monologue
夜明けに向けて
 



昨日、青空文庫で森鴎外の「渋江抽斎(しぶえちゅうさい)」を何週間もかかってやっと読了した。鴎外が新聞小説として発表するまでだれも注意を払わなかったであろう医家、渋江家に定点観測のようにカメラを置いて、幕末から明治に生きた人々の姿を描写するというドキュメンタリーの手法を用いた歴史小説である。妻、五百(いお)の活躍や子孫の様々なエピソードが主人公抽斎より華やかで読者を惹きつける。
鴎外は、敬慕する弘前藩の侍医、渋江抽斎の「三十七年如一瞬(さんじゅうしちねんいっしゅんのごとし)。学医伝業薄才伸(いをまなびぎょうをつたえてはくさいのぶ)。栄枯窮達任天命(えいこきゅうたつはてんめいにまかす)。安楽換銭不患貧(あんらくぜににかえひんをうれえず)。」という詩を居間に懸けていたという。医学を学び文学者で愛書家でもある自身に通じるものがあるのだろう。
fumio

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 初代アメリカ... すごい前進 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。