ケンミジンコのうた

平和な日々の暮らしを綴った日記です

人間国宝の話

2015-08-26 15:12:54 | 雑感
先日、とある焼き物(磁器)を鑑賞する機会があったのだが、
その制作者(Aさんとする)にしか出せない不思議な色があるらしい。

Aさんは長年の研究の末、その色を出す技法を編み出した。
でも、その技法は秘密で、弟子の誰一人にも教えようとしない。
制作現場も秘密で、家族でさえも立ち入ることを許さないそうだ。

そうしてAさんは人間国宝と称されるようになった。
Aさんの作る不思議な色合いの磁器は
海外でも高い評価を得ているという。

私はこの話を聞いて、すこし引っかかるものがあった。

Aさんは、自分の希少価値を高めるために、
色の調合方法の秘密を明かさない。

もしAさんが、色の調合方法を、自分の弟子たちに教えて広めていたら、
弟子たちも、その不思議な色合いを生かして、
たくさんの作品を作り出すだろう。
もしかしたら、Aさんの磁器を超える作品も生まれたかもしれない。

そして、その技法は、その地域全体の磁器の特色になり、
地域の振興に役立ったかもしれない。

でも、その場合、その技法はAさんだけのものではないから、
Aさんが人間国宝と称されることはなかっただろう。

技法を自分だけが独占して、
「人間国宝」という高い地位と名誉を獲得する人生と、

技法を広く公開して、地域の振興に尽くすけれども、
自分は無名の職人で終わる人生と、

どちらが輝かしいだろう。
どちらが美しいだろう。


にほんブログ村 主婦日記ブログ 子供なし主婦へ
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

無意識のはたらき

2015-08-14 13:57:47 | 仕事
連日の猛暑で熱中症が心配なため、
ウサ吉は飼育小屋から校舎内に移動させました。

職員室横の資料室にケージを置いて
世話をしています。

今日もウサ吉に会いに行きました。
お盆休みということもあり、校舎内はシーンとしています。

長い廊下を歩き、角を曲がって、資料室へ・・・
ふと見ると、廊下の用具入れの隅に、
茶色のモフモフを発見。

あれ・・・どこかで見たようなモフモフ・・・
じっと見ると、モフモフには二つの丸い目がついていて、
こちらをじっと見つめています。

さらに見ていると、二つの目の下が、
ヒクヒク動いています。
これは鼻・・・??

あっ!!!ウサ吉だ!!!
なぜこんなところに!!!

慌てて資料室に行き、ケージを見ると、
扉が開いていました。
脱走したのです。

用具入れの場所に戻ると、ウサ吉が
「やっぱりダメですよね」という感じで
肩をすぼめて(そう見えた)、ぴょこんと逃げました。

ウサ吉のお尻を押しながら、何とかケージに入れました。

そして、職員室に散らばったフンを始末して証拠隠滅。
あー誰もいなくてよかった。

で、書きたかったことは。。。

用具入れの隅に茶色いモフモフを発見してから、
それがウサ吉だと認識するまで、
随分、時間がかかってしまいました。
(ウサ吉はケージの中と思い込んでいたので)

でも、不思議なことに、ウサ吉と分かる前から、
心の中がじんわりと、温かい気持ちで満たされていました。
モフモフを見てすぐ、懐かしい、優しい気持ちになっていたのです。

今、心理学を少しかじっているのですが、
「無意識」は「意識」より、ずっと処理スピードが速いそうです。

私がモフモフをウサ吉だと「意識」する前に、
「無意識」は既に、それがウサ吉だと分かっていたんです。。。

無意識のすごさを、身を以て感じた出来事でした。

しかしウサ吉は本当にかわいい


にほんブログ村 主婦日記ブログ 子供なし主婦へ
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

火花

2015-08-11 19:40:58 | 映画・ドラマ・小説
又吉さんの「火花」、ずっと気になっていたのですが、
文芸春秋(970円)で、芥川賞の受賞作2作が掲載されていると知り、
これはお得だと思って購入、読了しました。

私は本はあまり読まない方なので、偉そうなことは書けないのですが、
とても良かったです。
切実な、訴えてくるような迫力があって、心が揺さぶられました。

私はお笑いにはあまり興味がなく、又吉さんの芸風も知らないのですが、
この作品を読む限り、いい人なんだろうなあと思いました。
「勝ち組、負け組」とか、「学歴」「年収」とか、
そういう打算的な基準で人を見るのではなくて、
きちんと内面を見て判断しているんだなあと感じました。

弱い立場にいる人達に対する温かい眼差しが感じられて、
心地よく読み進むことができました。

もう一つの受賞作、「スクラップ・アンド・ビルド」も、
「火花」とは全く違った作品でしたが、
楽しく読むことができました。
主人公のアホさに、結構、笑わせてもらいました。

完全に好みの問題ですが、どっちがいいかと聞かれたら、
その含有する熱量に圧倒的な差があるという点で、
私は「火花」を選びます。

時間をおいて、また読み直したいと思わせる作品です。

***

文芸春秋、買って良かったです。
楽しい読書ができました。
流行に疎い私ですが、
たまには流行に乗るのもいいなと思いました。


にほんブログ村 主婦日記ブログ 子供なし主婦へ
コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする