9月26日からやっていた「文豪・夏目漱石」に、11月18日の最終日にようやく行ってきました。
JR総武線を両国駅で降りて、江戸東京博物館の1階へ。
最終日とあって大変な人出で、これなら無理してでも平日に行くべきだったと、ちょっぴり後悔。
展示内容は、漱石の生涯を通じて、主に私生活が描かれていました。
つまり、見合い写真とか学生時代の身体検査の記録とか。
ぼくにとっては、どちらかといえば「そんなの関係ねえ」。
小説家として門下生がたくさんできて、気さくにお金を貸したりしていたようです。
几帳面にも誰にいくら貸したかちゃんとノートに付けていたんですね。返されて来たら線で消してありますが、消してないのがだいぶありました。これはおそらく取りっぱぐれ。
健康マニアでもあったらしい。「エキザーサイサー」とかいう健康器具を買ったものの、ひどい筋肉痛になって1日で懲りたという話なども紹介されています。
漱石の伝記でも書くのならともかく、ぼくは作家としての仕事にしか興味ないので、これも「そんなの関係ねえ」。
興味があったのは、漱石と岩波茂雄との出会い。
岩波書店を設立して間もない頃、安倍能成(あべ・よししげ)を介して漱石と知り合った岩波茂雄は、この大作家の本をどうしても出版したかった。
このころ漱石が懇意にしていた出版社は春陽堂。日参して出版が決まったのが『心=こころ』。
この、『こころ』の装丁に使われた「石鼓文」の拓本が、その後岩波書店から数期に渡って発行される漱石全集の、シンボルとなります。
『こころ』の造本はなかなかしゃれたものですが、ブックデザインはすべて漱石自身によるもの。
デザイナーとしてもなかなかのものです。
「石鼓文」というのは、中国は唐の時代初期の石碑に刻まれた文字で、篆(てん)書で書かれています。現在は北京故宮博物院に展示。
ところで、これは展示会では説明されていませんでしたが、有名な漱石の原稿用紙。今の原稿用紙のほとんどが1行20字であるのに、漱石のは1行19字。
これは当時の新聞が1行19字(7段組)だったため。新聞に連載する都合上、1行19字の原稿用紙をわざわざ作ったわけです。
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ミュージアムショップには、お約束のTシャツ。
「読めるTシャツで~す」と呼び込んでいるのを聞いてそのTシャツを見ると、背中の部分に漱石全集初版の『我が輩は猫である』の2頁分がプリントされています。
背中です。自分じゃ読めない。
全集初版は旧字旧かなです。前にプリントされていても読めない人が多いのでは。
「読めないTシャツで~す」
ふと横を見ると、漱石風の付け髭まで売っていました。4,200円!(ばっかじゃなかろか)
念のためと買って来た「公式ガイドブック」は、これはこれでなかなかよくできています。
「文豪・夏目漱石」、コンセプトは良くわからない展示会でしたが、でも、それなりに楽しめました。
最終日なので、行ってみたかったのに行けなかった人は御愁傷様です。
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