ケンミジンコのうた

平和な日々の暮らしを綴った日記です

バランス

2022-04-03 10:45:47 | 仕事


心理の仕事をしていると、
疲れた人、病んだ人に接する機会が多いのですが、
そのような人に、とても優しく接してはいるけれど、
自分の周りにいる人にきつーく当たる人が結構多くて、
私は常々、疑問と反発を覚えることが多いのです。

どういうことかと言うと、
患者さんには気持ち悪いほど丁寧に接している女医さんが、
スタッフ(つまり私だ)には居丈高に接したり、
クライエントさんには不自然な猫なで声とひきつった笑顔で接している心理士が、
後輩(これまた私だ)に平気で意地悪をしたりすることがよくあり、
私はこういう女医さんや心理士が見せる優しさは偽りであり
周りにいる人を平気で傷付けて内省をしない人に
人を癒す資格などないのだと
内心、憤っていたのでした。

ただ、先日、精神科のえらーい先生が書いたエッセイで、
自分は外で、重い患者さんに誠心誠意、尽くしていたつもりだけれど、
その間、家庭では妻や娘に非常に冷たく当たっていたことに気付かされた、
というくだりを読みました。
その先生が言うには、外で患者さんに優しさを放出している分、
家では家族に冷たく当たって鬱憤を晴らすことで、
無意識のうちに、心のバランスをとっていたらしい、ということでした。

八つ当たりされる家族やスタッフはたまったものではありませんが
きっとそういうことなんだろうな、と妙に腑に落ちました。

患者さんにも優しく、スタッフや家族にも優しい人はいるんですよ。
それができない人は、優しさの総量が足りないんだと思います。
あるいは、自分の総量を超えた仕事を引き受けてしまっているか。
恐ろしいのは、総量を超えた分、周りの人に八つ当たりをすることで
心のバランスをとっていることに、
気付いていないことなんですよね。

これはきっと、心理の仕事に限らず、
看護師さんとか、介護職とか、サービス業とか、
人と接する仕事である限り、
いやいや、仕事に限らず、人間関係全般において、
きっと当てはまることなんだろうなあ。

そう思うと、
仕事は自分一人でしているつもりになっていても、
実はスタッフや家族に支えてもらって成り立っているのであり、
そういう見えない人たちの支えがあって、
社会全体が成り立っているんだなあという思いが深くなります。

…というわけで、皆、自分の器を超えた仕事やサービスはほどほどにして、
のんびりやっていきましょう、と
私は言いたいです。


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コメント
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