引き続き「スキップとローファー」の話です。
同書の2巻で、「私がムカつく奴の名前を2つ覚えている間に
この子は親切にしてくれた人の名前を1つ覚えるんだろう」というセリフがあり、
このセリフが胸に刺さる人が、ネット上でも多いようです。
私もその一人です。ハッとさせられる印象深いシーンです。
私はここを読んだとき、自分はどっちだろうと考え、
おそらく前者よりではあるが、ムカつく奴、親切にしてくれた人の
両方に気付くだろうな、と思いました。
人のよいところに気付ける人は、それと同じくらい、人の悪いところも見えてしまうのではないかと思います。
感度の高い人ほど、微量な善意と悪意の両方に気付いてしまうでしょう。
さりげない善意に気付いて心が温まることもあれば、
滲み出る悪意を感じ取って傷付くこともあると思います。
どちらか一方のみを受け取ることはできないのです。
そして、人の悪意には目をつぶり、できるだけ善意にフォーカスした言動を心がけることが、今の世の中に求められている、あるべき人間像のように感じています。
私のブログも、本当はよいことだけを書き綴っていたら、
もっと爽やかで読後感のよい(?)ものになるのだろうと思います。
そうありたいという衝動に駆られ、人の悪口を書いた記事を、ちまちまと非公開にすることもありました。
でも、「人の善意のみに気付く自分」は、ありのままの私ではありません。
よいところ、悪いところ、両方に気付いて、喜んだり、苦しんだりしているのが私です。
人に光が当たれば、そこには必ず影ができます。
光だけを書き続けることは、私には息苦しくてできません。
「スキップとローファー」も、主人公のよいところがたくさん描かれていますが、
それと同じくらい、別の登場人物のネガティブな気持ちも、たくさん描き込まれています。だから一気読みするとしんどくなる…。
きっとこの作者も、人のよいところと悪いところの両方に気付いてしまう人なのだと思います。
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