ひまわり博士のウンチク

読書・映画・沖縄・脱原発・その他世の中のこと

広島原爆の日

2010年08月06日 | ニュース
03kinenhi
 
 今年も8月6日がやってきた。
 一昨年昨年と、広島を訪問したが、今年は東京で祈念する。
 
 今年初めて、米国大使が式典に参加するそうだ。オバマ大統領の意向だというが、アメリカではまだ原爆投下を正当化する世論が多数を占めている。
 したがって、米国大使による謝罪の言葉はない。
 しかし、米国民の多くは広島長崎の惨状を直視しようとはしない。それは、後ろめたさの裏返しともとれる。
 スミソニアン博物館での原爆展妨害がいい例である。
 
 とはいうものの、核廃絶の気運が高まるのはいい。
 しかし、アメリカが真っ先に核兵器を放棄するべきだと思うのだが。
 核を保持したままで他国に対し核廃絶を呼びかけても説得力は乏しい。
 
           ◇
 
 日本が米国の核の傘に依存することの是非が問われている。
 核の傘に頼るというのは、やくざに町を守ってもらうようなものだ。
 抗争が起きればとばっちりを受けるのは市民だ。
 
 で、若い人を交えた数人でそんな話をしていたら、一人の若者がきょとんとした顔で言った。
 「核の傘って、キノコ雲のことじゃなかったんですか?」
 周囲が一斉に固まった。
 米国による核の抑止力で日本を守ってもらうという意味であることを知らなかったようだ。
 彼にいわせると、原爆のキノコ雲が傘のかたちをしているので、その下にいて被害に遭うことだと思っていたそうだ。
 学卒で大会社の営業マンである。恥をかく前に知っておくことができてよかったかもしれない。
 
           ◇
 
 今日は、各所で原爆の詩の朗読会が行われる。
 知らせを受けてその一つを覗いてみる予定だ。
 
 それとは別の朗読会を主催する方から、『原爆詩集 八月』に掲載された正田篠枝さんの歌について問合せがあった。
 「大き骨は 先生ならむ そのそばに 小さきあまたの骨 あつまれり」
 後に編まれた歌集では「あまた」ではなく「あたま」になっているために、自分もそうおぼえていたが、初出の雑誌に合わせたのかと質問を受けた。
 それについて、以下のような回答を差し上げた。
 
  正田篠枝さんのこの歌には両意見がありまして、編集当初如何にすべきか慎重に考慮致しました。
 「あまた(数多)」と「あたま(頭)」
 「大き骨」と「太き骨」
 これらは、掲載書籍・雑誌により様々に混同されていました。
 作者が故人であり、その正確なところは確かめようもありませんが、次の理由から本書では「大き骨は 先生ならむ そのそばに 小さきあまたの骨 あつまれり」といたしました。
 
1. 『不死鳥』(昭和21年8月号)に「大き骨は先生なりあまたの小さき骨側にそろいてあつまりてある」という元歌とおぼしき作品があること。
2. 作品から、引率の先生のまわりにたくさんの子供たちが集まり、そこに原爆が落ちた情況が思い浮かぶこと。
3. 歌人の感性からして、散乱した骨の中から、頭蓋骨のみに注目することは不自然。
4. 「あまた」は「あたま」に比べて使用頻度の少ない言葉であり、印刷の際、誤読か誤植が生じたことが否定できないこと。それが校正時にも見逃されたことが、活版印刷の時代には十分あり得ること。

 以上の点から、正田篠枝さんの感性を他の作品も含めて考察した結果、本書では「あまた」を採用致しました。つまり、過去の出版物における掲載数の多少にかかわらず、より良い本にしようという編集者としての観点から、「これが正しいであろう」という判断によるものです。
 しかしこれは、「あたま」とすることを全面的に否定するだけの絶対的な根拠をもったものではありません。今後研究が進むに従い、別な結論に至る可能性も十分に残されています。したがいまして、現時点での最良の解釈をもって掲載したとご理解下さい。

 
 その後、「自分もその判断に賛成する」という主旨のお葉書をいただいた。
 
 
 このように熱心な読者を得たことは、編集者冥利に尽きる。
 
◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆~~~~◆
(PR)【GALLAPからのお知らせ】
★ライティング & エディトリアル講座 受講生募集中★
●個別コンサルティング承り。当オフィス、またはスカイプ利用でご自宅でも受講できます。
 *1ヵ月2回コース~12ヵ月24回コース。(1回60~90分)
 *現在、2名空きあり。定員オーバーの場合、お待ちいただく場合があります。
●出張講座承り(1日4~5時間)
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。
 
●自費出版、企画出版、書店流通。
*坂井泉が主宰する編集プロダクション“GALLAP”が、編集から流通まで、責任持ってすべて引き受けます。
 ■ご相談・詳細はメールで galapyio@sepia.ocn.ne.jp まで。