<岸田内閣>岸田新内閣発足 期待と注文の声 衆院選向け意気込みも /福井
2021/10/05 06:25
4日の衆参両院本会議の首相指名選挙で、新首相に岸田文雄・自民党総裁が選出された。新内閣も発足し、県民からは期待の声が聞かれ、県内の首長や経済団体は、新型コロナウイルス感染症への対策や低迷する経済への支援、原発政策推進を求めるコメントを出した。また、県内の政党関係者からは新内閣を評価する声や間近に迫る衆院選に向けての意気込みが聞かれた。【岩間理紀、大原翔】
福井駅前の広場「ハピテラス」(福井市)ではモニターに映る岸田新首相選出に関するニュースを見守る有権者の姿があった。越前市のパートの60代女性は「これまでの政権は外交面で主導権を握れなかった印象がある。岸田さんには毅然(きぜん)とした態度で臨んでほしい」と、外相を務めた岸田氏の経験に期待を寄せた。福井市の自営業の60代男性は新型コロナの問題に触れ、「感染者数の拡大や減少に必要以上に一喜一憂せず、ウイルスとの共存も念頭に置いた経済政策をさらに深めていってほしい」と語った。
◇国土強靱化や米需要減支援
県経済団体連合会の八木誠一郎会長は「国土強靱(きょうじん)化やエネルギー政策の着実な推進、サステナブルな社会システムの再構築に総力を発揮していただきたい」との談話を発表。JA県五連の冨田勇一会長は「コロナ禍による想定以上の米の需要減に対する十分な支援策を検討し、今後、農業者が安心を実感できるような政策に落とし込んでいただきたい」と注文をつけた。
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自民党県連の山崎正昭会長は新内閣を「人材を幅広く登用したバランスのとれた重厚な布陣となった」と評価。「北陸新幹線、中部縦貫自動車道、農林水産業、中小企業など県内課題の進展にも大きな期待が持てる」とコメント。公明党県本部の西本恵一代表は「新総理には国際秩序をもたらす調整役を担ってもらい、新型コロナの出口戦略を描き、経済再生と国民の安心安全な生活を取り戻すことを期待する」とした。
一方の野党側は、衆院選を見すえて対決ムードを高めた。立憲民主党県連の斉木武志代表は「閣僚の能力に自信があるのなら、仕事ぶりを見せつけてから信を問えば良い。ご祝儀相場で選挙を(やり)終えたいという意図が見え見えだ」と批判。共産党県委員会の南秀一委員長は「岸田氏は19日公示、31日投開票の日程で選挙を実施するとしているが、審議を拒否し、党利党略の判断で行うものだ。党の躍進と、野党共闘の勝利で政権交代を実現するために奮闘したい」と意気込んだ。
◇コロナ対策と経済再生を 知事
また新内閣発足を受け、杉本達治知事は「新内閣には、新型コロナ対策と経済再生を両立する総合的な出口戦略を描き、北陸新幹線の早期全線開通、分散型国家への転換、子育て・教育など少子化対策、責任ある原子力・エネルギー政策などを力強く推進するよう期待する」とコメントした。原発立地自治体でつくる全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)の会長を務める渕上隆信・敦賀市長は「(原発の)新増設・リプレースを含めた原子力政策に正面から向き合い、現実的で力強いエネルギー政策を実行していただきたい」とした。