monologue
夜明けに向けて
 




吉田君、きみは死んでから一週間も放置されていたんだね。どうしてこんなところに自分がずっと寝ているのかと思ったことだろう。

シゲさんの返信によると、お母さんの話ではきみの免許の住所がお母さんのところになっていたのでLAPD(ロス市警)から電話があった時、「吉田はそこに住んでいるか?」と訊かれて、息子がなにか事件を起こして警察に追われているのかと思ってかばおうとして「いいえ」とこたえてしまったそうなんだ。
親心が身元の判明を遅らせてしまったんだね。それでLAPDが直接パトカーでお母さんのところにやってきた時検死に行ってきみの死を確認したらしい。
その時のお母さんのショックは想像するにあまりあるよ。

きみがこの世と隔り世の間でさまよっているあいだに起きたことはきみも知らなかっただろう。
やっときみの死について、
ストリートバイオレンスや酒場でメキシカンに袋叩きにあったという噂にとどまらず、実際に起きた事実に近いことが浮かび上がってきた。よかったね。
それじゃあ、また!
fumio


コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



« シゲさんから... 橋は此岸と彼... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (さんざし)
2011-10-05 14:33:59
吉田さんを知る人がいないため、どうしても話をやましたさんにしてしまいます。すみません。。。

真相が判明してくるとですね、やはりいろいろ思ってしまうのですよね。
吉田さん、馬鹿だなぁ、、、と親不孝だなぁ、、、などと思ってしまうのです。
少し蓋をしていた吉田さんの思い出を、ドッと引き寄せて思い返してしまいました。

当時の彼はお金が本当になくて、だけど夢や野心が沢山あって、私に熱っぽく語っていました。
自分の人生はこれではいけないから頑張りたいという彼の情熱に応えて、私は好意でアトリエ代わりに場所を提供した。
吉田さんは、本間さんと一緒にいた所と、私のアパートを行ったり来たりしていました。
てっきり、真面目にその夢に邁進していると信じていた私は、出世払いでいいよ、と一ドルも彼からは貰いませんでした。
でも、ある日訪ねてみると、瞳孔の開いた彼がそこにいて、様子の違う初めての顔つきを見て、私は驚いてしまいました。
それからは、お酒で酒癖悪い様子も度々みるようになり、私の吉田さんへの信頼は失墜していきました。
今思えば、彼はいろいろ悩んでいたのかもしれません。描いても描いてもパッしないとも言ってましたし、なかなかいい絵が描けない、と産みの苦しみもあったようです。
もっと相談にのったり寄り添ってあげれば、又彼の人生も変わっていたのか、、とも思うけれど、私は彼をむしろセンジンの谷に突き落とした形になったようです。
吉田さんの口から、結婚の2文字が出たのもこの頃でしたが、弱さや甘えを結婚という言葉で摩り替えてはならないと、そういう対象としてはみていませんでした。そして、酒と薬を絶たない限り、付き合いは有り得ないこととしていたのです。

こんな形で死ぬなんて、、、少し悔しいです。
 
 
 
未来を向いて (fumio)
2011-10-06 10:44:54
さんざしさん、こんにちは。

かれの吉田等としての人生は終わったけれどかれの魂は後悔するのではなく未来を向いて活躍しそうです。
 
コメントを投稿する
 
コメントをするにはログインが必要になります

ログイン   新規登録