同じ季節を生きるものとして、
ある日ホタルは水辺にひっそりと咲く
アジサイに恋をしたのでした。
でも、アジサイはホタルのそんな想いには一向に気づかずに、
太陽の光の中で、体を七色に変化させながら、
美しく妖艶な微笑をふりまいていました。
昼間のホタルはアジサイからしてみれば、ただの虫けらに過ぎなかったのでした。
ホタルは苦手な真昼に、アジサイの前で羽ばたいて見せて、必死に自分をアピールするのですが、
アジサイには、退屈なけだるい午後の暇潰しでしかなかったのでした。
やがてホタルは想いが伝わらないのに、力尽きて、
目眩を覚え、アジサイの花の下に倒れてしまったのでした。
夕方からは、しとしとと雨が降っておりました。
やがて夜が訪れ・・・・、
闇が辺りを支配する頃、
アジサイの雨露がポツリとホタルの頬を掠め、
「フッ!」と我に帰ったホタルは、アジサイがシクシク泣いているのに気づいたのでした。
「寒いよぉ、怖いよぉ、」
と震えながら、
闇の中で淋しそうなアジサイを、
ホタルは優しい灯りで護ってやろうとしたのです。
薄れいく意識の中で、いうことを利かない体の力を振り絞って、
必死にアジサイを、渾身の力を振り絞った光で安心させようとしたのでした。
やがてアジサイは暗闇の中の光にすっかりと癒され、頬笑みが戻っていました。
その時にアジサイは、やっと気づいたのでした。
ホタルの美しさ、優しさと、その純粋な想いに・・・・・。
やっとアジサイに想いが伝わった時、ホタルは地上の世界で自由に飛び回って、
実はその短い命が尽きるという・・・・、今夜がその7日目を数えていたのでした。
そして天命のとおり、次の日の朝、
光を失ったホタルの死骸がアジサイの花の下に転がっていました。
でもホタルの死に顔は、微かに笑っているようでした。
それは愛することを知ったからかも判りませんでした。
アジサイは無数の涙を流し、自分の葉でホタルを優しく包み込んだのでした。
美しくも、儚く、
哀しい6月の恋
叶わぬ恋
しとしと雨の降る日、ホタルはアジサイに恋をしたんでありました。
そんな中で、紫陽花は綺麗に咲いてます。
6月生まれなので、紫陽花好きです(*^▽^*)
ホタルみたいに、誠実に、一途に生きていきたいですね。