monologue
夜明けに向けて
 





<2> 神を恐れる者達よ

一、  影を色濃く落とした泉のなかに 壺は投げ捨てられた
    命の剣を携えた 命を刈るものによって

二、  夜の闇に紛れて行くものを 銀の月の粉で捜せ
    周りは朱鷺色 中程に進むにつれて夜明け色
    手に入れることは出来るが 頭を入れることは出来ない

三、  八は三の中に 四は五の上に
    九は一二をもって飾られるべし
    五六は無に帰せよ

四、  月明りのふくろうは その爪にルビーの指輪を
    三番目の羽根は切り取るべし

五、  青い外套の女に 人魚の涙を渡す時
    亀甲の数字を手にするであろう

六、  苦しみは 夜明けと共に、霜の様に頭上に
    降るであろう
    川を渡る時に 川のおもてを見てはならない

七、  果実の肉を食してはならない
    種子を袋に収めよ

八、  銀の御舟が過ぎる時 影の頭を留めよ
    月型は しかし 使ってはならない
    心の鋳型を当て填めよ

九、  櫛型の木立の三番目 波形の光の向こう
    岸に近く 葦の立つところ
    水際に たなびく霞を見付けよ

一〇、 陽は日とは異なり 煉は漣に連なる

一一、 瓦れきの中から 起き上がる者達を
    敬ってはならない
    神を試そうとしてはいけない

一二、 水面(ミナモ)に映る姿に
    酔ってはならない
    風が吹けば 変わる様なものを
    あなたは 招じ入れてはいけない

一三、 金の衣に包まれている者を 全て
    信じてはいけない

一四、 全てを知ろうと思うな
    決して 追い掛けるな
    わなをしかけるな

一五、 鹿の様に 伸びやかに
    鹿の様に用心深く

一六、 首の欲しい者は 壺を覗くな
    剣に息を吹きかけるな

一七、 黄泉の裁きを侵すことなかれ
    黄泉の壺を手にすることなかれ
    英知は黄泉にも等しく与えられ
    神の御業に等しく映り その対を
    成す様に 定められたからである

一八、 神の名を呼ぶとき 等しく黄泉をも
    影が呼んでいると 常に
    心に止めおく様に
    天秤の左右 どちらかが重くなった時に
    真に求めている者の名を
    知るということを覚えておく様に

一九、 雪は常に白いということは無い
    救いを求め 追い掛けていくと
    無の川にはまり 全てを失う

二〇、 木筒に水を満たしておく様に
    然し その水を人の口にあてがうのは
    止めよ
    求める者にはそうさせよ



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