ケンミジンコのうた

平和な日々の暮らしを綴った日記です

妻の写真

2021-10-21 10:08:00 | 片思い
憧れの離島の人が、最近、SNSを更新していた。

離島から、さらに離れた無人島にフェリーで出かけたとの内容で
無人島の風景が何枚か投稿されていた。

投稿された風景の一つに、砂浜の写真があった。
波打ち際に佇んでいる女性を、遠くから撮影したものだった。

女性の姿はよく見えないように写していたけれど、
私はこの女性が、離島の人の奥さんだとすぐに分かった。

離島の人は、あからさまに自分の妻をSNSにアップすることはないが、
こうして、妻を遠くから撮影して、自分のSNSにアップして、公開して・・・
さりげない、目立たないやり方だからこそ、かえって、
自分の妻に対する愛情が、ふつふつと伝わってくるような気がした。

妻を、愛してるんだね・・・。

「いいね」をもらえただけで浮かれて喜んでいた自分が、
神聖な結界に触れて焼け落ちた、汚れた虫のように感じられた。

 私は・・・
 こんなに深く、自分の夫に愛されているだろうか・・・

虫は遠い目をしながら思うのであった。

(憧れの離島の人の過去記事はこちら
 → シグナル



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友達の歌

2021-10-11 07:06:26 | 雑感
癌で闘病中だった友達は、元気があるうちに、やりたいことは全てやっておこうと決めたそうだ。
そこで、ずっと気になっていた、ボーカロイドを使った作曲を始めることにした。
先生を探して、機材をそろえて、やる気満々だった。

色々試行錯誤して、ようやく完成した最初の曲を、私にも聴かせてくれた。
以前、一緒に働いていた職場の同僚に感謝しているので、その人に贈る曲とのことだった。

メロディーは耳に優しい、かわいらしいものだったが、私はその歌詞にびっくりした。
同僚の働きぶりをあれこれ褒めちぎった後、とどめにサビの部分で

 君の姿がまぶしかったよ
 君の笑顔に励まされていたよ
  
というストレートな表現が臆面もなく流れてきて、もうこれは間違いなく愛の告白ではないかと、聴いている方が赤面してしまった。

え、この曲、渡すの・・・
ものすごく重いし、受け取った方も迷惑では・・・

・・・と私は思ったが、友達がニコニコしていて、曲を渡すことに1ミリの迷いもない様子だったので、何も言えないでいた。

そんな友達も、コロナで会えないうちに、他界してしまった。
あっという間だった。

今となっては、自分の思いを偽りなく伝えようとした友達の気持ちが分かる。
自分の思いも、生きている自分の一部だ。
思いは相手に伝えなければ、そのままなかったことになってしまう。
友達は自分の思いを、心に閉じ込めたままにするのではなく、
開放して相手に届けたかったのだ。


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運と縁とその深さ

2021-10-09 16:04:21 | 雑感
友だちにしても恋人にしても、
自分が「この人と仲良くなりたい」と思うだけではだめで、
相手も自分を好きになってくれないと、関係というのは成り立たない。

友だちになりたいか、なりたくないか、
その判断は、実は結構、本能に基づいてなされているように思う。
私たちは、人と出会うと、一瞬のうちにその人との相性を嗅ぎ分けて、
近付くか近付かないかを判断しているように思う。

自分がどんな人と出会えるかが縁だとしたら、
出会った人と一定の関係性に発展するかどうかは、ご縁の深さということになるんだろう。
お互いがお互いの相性を嗅ぎ分けて、引き合えば関係性が成立する。
引き合っても、お互いの立場やタイミングで、それが叶わないときもあるだろう。

年を経て思うのは、
このご縁やご縁の深さというのは、努力だけではコントロールできなくて、
運によるところが大きいように思う。
いくら化粧をして盛っても、ダイエットをして痩せても、
振り向かない人は振り向いてくれなかったし。
引き合わなければ、残念だけど、それなりの縁でしかなかったのだと思う。

私はできれば色々な人と交流を持って人生を豊かにしたいと思っているけれど、
人との出会いやその深さの多くの部分が縁と運に支配されているのであれば、
要らぬ努力をしてあがいて深く傷つくよりは、
自然体で漂っていればいいのかなという気もしてくる。

神様は、これからの私にも、それなりの縁を準備してくれているのだろうか。
そうであって欲しい。


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入院中の思い出

2021-10-07 07:26:15 | 雑感
私はこの夏、婦人科系の手術のためにしばらく入院していました。

大きな病院だったので、昼間は看護師さんなどのスタッフが大勢行き交い
賑やかでしたが
夜はシーンと静まり返っていました。

私が入院していた婦人科の奥に産科の病棟があり、
夜になると新生児の泣き声が聞こえてきました。
夜とはいえ、耳を澄まさないと聞こえないほどのかぼそさです。

4、5回泣くと、泣き声はいつも聞こえなくなります。
私は新米ママが優しく赤ちゃんを抱きかかえ
授乳している姿を思い浮かべました。

手術後、色々な管につながれて、自由に動けなかった私には、
時折聞こえる新生児の泣き声が、幸福の鈴の音のように感じられました。
新しく生を授かった赤ちゃんが、私の心を癒してくれている。
生まれてきておめでとう。
あなたの人生が幸せに包まれたものでありますように。

たまたま同じ病院に居合わせた、生まれたばかりの赤ちゃんと、中年女性の私。
赤ちゃんはきっと、自分の声が疲れたおばさんの心を癒していたなんて、
知る由もないだろうね。
そしてそのおばさんが、あなたの始まったばかりの人生を精一杯祝福していたことも、知らないままなんだろう。

きっと世の中には、こういうささやかなご縁のようなものが
たくさんあるんだろう。
気付かないところで、そっと息づいている。


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