ケンミジンコのうた

平和な日々の暮らしを綴った日記です

花燃ゆ

2015-04-24 18:46:00 | 映画・ドラマ・小説
大河ドラマの「花燃ゆ」だが、記録的な視聴率の低さだそうだ。

だが、私は、最近の大河ドラマで、一番面白いと思う。
これはもう好みなのだが、脚本が秀逸なのだ。

これだけ深みのあるストーリーなのだから、
当然、原作があるのだと思っていた。
そうしたら、女性の脚本家二人が書いているオリジナル作品と知り、
本当にびっくりした。

オリジナル作品で、これだけの質を備えているのは驚異的だ。
脚本家に力があるのだと思う。

印象に残っているシーンはいくつもあるのだが、
前回、松陰が家族と最後の時間を過ごした回のラストもよかった。
江戸に向かう途中、萩の町を振り返るのだが、
雨と霧に阻まれて、何も見えない。
でも、松陰の心には萩の町と思い出がありありと浮かんでいた・・・
というシーンだった。

なんかこう、余韻を残してくれるシーンが多いんだよね。
台詞は最小限だけど、見る側が想像力で補って理解するという。
私、こういう演出が好きなの。

それから、「花燃ゆ」のオープニングも秀逸だと思う。

鳥がきりきり舞いをしながら垂直に飛んで行って、
次々と撃ち落される。
(これはきっと、長州藩をはじめとする急進派の比喩だよね)

雨が降り、滝の向こうに広がる桃源郷
(彼らが理想とした社会だと思う)

そして、また垂直に飛び上がる鳥が撃たれて散っていくんだけど、
その後に花が咲いて広がっていくんだよね・・・

毎回、これ見ると泣いてしまう。
昔の人は命がけで新しい社会を作ろうとしてたんだな。

視聴率は低いかもしれないけど、
私のように、心を揺さぶられている人もきっといるだろう。

多数に受けなくても、
作り手のメッセージをしっかり受け止めている人がいるなら、
それは、いいドラマなんじゃないだろうか。


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心は変わる、変えられる

2015-04-08 20:14:49 | 雑感
塾講師をしていたころの話だから、今から2年ほど前になるが、
私は、『西の魔女が死んだ』という文庫本を買ってきた。

この作品は、中学入試の題材に取り上げられることが多いので
一度、通読しておこうと思ったのだ。

期待して読み始めたのだが、あまりに退屈で、途中で読むのをやめてしまった。
何がいいのか、さっぱり分からなかった。

でも、この本の評判がよいことは知っていたので、
そのよさが分からなかった自分に、少しがっかりしてもいた。

皆がいいといっているもののよさが自分に分からないと、
たとえそれが相性によるものだとしても(つまり、自分に非はないとしても)
少し悔しい気持ちになる。
自分には、そのよさをキャッチするアンテナが欠けているように思うからだ。

それからずっと、『西の魔女が死んだ』という作品は、
つまらなかったにもかかわらず、気になる存在として、
私の心の中に、ずっと残っていた。

今回、アマゾンでその作品を検索して、
やはり、評判がとても高いことが分かり、
もう一度、読んでみることにした。

とても不思議だったのは、今回は、とても面白いと感じたことだった。
途中で栞を挟みながら、何回かに分けて読んだが、
本を開くときはいつもワクワクしていたし、
「早く続きが読みたい」と思う自分に、少し驚いてもいた。

そして、ラストでは、しっかり泣いた。

本が変わったのではなく、私が変わったのだろう。

こういう経験は、今までにも何度かある。
私にとっては、『ライ麦畑でつかまえて』が最たるものだし、
村上春樹の作品群も、たいてい、そうだ。
学生のころは、そのよさが分からなかったが、
ある程度、社会経験を積んでから読むと、とても面白いと感じられた。

ただ、今回は、そのスパンがとても短かった。
たった2年前の自分には分からなかった良さが、
今の私はしっかりと感じ取ることができた。

何が私を変えたのかというと、
やっぱり、学校に勤めた、この1年だと思う。
自分でも知らないうちに、心の有り様が変わっていた。

中年と呼ばれる年齢に差し掛かっても、
心は変わることができるんだなあと思った。
心は意外と、しなやかなのだ。

そう思うと、未来に、少し、希望が持てた。


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