monologue
夜明けに向けて
 



その日、わたしたちは会場に早めに入った。
ステージは広いコンベンションセンターの中央にしつらえてあった。
アンプ類楽器類ミキサーなどをステージ上に並べてセッテイングを終えてショータイムまで待つ。わたしはそのうちに便意が起きてトイレに入った。
大切なイベントの前にはトイレに行くことになる。それは儀式などの前に穢れを落としておく禊作用。当時の日本を代表するバンドのパフォーマンスなのだから禊が必要だった。
トイレから出るとショータイムになっていた。宮下フミオは白いステージ衣装に身を包みわたしは黒い半纏を羽織った。
曲目はフミオの妻リンダの作詞した英語の歌。一曲だけ「セイ」というファーイーストファミリーバンドの日本語の歌があって一番をフミオが歌うと二番をわたしが歌い三番を中島シゲオが歌った。島健はエレピを演奏していた。わたしはフェンダープレシジョンベース、中島シゲオはギブソンレスポールエレキギターを弾いた。フミオは獅子が吼えるように歌った。
fumio

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