monologue
夜明けに向けて
 

鈴虫  


毎年、この季節に、あたりの草むらで秋の虫の声が聴こえると幼い頃京都の家で飼っていた鈴虫を思い出す。外国人には虫の声は雑音にしか聞こえないと聞くと不思議な気がする。

  ガラスの容れ物に土を入れて飼っていたのだが毎年、季節になると素晴らしい鳴き声で楽しませてくれた。しかし季節が終わるとメスたちがオスを食べるのが子供心に無惨に感じたものである。そしてやがてはみんな死に絶えてしまい一見土だけのように見えるのだが実は土の中にメスが卵を生んでいて翌年には新たな世代の鈴虫が出てくるのだった。ありとあらゆるところで起こっている生物のサイクルの仕組みがそこにもあった。
fumio

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