monologue
夜明けに向けて
 



 どのぐらい時間が経ったのか。なにか動きがあったらしい。航空会社同士で話しがついたようだった。あちらの飛行機に乗り込めと指示が出た。乗客をハワイに置き去りにするわけにはゆかないのでノース・ウエスト航空がロサンジェルスまでの航行の肩代わりすることになったのだ。あわてて乗り込む人々のあとについてこれまでと違う会社の飛行機に乗り換えた。無事ロサンジェルスに着くことを祈って…。
 前のスクリーンの映画に集中できるわけもなくこれからどうなるのかと思った。やがて飛行機はアメリカ本土上空にさしかかる。初めて見る希望の地が眼下にあったが飛行機が違うから予定している留学先の英語学校の迎えはきっと来ないだろうと感じて不安だった。連絡をとる方法も知らない。そうこうするうちにロサンジェルス空港(LAX)に到着してトランクを受け取り迎えを待ったがやはりだれも迎えに来ない。到着時間も大幅に変わりまだ夜中で空港のまわりは真っ暗。公衆電話を見つけて小銭を入れて学校に電話しょうとしたがオペレーターが出てきてことばが通じない。何度も何度も試した。空港の外に出るとバスが何台か停まっている。日本と同じ方式で乗れるのか、尋ねるにしても運転手はいない。どれに乗ればいいのだろうと行き先の表示を繰り返し見て迷いに迷って逡巡した。
なんとかロサンジェルスに着いたもののやっぱり前途にはまだ闇が拡がっていた。
fumio

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