ケンミジンコのうた

平和な日々の暮らしを綴った日記です

抱負

2016-11-18 09:52:45 | お勉強
何年か前に小川洋子さんの「博士の愛した数式」を読み終わったときに、
 ああ、いい話だったな、
 でも、こんないい人たち、実際に世の中にはいないよ。
 厳しい世の中では淘汰されて死に絶えちゃうよ。
・・・と思った。

で、別の機会に、フランクルの「夜と霧」を読んだときに、
(第二次世界大戦時のユダヤ人の強制収容所の実態を書いた話なんだけど)
「強制収容所を生き延びた人たちは、
(自分を含めて)、何かしらずるい取引をしている。」
というくだりがあった。

賄賂を使ったり、刑務官のご機嫌をとったり、密告して仲間を売ったり、
ともかくガス室行きを免れるために、何でもやった。
そして、別の誰かが代わりに、ガス室送りになったのだという。

そして私が衝撃を受けたのは、
 いい人たちは、誰も戻ってこなかった。
という一文だった。

 いい人たちは、誰も戻ってこなかった・・・。

その後、また別の機会に、小川洋子さんのインタビュー記事をたまたま目にした。
小川さんも、私と同じ、この一文に、衝撃を受けたという。

そして、自分は、この戻ってこなかった人たちを、
小説に書こうと思ったそうだ。

私はこの記事を読んで合点がいった。
 こんないい人たちは、淘汰されちゃうよ
と思った自分の感想は、正しかったのだ。

その後、小川さんの作品をいくつか読んだけれど、
やっぱり、実際の世の中では淘汰されそうな、儚く優しい人たちが出てくる。
そして、人知れず、残酷な死に方をすることがある。
でも、その人を真摯に悼んでくれる人が、必ず一人はいるのだ。

で、私は・・・。
そういう、いい人たちが挫けそうになったときに、
彼らを応援できるカウンセラーになりたい。
いい人たちの、心の防波堤になりたい。

・・・という訳で、今もまだ勉強を続けています。


コメント (12)
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