作るそうで、そのまま飲んだりはしないらしい。
しかし、酒なのだから、果実酒などというしゃらくさいまねはせずに、直接いきたい……ところだが、ストレートでは飲めたものではないので、庭にうんざりするほど成っている酢橘を使うことにした。
まあ、これも果実酒だといわれてしまえばそれまでだが。
ショットグラスにワンフィンガー。指はタテではない、ヨコ。
そこに四半分に切った酢橘をキュッと絞り込み、カッとやる。
ワインや日本酒ならどこに消えたかわからないほどの少量なのに、その存在感たるやすさまじい。
喉から食道、胃に入るまで通り道がわかる。
胃に収まったとたんに、全身がクワッとなる。
クッハー!
頭の疲れが一気に飛んでいく。
このところ「ギャーッ」とわめきたくなるような忙しさなのだ。
深夜12時を回ったところで、「今日はもうやめだ」と校正刷りを脇にどけ、テレビのアクション映画で頭を空っぽにしながら、強烈な酒をガツンとやるのは、手っ取り早いストレスの解消になる。
しかし、気をつけないと胃をやられるし、食道がんの危険もある。
まあ、ほどほどにしておくことにする。
ポーランドと言えば、第二次大戦中はナチスに侵略されて、オシフィエンチムにあの悪名高いアウシュビッツ収容所が建設された。
ナチスの兵隊たちはこの強い酒をどうやって飲んだのだろうか。
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